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WOODEN STRUCTURE中大規模木造

中大規模木造の法規解説(木造と防火:規模による制限)

  • 中大規模木造の法規解説(木造と防火:規模による制限) -

大規模な建築物の主要構造部は、防火上の制限を受けます。

大規模な木造建築物は、いったん火災になると、倒壊による被害が大きくなることから、木造では建物高さの制限があり、延べ面積についても制限を受けます。

近年の木造建築物の防火性能に関する研究による防火性能の向上が図られ、一定の防火上の技術的基準に従って設計した耐火建築物以外の木造建築物では、高さ制限を超える大規模な建築物を建設できます。

この記事では、中大規模木造の建築計画で知っておきたい規模による制限について詳しく解説します。

 

<このコラムでわかること>

大規模建築物の制限(法21条)

周辺危険防止構造による建築物(周辺危険防止建築物)

火災時倒壊防止構造による建築物(火災時倒壊防止建築物)

防火措置による高さ制限の回避

大規模木造建築物等の外壁等(法25条)

・大規模木造建築物の敷地内通路(令128条の2)

SE構法へのお問合せ、ご相談について

・まとめ

 

大規模建築物の制限(法21条)

大規模建築物の制限(法21条)

大規模建築物の構造制限には面積制限(法21条2項)と、高さ制限(法21条1項)があります。

高さが16m以下(倉庫、車庫は13m以下)、地階を除く階数が3階で延べ面積が3,000m2以下であれば構造の制限はありません。

また建築物の周りにその高さ分の空地がある場合は、面積・高さにかかわらず構造の制限はありません(令109条6)。

 

周辺危害防止構造による建築物(周辺危害防止建築物)

周辺危害防止構造による建築物(周辺危害防止建築物)

周辺危害防止建築物は、火災時に消火活動が可能な程度に周囲への放射熱量を制御することで低層大規模木造(地階を除く階数が3以下)を可能とするものです。

上記の表のとおり、延べ面積の規模別に構造方法が規定されています。

いずれの規模であっても、床面積500㎡ごとに防火区画が必要です。

火災時倒壊防止構造の場合は100㎡以内の防火区画が原則であることから、それと比べると広い空間の計画が可能です。

また、周辺危害防止建築物にて、火災時倒壊防止建築物、耐火建築物、75分間準耐火の措置とすることが可能です。

 

火災時倒壊防止構造による建築物(火災時倒壊防止建築物)

火災時倒壊防止構造による建築物(火災時倒壊防止建築物)

火災時倒壊防止構造による建築物は、通常火災終了時間を計算により算出し、主要構造部をその時間以上の準耐火性能を持つ構造方法である「火災時倒壊防止構造」とし、同じくその時間以上の性能を持つ防火設備を備えた建築物です。

通常火災終了時間は、燃えしろ設計の場合は補正固有通常火災終了時間の計算によって求め、石こうボードなどの被覆による設計の場合は固有通常火災終了時間の計算によって求めます。

燃えしろ寸法は仕様規定と異なり、計算によって算出します。

被覆による場合は、算出した時間以上の準耐火性能を持つ構造方法を適用します。

適用できる構造方法には以下があります。

・避難時倒壊防止構造(法27条1項に規定する構造方法・認定を受けたもの)

・2時間準耐火構造(令元国交告193号第1  8項)

・90分間準耐火構造(令元国交告193号第1 9項)

・75分間準耐火構造(令元国交告193号第1 10項)

・1時間準耐火構造

・準耐火構造

・耐火構造(耐火性能検証法を適用したものを含む)

通常火災終了時間防火設備についても同様の構成となっており、計算によって算出した通常火災終了時間以上の性能を持つ防火設備を適用します。

区画開口部の戸や区画貫通部などに適用できる防火設備には以下があります。

・法61条による大臣認定を受けた防火設備

・90分間防火設備(令元国交告193号第1 11項)

・75分間防火設備

・特定防火設備

・45分間防火設備 等

外壁開口部には、袖壁やひさし等による効果を含めた上階延焼抑制防火設備についても必要避炎時間の計算によって算出し設計したものを設けます。

火災時倒壊防止構造が適用できる条件は令元国交告193号第1  1項1号に次の(イ)~(チ)について定められています。

(イ)防火区画の設置(100㎡以内ごと等)
(ロ)防火区画を給水管等が貫通する場合の措置
(ハ)防火区画を風道が貫通する場合の措置
(二)直通階段の設置
(ホ)外壁開口部に上階延焼抑制防火設備の設置
(ヘ)居室に自動火災報知設備の設置
(ト)建築物の周囲の通路の設置
(チ)スプリンクラー設備の設置

法21条に規定する75分間準耐火の措置、1時間準耐火の措置、30分の加熱に耐える措置の代わりに火災時倒壊防止構造による建築物とすることも可能です。

法27条の用途の規定にも該当する建築物の場合も、火災時倒壊防止構造とすることで特定避難時間の確認の必要はありません。

本記事では「避難時・火災時倒壊防止建築物」と表現します。

なお、内装は、適用した主要構造部に応じて制限がかかります。

 

防火措置による高さ制限の回避

防火措置による高さ制限の回避

高さが16mを超えても、地階を除く階数が4階建て以下であれば、階数に合わせた防火措置を行えば、主要構造部を準耐火構造としなくとも建てられます(令109条の5)。

なお、内装制限は、75分準耐火の措置と1時間準耐火の措置は特定準耐火建築物として、30分の加熱に耐える措置は「その他」としての制限となります。

 

大規模木造建築物等の外壁等(法25条)

大規模木造建築物等の外壁等(法25条)

延べ面積が1,000㎡を超える大規模木造建築物等は、外壁および軒裏の延焼のおそれのある部分を防火構造とし、屋根も不燃化などの措置が必要となります。

 

大規模木造建築物の敷地内通路(令128条の2)

大規模木造建築物の敷地内通路(令128条の2)

耐火建築物以外の木造建築物で延べ面積が1,000㎡を超え3,000㎡以下の場合、隣地境界線に接する部分の通路はその幅員を1.5m以上、同一敷地内の建築物に接する部分の通路はその幅員を3m以上としなければなりません。

道に接する部分については幅員の規定はありません。

 

SE構法へのお問合せ、ご相談について

SE構法へのお問合せ、ご相談について

大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。

1.構造設計

SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。

2.概算見積り

SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。

3.調達

物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。

4.加工

構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。

5.施工

SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)

6.非住宅版SE構法構造性能保証

業界初の非住宅木造建築に対応した構造性能保証により安心安全を担保し、中大規模木造建築の計画の実現を後押しします。

↓SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。

https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/

 

まとめ

SE構法は、その高精度な構造計算と設計自由度の高さにより、安全性とデザイン性を両立した木造建築が実現できます。

さらに、燃え代設計を組み合わせることで、木材を活かした魅力的な空間を提供しつつ、防火性能を確保することが可能です。

これらの特徴により、SE構法は、公共施設や商業施設、教育施設など、さまざまな用途での活用が広がっています。

NCNは構造設計から生産設計(プレカット)までのワンストップサービスが強みです。

計画段階からご相談いただくことで、木構造デザインの木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談いただくことで、合理的に設計を進めていただければと考えております。

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

関連:「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。

構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

関連:「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。