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WOODEN STRUCTURE中大規模木造

木造でも高さ16m以下であれば防耐火要求無し!改正建築基準法の解説

  • 木造でも高さ16m以下であれば防耐火要求無し!改正建築基準法の解説 -

20196月末に改正建築基準法が施行されました。これまでは、防火地域、準防火地域以外に計画される建築物は、最高高さ13m超または軒高9m超の条件に該当する場合、耐火建築物等にすることが求められました。今回の改正により軒高の制限が解除され、最高高さ16m以下であれば防耐火要求のかからない、その他の建築物として設計できるようになります。

 

<このコラムでわかること>

改正建築基準法:規模の観点に係る主要構造部規制の合理化

改正建築基準法主要構造部非損傷性遮熱性遮炎性が定められる

改正建築基準法通常火災終了時間という概念

 

改正建築基準法:規模の観点に係る主要構造部規制の合理化

建築基準法第21条第1項では、従前は、その主要構造部を「第2条第九号の二イに掲げる基準に適合するものとしなければならない」とされていました。

今回の改正により、「通常火災終了時間(建築物の構造、建築設備及び用途に応じて通常の火災が消火の措置により終了するまでに通常要する時間をいう)が、経過するまでの間、当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもの」とすることとされました。

今回の見直しにより、条文の性質自体が単なる仕様を規定するものから性能規定条文に見直されたことに加えて、「通常火災終了時間」という新たな概念が提示されました。

 

改正建築基準法:主要構造部に非損傷性・遮熱性・遮炎性が定められる

新しい建築基準法第21条第1項においては、この点について性能規定化を行い、規定する建築物のうち耐火建築物以外のもの(「火災時対策建築物」という。)については、「通常火災終了時間に基づく構造(「火災時準耐火構造」という。)とすればよいものとしたことで、建築物に求められる性能に対応した主要構造部を定めることになりました。

これに伴い、条文上は主要構造部に必要とされる性能に関する技術的基準を建築基準法施行令第109条の5において定めることになり、主要構造部の各部分に応じて、非損傷性・遮熱性・遮炎性が定められました。

なお、各主要構造部に対する非損傷性・遮熱性・遮炎性の位置付けは、従来の耐火構造・準耐火構造の枠組みと同一であり、さらに、平成26年に改正された建築基準法第27条第1項において新たに規定された建築物のうち耐火建築物以外のもの(「避難時対策建築物」という。)において、主要構造部に「特定避難時間に基づく構造(「避難時対策準耐火構造」という。)を要求することとしたものと同様です。

 

改正建築基準法:通常火災終了時間という概念

「通常火災終了時間」については、建築物の「構造」「建築設備」「用途」に応じて定める時間であることが明文化されています。実際に時間を算定する際には、例えば、区画の設置状況(構造)、内装の仕上げに用いる材料(構造)、スプリンクラーの設置状況(建築設備)、燃えぐさとなる収納可燃物の量(用途)などに基づく計算を行うものであることが示されています。

また「通常火災終了時間」の性質については、爆発などの異常な燃焼現象をモデルとするものではなく「通常の火災」を対象としている点では従来の考え方と変わりはありません。

耐火構造が「通常の火災が終了するまでの間(建築基準法第2条第七号)を想定してきたのに対して、火災時対策準耐火構造の場合は、主要構造部が燃焼する可能性を踏まえつつ、収納物と内装材料以外の燃焼現象による火災継続も視野に入れて、消火の措置が機能することで強制的に火災を終了させるモデルを想定していることが示されています。

通常火災終了時間を算出する前提としては、「消火の措置」が適切に機能するためのハード面での対応が必要となります。この「消火の措置」は、公設消防による放水活動を予定していますが、公設消防が火災現場に到着した時点で複数階や複数室において同時に火災が展開しているような状況では、火災の発生時点では「通常の火災」であったとしても、「消火の措置」が有効に機能しないおそれもあり、「(火災が)終了するまでに通常要する時間」を算出することは困難になります。

そのため、具体的に通常火災終了時間を計算するための条件として、「火災が火災室に留まるような消火上の対策をハード面で措置すること」を求めることとされています。標準的な消火活動が適切に行われるようにするため、対象となる建築物をモデル化するために必要な条件を設定することになります。具体の条件は告示で規定されることになっています。

 

まとめ

従来の建築基準法では、最高高さが13mを超える、もしくは軒高が9mを超える建築物は、耐火建築物にする必要がありました。今回の改正では軒高の制限が解除され、最高高さ16m以下であれば、その他の建築物として設計できるようになります。今後、防火地域、準防火地域以外で中大規模木造を計画する場合、これまでのような防耐火要求を満たす必要がなくなることから、設計の自由度やコストパフォーマンスが向上します。

これまでの法改正直後の状況をふりかえっても、改正建築基準法の解釈や運用方法については、行政窓口が混乱していたり関連する条例等も整備されていない場合も多いので、本コラムの内容も「改正内容の要点解説」となることのご理解、ご了承をお願いします。建築実務者の皆様においては、安易に自己判断せず、該当の行政窓口や指定検査確認機関等によく内容を確認をしてから設計や施工を進める必要がありますのでご注意ください。

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