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WOODEN STRUCTURE中大規模木造

鉄骨造の危機で木造への転換が活性化!中大規模木造の方が鉄骨造より有利な理由

  • 鉄骨造の危機で木造への転換が活性化!中大規模木造の方が鉄骨造より有利な理由 -

近年、建設用鋼材の急騰や材料不足が顕在化する事態が生じたり、建設職人の高齢化や人材不足などにより、鉄骨造の建設コストは高騰していく傾向にあります。国は木造利用を広げるための重要な施策として、「公共建築物木材利用促進法」施行や、「建築基準法」改正により木造化を強化しています。そうした流れを受けて、福祉施設や商業施設などでこれまで鉄骨造で計画されていた建物が、徐々に木造へと転換する動きが活性化しています。鉄骨造から木造への転換では、大スパンや短工期などの課題に対応する必要がありますが、中大規模木造でも対応は可能です。このコラムではその理由についてお伝えします。

<このコラムでわかること>

・鉄骨造の課題は鋼材や施工コストが高く納期が長い

・木造化を進める新法や建築基準法改正により木造が建てやすい時代に

・木造メリット1鉄骨造より設計施工も仕組み化されている

・木造メリット2鉄骨造より材料の納期施工期間も早い

・木造メリット3鉄骨造より構造材建材施工費が安い

・木造デメリット鉄骨造と同様には大スパン大空間高層化を実現できない

・鉄骨造から木造へ転換した事例:レストランウェディング

 

鉄骨造の課題は鋼材や施工コストが高く納期が長い

建築用鋼材の代表品であるH形鋼は過去30年間で約4割値上がりしたと言われています。201911月現在、H形鋼の主要メーカーは10社を割り込み、国内生産量もバブル期のピークの半分にとどまります。流通事業者の廃業などもあり、市場への出荷量が抑えられています。鉄骨造の抱える課題は建設業界の構造的な問題でもあります。

鉄骨造の鋼材高騰の問題は様々な形で表れます。大規模な建築の場合、工事の受注から資材調達までの期間が長く、最終の資材価格を確定できないことから、施工者はコストの見通しが立てにくくなります。結果として、見積り金額は「高めの金額」にならざるを得ません。

鋼材の納期も大きな問題です。鋼材は設計に合わせた受注生産となるため、発注から納入までの期間が数ヶ月かかりますが、鋼材の品薄が続いていることからこれまで以上の期間がかかるという状態が続いています。納期の遅れは全体の工期に影響を及ぼすため、事業計画が立てられないという深刻な事態です。

鉄骨造を施工するための建設職人の確保も大きな問題です。高齢化や人材不足などにより建設職人を集めることが本当に困難になっています。貴重な建設職人をそれぞれの現場で「奪い合う」図式となるため、必然的に人件費は高くなる傾向になります。

 

 

木造化を進める新法や建築基準法改正により木造が建てやすい時代に

大規模木造建築

これまで日本は木を育てる時代でしたが、これからは木を伐採して利活用する時代に入っています。特に林業や建設業には固有の課題があり、思うように木造需要が伸びていません。そのような状況を改善するために、木造で建設することを後押しするような新法の施行や法改正が行われています。

まず2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されて、原則として低層の建築物は木造で計画することになり、各地で木造の公共建築が建てられるようになりました。

森林環境税と森林環境譲与税も創設されました。森林環境税の財源としてはおおよそ600億円と見込まれています。森林環境譲与税は徴収した森林環境税を、利用する主体である市町村と都道府県に配分する際の名称となります。

2019年に「建築基準法」も改正されて、木造で計画しやすい状況になりました。主なポイントは下記のコラムでご確認ください。

・木造でも高さ16m以下であれば防耐火要求無し

・木造の準耐火建築物の可能性が広がる

・準耐火の適用範囲拡大

 

木造のメリット1:鉄骨造より設計も施工も仕組み化されている

大規模木造建築

木造は一般流通材の木材、建材が規格化、モジュール化されています。ほとんどの建材が木造住宅用に開発、生産されているため、その規格やモジュールをうまく活用することで設計や施工を合理的に行うことができます。

設計に関しては、木造は910mmの基本構造モジュールが基本となっています。建物全体をそのモジュールで設計することで、既製品をうまく活用することができます。木造は、合板の寸法910mmに合わせると無駄がなく経済的な設計が可能になります。

施工に関しては、木造のプロである大工さんが木工事のキーパーソンになります。住宅でも非住宅でも木工事に関する部分は共通ですので、施設建築においても木造らしい表現が可能になります。

 

木造のメリット2:鉄骨造より材料の納期も施工期間も早い

大規模木造建築

木造で使用する一般流通材の木材、建材は、戸建住宅市場で大量に流通しているため、納期があまりかからないことが特徴です。

構造材は一般流通材の木材であればあまり納期がかからないで手配することも可能ですし、特注材がある場合でも早めに発注することで工期に影響することはありません。

木造の構造躯体は、主にプレカット工場で加工されます。現在、住宅向けのプレカットは、在来仕口用および在来金物用とも一般化しており、柱や梁の木質部材の梁幅120mm、梁せい450mm、材長6m程度のサイズであれば、ほとんどのプレカット工場で対応可能です。

中大規模木造においても、そうした住宅向けの環境をうまく活用することで、鉄骨造と比較して大幅に納期の短縮が可能になります。

施工に関しては、木造は鉄骨造ほど建設職人を手配することは困難ではありません。建物規模や工期に応じて大工さんや職人さんを手配することが可能となり、鉄骨造と比較して工期を短縮できます。

 

木造のメリット3:鉄骨造より構造材や建材、施工費が安い

大規模木造建築

木造で使用する一般流通材の木材、建材は、戸建住宅市場で大量に流通しているため、相場の変動が少なく、価格が安定していることが特徴です。

木造と鉄骨造で使用する建材を部材ごとに比較しても、規格寸法があるアルミサッシなど、ほとんどの建材が木造のほうが安くなります。

基礎の断面寸法が鉄骨造と比較してとても小さいことから、基礎工事の材料費、施工費、残土処分費なども大幅に軽減できます。建物重量がとても軽くなることから、地盤改良コストも抑えることができます。

設計に関しては、木造のモジュールを意識した設計とすることで、材料の歩留まりがよくなり、施工手間が軽減されることで、結果として建設コストが安くなります。

 

木造のデメリット:鉄骨造と同様には大スパン、大空間、高層化を実現できない

大規模木造建築

木造と鉄骨造では構造的な特性に大きな違いがあります。

鉄骨造に向いているのは主に下記のような建築、空間です。

・スパンがとても大きい大空間(大規模な商業施設など)

・構造の階高がとても高い空間(工場など)

・4階建て以上の中層もしくは高層建築物

・柱の無い空間が求められる建築物

そのため、鉄骨造から木造への転換のポイントは「適材適所」で検討することです。

構造的な課題としては、大スパン部分を大断面部材やトラス、張弦梁などを活用することで対応できます。福祉施設や商業施設は、平屋もしくは2階建ての低層の建築物が多いため、木造への転換はしやすいと言えます。

 

鉄骨造から木造へ転換した事例:レストランウェディング

木造耐火

上の写真は、結婚式場のレストランです。駅前で防火地域ということもあり、建物の規模から耐火建築物であることが求められました。当初は鉄骨造で計画されましたが、建設コストを下げることや、工期を短縮するために木造の耐火建築物として建設されました。

 

まとめ

鉄骨造のコストや流通、納期等の問題を受けて、福祉施設や商業施設などでこれまで鉄骨造で計画されていた建物が、徐々に木造へと転換する動きが活性化しています。鉄骨造で計画されていた建物を、大きな設計変更をすることなく、中大規模木造として成立させることが鍵となります。

鉄骨造より木造に設計変更する場合には、コストダウンのためのポイントがあります。木造のモジュールを意識してプランを調整すること、アルミサッシなどの建材は極力木造用の既製品を使う、大スパン部分以外はなるべく特注材は使用しないことなどです。

コストや流通、納期等の問題についても、鉄骨造と比較して木造の方が有利です。部材コストも安くなりますし、流通も整備されており、納期も大幅に短縮できます。木造とすることで建物重量が軽くなるため、地盤改良工事費、基礎工事費が大幅に安くできることもメリットです。

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