耐震構法SE構法が「強くて、安い」のは構造フレームと耐力壁にワケがある
SE構法の魅力の一つに中大規模木造の構造躯体を「強くて、安く」提供できることにあります。設計から施工までのシステム化された仕組みに加えて、構造用集成材の一般流通材をベースとした構造材と専用のSE金物による合理的な構造フレームと耐力壁の併用がその理由です。このコラムでは、SE構法の構造フレームと耐力壁について詳細を解説します。
<このコラムでわかること>
- SE構法における柱の配置
- SE構法における梁の配置
- SE構法における耐力壁の配置
- SE構法における耐力フレーム
SE構法における柱の配置
構造フレームとは各通りの立面グリッド上に配置された柱・梁・耐力壁などで構成されたフレームです。
SE構法の通し柱・主柱は原則として柱勝ちとし、各高さに応じた柱を配置します。通し柱・主柱の断面サイズは、120mm角と170mm角があります。通常は120mm角で設計を行ないます。通し柱・主柱は原則として各平面グリッドの4隅に配置します。通し柱・主柱は各立面グリッドの両端に配置します。
SE構法の構造フレームとしての管柱は120mm角が標準サイズとなります。構造フレームとしての管柱は構造グリッド線上に配置します。
SE構法における梁の配置
SE構法の大梁は梁幅120mmで、梁成は450mmまでが標準サイズになります。SE構法の大梁は原則として平面グリッド上に配置し、通し柱・主柱をつなぐように配置します。大梁は各立面グリッド上に配置し、通し柱・主柱をつなぐように配置します。
SE構法の小梁は構造フレームではありませんが、荷重を構造フレームに伝達させるための重要な部材です。SE構法の小梁は梁幅120mmで、梁成は150〜450mmまでが標準サイズになります。
SE構法の小梁は、平面グリッド上内で大梁に囲まれた区画内に配置します。配置する位置は構造モジュールに合わせて配置します。配置方向により受ける大梁の断面サイズが異なりますので注意してください。
SE構法における耐力壁の配置
SE構法における耐力壁は構造用面材の9mm・12mmが標準となります。指定された面材以外を耐力壁として使用することはできません。耐力壁の配置については、以下の点に注意してください。
- 平面上、バランスよく配置する。
- 外周部の耐力壁合板は大壁納まりを標準とする。
- 耐力壁の長さは455mm 以上です。
- できるだけ通し柱・主柱の脇に配置する。
- できるだけ上下階の配置位置を合わせる。
配置によっては、上下の梁の負担が増え断面サイズが大きくなり不経済になる場合があります。
SE構法における耐力フレーム
平面計画上、どうしても耐力壁が設置できない場合、代わりに耐力フレームを配置することができます。耐力フレームとは、平角柱と大梁で構成した門型の構造フレームです。柱脚部と柱梁接合部の曲げ剛性を上げることで、ラーメンとしての効果が期待できます。
耐力フレーム配置の際は以下の点に注意してください。
・柱サイズは下のグラフに記したA・B・C の3 種類です。
・耐力フレームの大梁は梁成390mm 以上とする。
・耐力フレームの上部は必ず床合板を用いた水平構面とする。
注意:吹き抜け部には使用できません。
・耐力フレーム1 カ所の強度は下のグラフを参考としてください。
まとめ
SE構法では意匠設計に応じて適切な構造計画を行ない、構造フレームや耐力壁を効果的に用いることで、構造躯体の安定性とコストパフォーマンスが両立でき、「強くて、安い」木造が実現します。
NCNでは様々な中大規模木造の設計、施工実績がございますので、お気軽にご相談ください。