【兵庫県】中大規模木造の実務ポイントとSE構法事例まとめ
脱炭素社会への移行に向けて、木造化・木質化への流れが加速しています。日本国内においても、各都道府県で県産材の活用などの取り組みを進めています。
兵庫県では県産木材の需要拡大を図っています。その柱となるのは、公共施設の木造・木質化の推進、県産木材を利用した木造住宅の建設促進、そして、県産材を使用した製品の利用啓発活動です。公共施設においては、木造化・木質化率50%という目標を掲げています。
この記事では、兵庫県における中大規模木造の実務ポイントとSE構法事例についてお伝えします。
<このコラムでわかること>
・中大規模木造の普及が進む兵庫県の特徴
・兵庫県建築物木材利用促進方針
・兵庫県における公共建築物等の木材利用
・兵庫県の中大規模木造に最適なSE構法の概要
・【兵庫県のSE構法事例】「ノバシステム淡路島保養所」
・【兵庫県のSE構法事例】「済納寺」
・【兵庫県のSE構法事例】「わく歯科医院」
・SE構法へのお問合せ、ご相談について
・まとめ
中大規模木造の普及が進む兵庫県の特徴
兵庫県は、南部の瀬戸内海沿岸は阪神工業地帯や播磨臨海工業地帯といった日本有数の重化学工業の集積地となっており、近畿圏最多の工場立地数となっています。
兵庫県は一方で、中部から北部にかけては農林水産業が主な産業であり、過疎地や豪雪地帯も抱えています。
兵庫県は南北に長い県域を持ち、近畿地方の府県で最大の面積です。
兵庫県は、北は日本海、南は瀬戸内海の2つの海に接している県でもあります。
兵庫県北部は日本海側気候、兵庫県南部は瀬戸内海式気候で、北部の自治体は豪雪地帯に指定されています。
神戸市は明石海峡大橋の開業で淡路島や四国への高速バスが発達しています。
兵庫県建築物木材利用促進方針
「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」として改正され、公共建築物に限らず民間建築物も含めて木材利用の促進を図っていくことになりました。
兵庫県では「兵庫県建築物木材利用促進方針」を策定して県内の建築物における県産材の利用を促進すると共に、公共建築物等における県産木材の利用を推進しています。
第1 建築物における木材の利用の促進の基本的方向
1 県産木材の利用促進
2 建築物への木材利用の基本的方向
第2 建築物における木材の利用の促進のための施策に関する基本的事項
1 建築物への木材利用促進のための施策の方向性
2 建築物における木材利用の促進
3 木造建築物の設計及び施工に係る先進的な技術の普及の促進等
4 建築物木材利用促進協定制度の活用
5 木材利用の促進の啓発
第3 県が整備する公共建築物における木材の利用の目標
第4 建築用木材の適切かつ安定的な供給の確保に関する基本的事項
1 木材の供給に携わる者の責務
2 建築用木材の生産に関する技術の開発等に関する事項
第5 その他建築物における木材の利用の促進に関し必要な事項
1 市町方針の作成に関する事項
2 公共建築物の整備等においてコスト面で考慮すべき事項
3 建築物における木材利用の促進のための体制整備に関する事項
兵庫県における公共建築物等の木材利用
公共建築物は、広く国民一般の利用に供するものであることから、木材を用いることにより、木と触れ合い、木の良さを実感する機会を幅広く提供することができます。
このため、建築物木材利用促進基本方針では、公共建築物について、積極的に木造化を促進することとしています。
林野庁の資料「森林・林業白書」によると、兵庫県では下記のように木造率が推移しています。
・2017年度:建築物全体(37.3%)、公共建築物(9.6%)、うち低層の公共建築物(19.1%)
・2019年度:建築物全体(40.5%)、公共建築物(8.0%)、うち低層の公共建築物(27.3%)
・2021年度:建築物全体(39.8%)、公共建築物(6.9%)、うち低層の公共建築物(19.1%)
2022年度以降に整備に着手する国の公共建築物については、建築物木材利用促進基本方針に基づき、計画時点においてコストや技術の面で木造化が困難であるものを除き、原則として全て木造化を図ることになっています。
兵庫県の中大規模木造に最適なSE構法の概要
耐震構法SE構法(以下、SE構法)は、大規模木造建築物の技術を基に開発された技術です。
SE構法は構造計算された耐震性の高い木造建築を実現する、独自の建築システムです。
SE構法は耐震性の高さ、設計の自由度、コストパフォーマンスの良さ、ワンストップサービス等で高い評価を受けており、さまざまな大規模木造の実績が増えています。
SE構法は、単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。
関連記事:耐震構法SE構法は全棟で立体解析による構造計算を実施
SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。その合理的なシステムが、設計・施工のプロセスにおいて納期や工期の短縮につながります。
関連記事:「ウッドショック等のリスクにSE構法のワンストップサービスが強い理由」
【兵庫県のSE構法事例】「ノバシステム淡路島保養所」
兵庫県洲本市で建てられた保養所です。
SE構法のスペックを活かして、大開口・大空間を実現しています。
<「ノバシステム淡路島保養所」の概要>
・用途:保養所
・構造:木造(SE構法)
・階数:2階建
・延床面積:647㎡
【兵庫県のSE構法事例】「済納寺」
兵庫県丹波市で建てられた寺院です。
寺社建築ですが、SE構法のスペックを活かして、大空間を実現しています。
<「済納寺」の概要>
・用途:寺院
・構造:木造(SE構法)
・階数:平屋建
・延床面積:453㎡
【兵庫県のSE構法事例】「わく歯科医院」
兵庫県丹波市で建てられたクリニックです。
庇にあたる部分を建物本体と一体のボリュームとして扱い、ファサードを水平性を強調するデザインでまとめています。
<「わく歯科医院」の概要>
・用途:病院(クリニック)
・構造:木造(SE構法)
・階数:平屋建
・延床面積:600㎡
SE構法へのお問合せ、ご相談について
大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。
1.構造設計
SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。
2.概算見積り
SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。
3.調達
物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。
4.加工
構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。
5.施工
SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)
6.非住宅版SE構法構造性能保証
業界初の非住宅木造建築に対応した構造性能保証により安心安全を担保し、中大規模木造建築の計画の実現を後押しします。
↓SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。
https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/
まとめ
非住宅木造においては、SE構法の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、施工性向上を実現することができます。
SE構法は構造用集成材の中断面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。
スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することも可能です。
計画段階からNCNの特建事業部に相談することで、木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計実務を進めることが可能です。
集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。
また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。
株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。