【宮崎県】中大規模木造の実務ポイントとSE構法の技術
脱炭素社会への移行に向けて、木造化・木質化への流れが加速しています。日本国内においても、各都道府県で県産材の活用などの取り組みを進めています。
宮崎県は、県土の約4分の3を森林が占めており、先人による積極的な植林や適切な管理が行われてきた結果、全国に先駆けて人工林資源が充実している状況にあります。特に杉の素材生産量は長きにわたり日本一を誇るなど、名実ともに日本有数の林業県としての地位を確立しています。
この記事では、宮崎県における中大規模木造の実務ポイントとSE構法事例についてお伝えします。
<このコラムでわかること>
・中大規模木造の普及が進む宮崎県の特徴
・宮崎県木材利用促進条例
・宮崎県の「みやざきの木造化・木質化相談窓口」
・宮崎県における公共建築物等の木材利用
・宮崎県の中大規模木造に最適なSE構法の概要
・SE構法へのお問合せ、ご相談について
・まとめ
中大規模木造の普及が進む宮崎県の特徴
宮崎県の気候は全体的に日照時間・降水量ともに全国で上位で、冬は乾いた西風が卓越し、快晴の日が多いです。
国内で冬に多照となる地域として最も暖かいこの気候を利用し、宮崎県にはプロスポーツチームのキャンプやゴルフ客が多数訪れます。
宮崎県は日本有数の農業県であり、温暖な気候を利用し、稲作においては超早場米の生産地として有名です。
宮崎県は野菜・果実などの促成栽培、葉たばこ・サツマイモなどの商品性作物の生産が盛んで、県中央部に広がる宮崎平野では、冬季の日照に恵まれた温暖な気候を利用して様々な野菜が栽培されています。
宮崎県の牧畜業は、乳牛・肉牛・豚・鶏の全てにおいて日本有数の生産高を誇ります。
宮崎県は木材の国産材の供給基地としての役割を担っており、県木に指定されているオビスギはシロアリの殺蟻活性成分を持ち、全国一の生産高を占めます。
宮崎県木材利用促進条例
林業先進県である宮崎県において、森林資源の活用時期を迎える今、県産木材を積極的に利用していくことは、森林の有する多面的機能の発揮を促し、脱炭素社会の実現、地域経済の活性化等に貢献するなど、非常に重要な意味を持ちます。
宮崎県では、緑豊かで美しい県土を守り、次世代に引き継いでいくため、宮崎県産木材の利用の促進を通じて、林業の成長産業化による地方創生の実現及び持続可能な循環型社会の構築を目指し、「宮崎県木材利用促進条例」を制定しています。
宮崎県木材利用促進条例第13条では、「県産木材の利用促進等」について下記のように定められています。
1 県は、公用又は公共用に供する建築物、工作物、土木施設等の整備に当たっては、自ら率先して県産木材を利用するよう努めるものとする。
2 県は、住宅、事務所、商業施設等における県産木材の利用の促進を図るため、事業者における連携体制の構築その他必要な施策を講ずるものとする。
3 県は、県産木材の県外出荷及び海外輸出の促進を図るため、市場の調査その他必要な施策を講ずるものとする。
4 県は、県産木材の利用の促進を図るため、木材利用技術の向上に努めるものとする。
宮崎県の「みやざきの木造化・木質化相談窓口」
宮崎県では町村や民間事業者が整備する県産木材等を活用した建築物の木造化・木質化を支援するため、「みやざきの木造化・木質化相談窓口」を開設しています。
<木造化・木質化相談窓口の概要>
「みやざきの木造化・木質化相談窓口」では、宮崎県内において建築物の木造化や内装等木質化を検討されている方や宮崎県産木材の利用を検討されている方、又はその設計者や施工者、木材産業事業者からの建築物の木造化・木質化に関する様々な相談等に対して、木造建築物の企画や設計、木材の調達等に関する知識と経験が豊富な専門家が技術的な支援や情報提供が行われます。
<相談窓口の概要> 相談窓口の対象者は、公共建築物(市町村等が整備する公共の用又は公用に供する建築物)のほか、民間建築物(戸建て住宅を除く。)の木造化や内装等木質化に携わる設計者、施工者、木材産業事業者やその事業者です。
企画から、計画、設計、施工、維持管理の各段階における課題解決のための技術的助言や木材関連の情報を提供します。 |
宮崎県における公共建築物等の木材利用
公共建築物は、広く国民一般の利用に供するものであることから、木材を用いることにより、木と触れ合い、木の良さを実感する機会を幅広く提供することができます。
このため、建築物木材利用促進基本方針では、公共建築物について、積極的に木造化を促進することとしています。
林野庁の資料「森林・林業白書」によると、宮崎県では下記のように木造率が推移しています。
・2017年度:建築物全体(48.8%)、公共建築物(26.8%)、うち低層の公共建築物(41.4%)
・2019年度:建築物全体(51.4%)、公共建築物(24.7%)、うち低層の公共建築物(36.2%)
・2021年度:建築物全体(53.6%)、公共建築物(15.9%)、うち低層の公共建築物(24.1%)
2022年度以降に整備に着手する国の公共建築物については、建築物木材利用促進基本方針に基づき、計画時点においてコストや技術の面で木造化が困難であるものを除き、原則として全て木造化を図ることになっています。
宮崎県の中大規模木造に最適なSE構法の概要
耐震構法SE構法(以下、SE構法)は、大規模木造建築物の技術を基に開発された技術です。
SE構法は構造計算された耐震性の高い木造建築を実現する、独自の建築システムです。
SE構法は耐震性の高さ、設計の自由度、コストパフォーマンスの良さ、ワンストップサービス等で高い評価を受けており、さまざまな大規模木造の実績が増えています。
SE構法は、単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。
関連記事:耐震構法SE構法は全棟で立体解析による構造計算を実施
SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。その合理的なシステムが、設計・施工のプロセスにおいて納期や工期の短縮につながります。
関連記事:「ウッドショック等のリスクにSE構法のワンストップサービスが強い理由」
SE構法へのお問合せ、ご相談について
大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。
1.構造設計
SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。
2.概算見積り
SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。
3.調達
物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。
4.加工
構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。
5.施工
SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)
6.非住宅版SE構法構造性能保証
業界初の非住宅木造建築に対応した構造性能保証により安心安全を担保し、中大規模木造建築の計画の実現を後押しします。
↓SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。
https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/
まとめ
非住宅木造においては、SE構法の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、施工性向上を実現することができます。
SE構法は構造用集成材の中断面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。
スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することも可能です。
計画段階からNCNの特建事業部に相談することで、木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計実務を進めることが可能です。
集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。
また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。
株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。