【静岡県】中大規模木造の実務ポイントとSE構法事例まとめ
脱炭素社会への移行に向けて、木造化・木質化への流れが加速しています。日本国内においても、各都道府県で県産材の活用などの取り組みを進めています。
静岡県では県産材の利用拡大を目的に「”ふじのくに”公共建築物等木使い推進プラン」を県方針として位置付け、公共建築物での木材利用拡大に努めています。また「ふじのくに炭素貯蔵建築物認定制度」を設けて、静岡県内で静岡県産木材を利用して新築、増改築、木質化した非住宅建築物の炭素貯蔵量(県産材利用分)を認定する仕組みを実施しています。
この記事では、静岡県における中大規模木造の実務ポイントとSE構法事例についてお伝えします。
<このコラムでわかること>
・中大規模木造の普及が進む静岡県の特徴
・静岡県の「”ふじのくに”公共建築物等木使い推進プラン」
・静岡県の「ふじのくに炭素貯蔵建築物認定制度」
・静岡県における公共建築物等の木材利用
・静岡県の中大規模木造に最適なSE構法の概要
・【静岡県のSE構法事例】教会「日本基督教団掛川教会」
・【静岡県のSE構法事例】介護施設「看護小規模多機能型居宅介護ナースの森」
・SE構法へのお問合せ、ご相談について
・まとめ
中大規模木造の普及が進む静岡県の特徴
静岡県は、北側は広大な南アルプス、南側には駿河湾、遠州灘に面しています。
全国13番目に広大な県域を保ち、全国10位の約360万人の人口を有する県です。
静岡県は、全国有数の工業地域でもあり、第一次産業も盛んであり、東西の交通網や港湾を利用した6次産業化も進んでいます。
また、富士山、三保の松原などの世界遺産や、熱海温泉、登呂遺跡など多くの観光資源を有し、年間約1.5億人の観光客が訪れます。
静岡県の総面積の約64%が非可住の森林で構成されており、僅かな平野部に人口の大半が集積し高密度な都市を形成しています。
大半の地域が太平洋側気候ですが、北部の山間部は中央高地式気候で標高差が大きいため、地域による寒暖の差が激しいです。
冬の平野部や沿岸部は黒潮の影響で本州の中でも非常に温暖な地域でもあります。
静岡県の「”ふじのくに”公共建築物等木使い推進プラン」
静岡県には、天竜スギや富士ヒノキといったブランドの木材があります。
県産材の利用拡大を目的に「静岡県森林と県民の共生に関する条例」で公共事業への地域材利用の指針を規定するとともに「”ふじのくに”公共建築物等木使い推進プラン」を県方針として位置付け、公共建築物での木材利用拡大に努めています。
木造建築物に関する技術研修会を実施するなど、市町への技術的支援が行われています。
「公共建築物等の木造・木質化に関する基準」に基づき、公共建築物の木造化・木質化を推進し、CLTや木質耐火部材等の新たな木質部材の活用や県産材の利用拡大を進めています。
静岡県の「ふじのくに炭素貯蔵建築物認定制度」
静岡県内で静岡県産木材を利用して新築、増改築、木質化した非住宅建築物の炭素貯蔵量(県産材利用分)を認定する制度です。
認定建築物の申請者には、県産木材使用量に相当する炭素貯蔵量が記入された木製の認定証が交付されます。
<制度活用のポイント>
・建築物への木材利用で「都市等における第2の森林づくり」に貢献できる
・環境貢献度を「見える化」でき、自社のイメージアップにつながる
<認定の条件>
・静岡県内で木造、木質化した非住宅建築物(店舗、事務所、施設等)に限定
・しずおか優良木材等の県産材製品を10m3以上使用していること
・令和5年度の3月8日までに県産材使用部分の施工が終わっていること
静岡県における公共建築物等の木材利用
公共建築物は、広く国民一般の利用に供するものであることから、木材を用いることにより、木と触れ合い、木の良さを実感する機会を幅広く提供することができます。
このため、建築物木材利用促進基本方針では、公共建築物について、積極的に木造化を促進することとしています。
林野庁の資料「森林・林業白書」によると、静岡県では木造率が下記のように推移しています。
・2017年度:建築物全体(46.8%)、公共建築物(11.9%)、うち低層の公共建築物(23.6%)
・2019年度:建築物全体(48.6%)、公共建築物(13.0%)、うち低層の公共建築物(26.8%)
・2021年度:建築物全体(49.5%)、公共建築物(12.3%)、うち低層の公共建築物(27.8%)
2022年度以降に整備に着手する国の公共建築物については、建築物木材利用促進基本方針に基づき、計画時点においてコストや技術の面で木造化が困難であるものを除き、原則として全て木造化を図ることになっています。
静岡県の中大規模木造に最適なSE構法の概要
耐震構法SE構法(以下、SE構法)は、大規模木造建築物の技術を基に開発された技術です。
SE構法は構造計算された耐震性の高い木造建築を実現する、独自の建築システムです。
SE構法は耐震性の高さ、設計の自由度、コストパフォーマンスの良さ、ワンストップサービス等で高い評価を受けており、さまざまな大規模木造の実績が増えています。
SE構法は、単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。
関連記事:耐震構法SE構法は全棟で立体解析による構造計算を実施
SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。その合理的なシステムが、設計・施工のプロセスにおいて納期や工期の短縮につながります。
関連記事:「ウッドショック等のリスクにSE構法のワンストップサービスが強い理由」
【静岡県のSE構法事例】教会「日本基督教団掛川教会」
「日本基督教団掛川教会」は、静岡県掛川市に建つ教会です。
湾曲集成材による3ヒンジの山形ラーメンで構成される礼拝堂が印象的な教会です。
<「日本基督教団掛川教会」の概要>
・用途:教会
・構造:木造(SE構法)
・階数:平屋建て
・延床面積:196㎡
【静岡県のSE構法事例】介護施設「看護小規模多機能型居宅介護ナースの森」
「看護小規模多機能型居宅介護 ナースの森」は、株式会社訪問看護ステーション・ナースの森が静岡県伊東市内に建てた在宅生活支援施設です。
<「看護小規模多機能型居宅介護ナースの森」の概要>
・用途:看護小規模多機能型居宅介護
・構造:木造(SE構法)
・階数:平屋建て
・延床面積:416.35㎡
関連記事:SE構法の介護施設の事例紹介「看護小規模多機能型居宅介護ナースの森」
SE構法へのお問合せ、ご相談について
大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。
1.構造設計
SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。
2.概算見積り
SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。
3.調達
物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。
4.加工
構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。
5.施工
SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)
6.非住宅版SE構法構造性能保証
業界初の非住宅木造建築に対応した構造性能保証により安心安全を担保し、中大規模木造建築の計画の実現を後押しします。
↓SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。
https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/
まとめ
非住宅木造においては、SE構法の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、施工性向上を実現することができます。
SE構法は構造用集成材の中断面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。
スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することも可能です。
計画段階からNCNの特建事業部に相談することで、木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計実務を進めることが可能です。
集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。
また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。
株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。