中大規模木造建築の鍵となる構造用集成材の寸法と強度
中大規模木造建築の普及のためには、RC造や鉄骨造と同様に、設計のための技術情報を整備し、容易に使用できる標準部材を準備する必要があります。その鍵となるのが、構造用集成材です。このコラムでは、中大規模木造建築における構造用集成材の標準的な寸法や強度についてお伝えします。
<このコラムでわかること>
・中大規模木造建築における構造用集成材の断面寸法
・中大規模木造建築における構造用集成材の部材長
中大規模木造建築における構造用集成材の断面寸法
木質材料には、さまざまな樹種、再構成材があります。現在の状況に照らすと、構造用集成材の主流は、国産材ではスギやカラマツ、輸入材ではオウシュウアカマツです。
強度区分は、構造用集成材(対照異等級)では、スギE65-F225、カラマツE105-F300、オウシュウアカマツE105-F300、がそれぞれの標準的な材料です。強度等級は、曲げヤング係数(たわみにくさの指標を表すE)と、曲げ強さを表すFの組み合わせの等級区分により表示されます。 E-Fの等級は樹種やラミナの構成等により何種類もあります。
多く使用されている戸建住宅用の構造用集成材は、中断面のもので梁幅が105mmもしくは120mm、梁せいは150mmから450mm(梁せいは180mm、210mmなど30mmごとに製造されている)ものが、一般的に流通材として利用されています。
中大規模木造建築では空間が大きくなればなるほど、固定荷重や積載荷重も大きくなり、戸建住宅の応力とは異なる部材寸法を選択することになります。必要とされる防耐火性能も高くなるため、例えば準耐火建築物として燃え代設計を考慮すると、部材断面はその分大きくなります。
そのため、設計内容に応じて、梁幅が150mm以上、梁せいも450mm以上の大断面の部材を利用することになります。梁幅が大きくなると柱サイズにもよりますが意匠的な納まりにも影響がありますので、梁幅は120mmとして梁せいを上げて対応する構造計画が一般的です。
中大規模木造建築における構造用集成材の部材長
構造用集成材は、梁せいが6m以下のものを「標準材」として利用されています。
中大規模木造建築における構造用集成材の部材長の考え方も、戸建住宅用とは異なります。例えば学校の教室などでは、8m以上というスパンを架け渡す梁が必要になります。柱材についても、建物の階高が高くなるため、住宅用よりも長い部材長が必要になります。
構造用集成材のような再構成材は、部材長に限界はありますが、製造の自由度は比較的高いです。実際には、プレカット工場の加工体制、現場までの道路アクセスや運搬する車のサイズ、施工などの要因で部材長が決まることもあります。
まとめ
構造用集成材を用いた工法を選択した場合、コストパフォーマンスの高い設計を実現するためには、中断面の「標準材」をベースに、スパンが大きい部分などのみに「特注材」を用いる、適材適所の構造設計が重要になります。NCNが提供する耐震構法SE構法では、標準材や特注材の使い分けも可能ですし、提携プレカット工場では「住宅用の加工」も「大断面用の加工」も対応可能です。
NCNへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。