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【解説】大規模木造に適した構造用集成材をSE構法が採用する理由

  • 【解説】大規模木造に適した構造用集成材をSE構法が採用する理由 -

木造非住宅でも構造用集成材を使用するケースが増えてきましたが、これまでの木造非住宅において一般的に使用される無垢製材は強度性能のバラツキが大きく、建物規模によっては構造材として使えないこともあります。一方、構造用集成材は「科学された木材」と言われ、製造過程でひき板一枚一枚の節の大きさや曲げヤング係数を計測・選別して集成材化しており、表示通りの性能が発揮されるので構造材として安定しています。構造の安全性を保証するSE構法は部材の信頼性を重視し、全て構造用集成材を使用しています。このコラムでは大規模木造に適した構造用集成材をSE構法が採用する理由について詳しく解説します。

 

<このコラムでわかること>

大規模木造で求められる性能を有した構造用集成材の概要

大規模木造に適している構造用集成材のメリット

SE構法構造用集成材を使う理由

構造用集成材に関する性能

構造用集成材コスト

SE構法へのお問合せ、ご相談について

・まとめ

 

大規模木造で求められる性能を有した構造用集成材の概要

大規模木造で求められる性能を有した構造用集成材の概要

集成材は、ひき板や小角材等を材料として、その繊維方向を平行にそろえて、厚さや幅、長さの方向に集成接着した木材のことです。

その用途によって「造作用」と「構造用」に大別されます。造作用は、建物の内部造作などの非耐力部材に用いられ、構造用は、建物の骨組みなどの耐力部材に用いられます。

国際的には、集成材といえば構造用集成材を指します。日本農林規格(JAS)では、「造作用集成材」「化粧ばり造作用集成材」「化粧ばり構造用集成材」「構造用集成材」の4つに分類して、その品質や性能の基準を定めています。

構造用集成材は「科学された木材」と言われ、製造過程で板(ラミナ)1 枚ごとの節の大きさや曲げヤング係数を計測・選別して製造されています。

構造用集成材は、厳格な規格によって製造された工業製品と言えるもので、製材品に比べても優れた特性を持っています。例えば、割れ、そり、曲がり、ねじれ等の狂いが発生しにくく、また乾燥されているため、腐りにくいものです。

それに加えて、接着技術の進歩によって、より高い耐久性能も持っています。さらにJAS 認定工場で製造された構造用集成材は、接着剤の塗布管理を徹底していますので、集成材の接着剤の信頼性はより高く剥離することはありません。

日本農林規格(JAS)を満たした構造用集成材は、含水率試験の結果、同一試料集成材から採取した試験片の含水率の平均値が15%以下であることとされています。実際の含水率は、工場での製作時は10%程度、現場で施工する際には12〜13%と言われています。含水率が低いということは、材の狂いが少なく、強度が発揮されやすいと言えます。

大規模木造で構造用集成材を使用する理由は、「高い製造技術」と「優れた特性」があるからです。構造の安全性が特に求められる大規模木造では、部材の安定性・信頼性を重視し、主要な構造部材に構造用集成材を使用することが望ましいのです。

関連記事:「JASとは「日本農林規格」。JAS構造材の基礎知識」

 

大規模木造に適している構造用集成材のメリット

大規模木造に適している構造用集成材のメリット

大規模木造に適している構造用集成材のメリットは主に下記です。

構造用集成材のメリット1:材料強度が強い

構造用集成材とは、木を原材料に工場で二次加工された木質部材のうち特に強度特性が計算・評価・保証された木材製品です。強度等級は、曲げヤング係数(たわみにくさの指標を表すE)と、曲げ強さを表すFの組み合わせの等級区分により表示されます。 E-Fの等級は樹種やラミナの構成等により何種類もあります。

 

構造用集成材のメリット2:品質が安定している

乾燥されたラミナや単板を積層接着することで、寸法上の制約が少ない均質の部材を製造することが可能となり、製部材にありがちな木の割れ、節、乾燥による反り、ねじれ等の欠点が分散され、強度や精度が高い部材に仕上がります。また、人工林等が製造原料に使用されるため、木材の有効利用が可能となり、製造段階でもエネルギー消費が少なく、地球環境に優しい構造部材です。

 

3.構造用集成材のメリット:国産材を有効活用できる

木質材料には、さまざまな樹種、再構成材があります。現在の状況に照らすと、構造用集成材の主流は、国産材ではスギやカラマツです。強度区分は、国産材の構造用集成材(対照異等級)では、スギE65-F225、カラマツE105-F300がそれぞれの標準的な材料です。

関連記事:ウッドショックが顕在化させた木材供給リスクと国産材の課題

 

4.構造用集成材のメリット:さまざまなサイズの材料が作れる

多く使用されている構造用集成材は、中断面のもので梁幅が105mmもしくは120mm、梁せいは150mmから450mm(梁せいは180mm、210mmなど30mmごとに製造されている)、長さは6mまでの材が標準として、一般的に流通材として利用されています。大規模木造では空間が大きくなればなるほど、固定荷重や積載荷重も大きくなり、それに応えられる部材寸法を選択することになります。製材は原木のサイズに左右されますが、構造用集成材は特注材として断面の大きい部材や材長の長い部材を製作することができます。

 

5.構造用集成材のメリット:JAS製材である

日本農林規格では構造用集成材は、「集成材のうち、所要の耐力を目的として等級区分したひき板(幅方向に合わせ調整したもの、長さ 方向にスカーフジョイント又はフィンガージョイントで接合接着して調整したものを含む。)又は ラミナブロック(内層特殊構成集成材に限る。)をその繊維方向を互いに平行にして積層接着したもの(これらを二次接着したもの又はこれらの表面に集成材の保護等を目的とした塗装を施したも のを含む。)であって、主として構造物の耐力部材として用いられるもの(化粧ばり構造用集成柱 を除く。)をいう。」と定義されています。

 

SE構法が構造用集成材を使う理由

SE構法が構造用集成材を使う理由

SE構法が構造用集成材を使う理由は主に下記です。

1.SE構法が構造用集成材を使う理由:品質と強度

大規模木造においては、建物規模により、許容応力度計算が求められます。許容応力度計算をする上で知っておきたい点として、 建築基準法の目標とする性能との関係を理解しておく必要があります。

建築基準法は、地震に対しては2段階の目標があります。中地震では構造体に損傷がなく、大地震には倒壊を防いで人命を守るというものです。これを部材や接合部の性能に言い換えると、中地震時には弾性範囲にあること、大地震時には塑性域に達しても破壊しないこと、となります。

許容応力度計算は弾性範囲を扱う設計法なので、この計算では大地震時の倒壊等防止に関しては、直接的には計算していません。しかし、許容応力度を超える力が建物に加わったときの耐力や靭性の余裕度が分かっていれば、大地震時の倒壊を防ぐことができます。

つまり、中地震に対する設計を行うことで、間接的に大地震時の性能を担保しています。これが許容応力度計算の最も重要なポイントといっても過言ではありません。

大規模木造などが増えれば構造計算が必須です。JAS構造用製材は性能がはっきりしているので、設計時に材料を選ぶ際、適材適所で等級を使い分けることもできます。そのことは、設計の自由度を高めることにもつながります。

そうした理由によりSE構法の構造躯体に使用する木材には、全てJAS構造用製材の構造用集成材が使われています。

一般的に自然のままの木材は、乾燥の度合いや強度が「わかりにくい」「ばらばら」というケースがほとんどです。しかし構造用集成材は、含水率が低く、部材ごとの強度が表示されています。強度や性能が明確であるということは、「どの部分にどの部材を採用するか」を安心して決められるということでもあります。その点で、SE構法を耐震性に優れた構造躯体にするために、とても重要な要素となっています。

 

2.SE構法が構造用集成材を使う理由:認証制度

SE構法で使用する構造用集成材は、PEFCのCoC認証を取得しています。これにより、SE構法が、持続可能な方法で管理されている森林から採取した木材の供給・管理システムを有することを証明しています。

関連記事:SE構法の構造用集成材について

森林認証制度とは、独立した第三者機関が環境・経済・社会の3つの側面から一定の基準をもとに適切な森林経営が行われている森林または経営組織などを認証し、その森林から生産され木材・木材製品にラベルを付けて流通させることです。

以下の二つの制度が国際的に普及しています。

FSC:1993年に自然保護団体を中心にドイツで創設

PEFC:1999年に欧州で始まる

森林認証制度の主なメリットは下記の3点です。

・環境に配慮した持続可能な森林経営を行っていること、そうした森林経営のもとで産出された木材等を販売・使用していることについて社会的に認知されることで、企業としての環境配慮姿勢やCSR(企業の社会的責任)への取り組みをアピールすることできます。

・認証された森林から産出される林産物にラベリングを行うこと、ラベリングされた製品を使用することにより、自社製品の差別化が図られ、環境配慮商品として消費者にアピールできるなど、付加価値を高めることができます。

・認証された森林から産出された製品等を販売・使用することで、森林保護の支援や地球環境の保全にも貢献できます。

大規模木造に取り組むには、木材の素性が分かる森林認証材やJAS認定品の知識は不可欠です。FSCなどの森林認証制度は今後、社会の要請のなかでより発展していく仕組みでもあります。

森林を持続可能なものにしていく森林認証制度と、木材の品質を担保するJAS認定品の使用は、社会と時代の要請として、今後いっそう進むことが予想されます。

関連記事:「ウッドショックで注目される構造用集成材が大規模木造に必須な理由」

 

構造用集成材に関する性能

構造用集成材に関する性能

構造用集成材に関する性能の主なポイントは下記です。

1.構造用集成材の耐久性

集成材は約120年前に欧州で開発され、1927年建造のコペンハーゲン中央駅では建造当時の集成材が現在も駅舎の構造躯体として利用されています。現在では接着技術も向上していることも考えると、木材部と同等かそれ以上の耐久性能を有していると考えられます。

 

2.構造用集成材の剥離

構造用集成材の接着性能は安定しており、剥離することはありません。昭和40年代の合板は接着性能が低かったため剥離することが度々あり、接着剤は剥離するものというイメージが残っています。一方、SE構法の構造用集成材は全てエヌ・シー・エヌが指定してJAS認定工場で製造されており、また接着剤の塗布管理等を常に検査していますので集成材の接着の信頼性は高く剥離することはありませんのでご安心ください。

 

3.構造用集成材の健康面

SE構法で使用する構造用集成材及び構造用合板は、JAS法に定めるF☆☆☆☆のものを供給しています。

 

構造用集成材のコスト

構造用集成材のコスト

構造用集成材はある程度の価格帯が決まっています。

基本的な価格は、樹種によって差が出ますが、同じ樹種同士では、長さ、幅、厚みが価格に比例します。幅の広い材料を使用したい場合、無垢材は高価ですが、集成材は比較的安価で購入することができます。

構造材といっても、コスト、材種、樹種、強度、制作可能サイズ等様々あるため、事前にそれぞれの特徴を知ることで、適材適所の活用が可能となります

実際の計画においては、構法や構造材を的確に判断し、構造を提案できる構造設計者の存在が重要です。

大規模木造を設計するのに使い勝手がよい(コストと強度のバランスがよい)のは構造用集成材です。

国産材による構造用集成材の生産を拡大する動きも始まっています。横架材については、スギやヒノキだけでレッドウッドと同じ強度を確保するのは困難ですので、スギやヒノキとは別の木材を組み合わせることなども必要になると予想されます。

構造用集成材の使用に際しては、用途に応じた構造用集成材の品種を接着性能・強度性能・その他の性能によって選択し、安心して使用できる構造用集成材を選ぶことが重要です。

 

SE構法へのお問合せ、ご相談について

SE構法が幼稚園に適している理由

大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。

1.構造設計

SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。

 

2.概算見積り

SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。

 

3.調達

物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。

 

4.加工

構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。

 

5.施工

SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)

 

SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。

https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/

 

まとめ

SE構法が構造用集成材を使う理由の主なポイントは下記です。

・SE構法は正しく構造計算するために構造材の強度が明確であることが前提

・強度が明確で品質が安定している構造用集成材が構造材として適している

・構造用集成材以外の構造材も使える:LVL、CLT

 

大規模木造においては、SE構法の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、施工性向上を実現することができます。

SE構法は構造用集成材の中断面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することも可能です。

計画段階からNCNの特建事業部に相談することで、木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計実務を進めることが可能です。

 

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

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