中大規模木造の鍵となる構造用集成材の日本農林規格(JAS)の概要
中大規模木造として建築物を計画する際に、構造躯体の材料となる構造用集成材の品質保証は重要になります。SE構法においては、日本農林規格(JAS)を満たした構造用集成材を使用しています。このコラムでは、構造用集成材の日本農林規格(JAS)の概要についてお伝えします。
<このコラムでわかること>
・構造用集成材の日本農林規格(JAS)とは?
・JAS規格の構造用集成材におけるサイズ、構成、強度の分類
・JAS規格の構造用集成材の使用環境はABC
構造用集成材の日本農林規格(JAS)とは?
日本農林規格(JAS)とは、Japanese Agricultural Standardの略称です。一般にもお馴染みのマークですが、構造用集成材や合板など木材加工品にもこのJASマークを表示する制度があります。
JAS規格では構造用集成材の外面の品質だけでなく、見ただけではわかりにくい接着性能、強度性能、ホルムアルデヒド放散量などについて、試験方法と適合基準が定められています。
これら検査項目に合格する構造用集成材にだけJASマークを表示することができ、使用者に対する構造用集成材の品質を保証することができます。JASマークの付いている構造用集成材は、JASに定める基準以上の品質を持つ製品であることになります。
JAS規格の構造用集成材におけるサイズ、構成、強度の分類
構造用集成材は、大断面の大きさにより、大断面、中断面、小断面に区分されます。
・大断面:短辺が15cm以上、断面積が300cm2以上のもの
・中断面:短辺が7.5cm以上、長辺が15cm以上のもの
・小断面:短辺が7.5cm未満、または長辺が15cm未満のもの
構造用集成材は、ラミナ(ひき板)の構成により、同じ品質のラミナを積層した同一等級構成集成材と、外側の層ほど強度の強いラミナを配置して積層した異等級構成集成材(対称構成、非対称構成、特定構成)に区分されます。
異等級構成集成材のうち、ラミナの品質の構成が中心軸に対して対称であるものを対称構成です。より強度を要求される側のラミナの基準を強くし、その構成が中心軸に対して対称でないものが非対称構成です。また対称異等級構成のうち、曲げ性能を優先したラミナ構成が特定対称構成です。
強度等級は、曲げヤング係数(たわみにくさの指標を表すE)と曲げ強さを表すFの組み合わせの等級区分により表示されます。E-Fの等級は樹種やラミナの構成等により何種類もあります。
JAS規格の構造用集成材の使用環境はABC
構造用集成材を使用する環境条件に応じ、接着剤の要求性能の程度を示す区分として、使用環境A、B、Cの区分があります。
・使用環境A:屋外(防水層の外側)での想定される環境に対応し、かつ、構造物の火災時において高度な接着性能が要求される環境その他構造物の耐力部材として、接着剤の耐水性、耐候性または耐熱性について高度な性能が要求される環境
・使用環境B:使用環境Cに加えて、構造物の火災時において高度な接着性能が要求される環境
・使用環境C:屋内(防水層の内側)での想定される環境に対応し、構造物の耐力部材として、接着剤の耐水性、耐候性または耐熱性について通常の性能が要求される環境
まとめ
構造用集成材の原材料である木材は天然物であるために、製品の品質にばらつきのあることは避けられません。JASはそのばらつきが一定の範囲内にあることも含めて基準化しています。構造用集成材の使用に際しては、用途に応じた構造用集成材の品種を接着性能・強度性能・その他の性能によって選択し、安心して使用できる構造用集成材を選ぶことが重要です。
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