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大規模木造(SE構法)の耐久性に関するまとめ

  • 大規模木造(SE構法)の耐久性に関するまとめ -

SE構法を供給するNCNでは、大規模木造に関する技術開発に注力しています。大規模木造を建設する際に必ず考えておきたいのは「耐久性」へ配慮した設計、施工です。SE構法の構造躯体の耐久性を考える際に重要となるのは「構造用集成材」と「SE金物」の耐久性です。NCNではそれぞれの製品が持つ性能に加えて、耐久性を検証する実験等も実施しています。

このコラムでは大規模木造(SE構法)における耐久性に関して重要な構造用集成材とSE金物の耐久性についてお伝えします。

 

<このコラムでわかること>

大規模木造(SE構法)で使用する構造用集成材について

大規模木造(SE構法)で使用する構造用集成材耐久性

SE構法で使用する構造用集成材耐久性の検証1(含水実験)

SE構法で使用する構造用集成材耐久性の検証2(干割れ

大規模木造(SE構法)で使用するSE金物について

SE構法で使用するSE金物耐久性の検証1(カチオン電着塗装

SE構法で使用するSE金物耐久性の検証2(金物強度の経年変化)

大規模木造(SE構法)と鉄骨造耐久性の比較

・まとめ

 

大規模木造(SE構法)で使用する構造用集成材について

大規模木造(SE構法)で使用する構造用集成材について

集成材は約120年前に欧州で開発され、1927年建造のコペンハーゲン中央駅では建造当時の集成材が現在も駅舎の構造躯体として利用されています。

現在では接着技術も向上していることも考えると、木材部と同等の耐久性能を有していると考えられます。

木造非住宅でも構造用集成材を使用するケースが増えてきましたが、これまでの木造非住宅において一般的に使用される無垢製材は強度性能のバラツキが大きく、建物規模によっては構造材として適さないことがあります。

一方、構造用集成材は「科学された木材」と言われ、製造過程でひき板一枚一枚の節の大きさや曲げヤング係数を計測・選別して集成材化しており、表示通りの性能が発揮されるので構造材として安定しています。

構造の安全性を強みとするSE構法は部材の信頼性を重視し、柱・梁・土台等の構造部の全てに構造用集成材を使用しています。

例えば、割れ、そり、曲がり、ねじれ等の狂いが発生しにくく、また乾燥されているため、腐りにくい特性があります。

日本農林規格(JAS)を満たした構造用集成材は、含水率試験の結果、同一試料集成材から採取した試験片の含水率の平均値が15%以下であることとされています。

含水率が低いということは、材の狂いが少なく、強度が発揮されやすいと言えます。

大規模木造で構造用集成材を使用する理由は、「高い製造技術」と「優れた特性」があるからです。

構造の安全性が特に求められる大規模木造では、部材の安定性・信頼性を重視し、主要な構造部材に構造用集成材を使用することが望ましいです。

関連記事:中大規模木造の構造材の特性やメリット・デメリット

 

大規模木造(SE構法)で使用する構造用集成材の耐久性

大規模木造(SE構法)で使用する構造用集成材の耐久性

構造用集成材は、ひき板(ラミナ)を接着剤で貼り合わせて製造しますが、現代で用いられる接着剤の性能は安定しており、JAS 認定工場で製造された構造用集成材は、接着剤の塗布管理を徹底しているため、剥離(はくり)することはありません。

昭和40年代の合板は接着性能が低かったため剥離することが度々あり、接着剤は剥離するものというイメージが残っています。

現在の構造用集成材は、接着技術の進歩によって、高い耐久性能も持っています。

SE構法の構造用集成材は全てエヌ・シー・エヌが指定したJAS認定工場で製造されており、また接着剤の塗布管理等を常に検査していますので集成材の接着の信頼性は高く剥離することはありませんのでご安心ください。

SE構法で使用する構造用集成材及び構造用合板は、JAS法に定めるF☆☆☆☆のものを供給しています。

関連記事:「JASとは「日本農林規格」。JAS構造材の基礎知識」

 

SE構法で使用する構造用集成材の耐久性の検証1(含水実験)

SE構法で使用する構造用集成材の耐久性の検証1(含水実験)

SE構法で使用する構造用集成材の耐久性の検証として、「水に濡れた集成材の性能に関する評価」を行っています。

 

<試験目的>

・試験目的:構造用集成材が濡れることの影響と、乾燥後の状況を検証する。

・実験方法:構造用集成材をおよそ1か月(33日)水に浸食させ、その後に機械乾燥させて重量が浸食前と同程度を確認して曲げ試験を行う。

 

<評価>

・構造用集成材が水を含み、含水率が上昇すると変形が起こり、ヤング係数の低下が見られた。

・しかし、再度乾燥することで変形は戻り、ヤング係数も回復し、曲げ強度についても低下はみられなかった。

・この結果、上棟時に雨で濡れたとしても乾燥(含水率20%程度)することにより、強度への影響はないと考えられる。

 

<結論>

SE構法で使用する構造用集成材は、ある程度までの含水に関しては許容できる。

 

SE構法で使用する構造用集成材の耐久性の検証2(干割れ)

SE構法で使用する構造用集成材の耐久性の検証2(干割れ)

SE構法で使用する構造用集成材の耐久性の検証として、「集成材の干割れに関する評価」を行っています。

 

<試験目的>

・割れが構造用集成材の強度に及ぼす影響を検証するため、過乾燥による干割れの入った集成材と、丸鋸によって擬似的な割れを施した集成材の曲げ試験を行った。

 

<評価>

・通常材(割れの無い材)の曲げ強さに対して、いずれの材も如実な強度低下は認められず、通常想定される集成材の乾燥収縮による割れは影響ないものと評価する。

 

<結論>

SE構法で使用する構造用集成材は、干割れによる強度低下は認められない。

 

大規模木造(SE構法)で使用するSE金物について

大規模木造(SE構法)で使用するSE金物について

SE構法は、独自開発のSE金物を使用した断面欠損の少ない構造によって柱と梁とを接合し、優れた耐震性能を実現しています。

SE金物は鉄骨造で一般的に利用されているカチオン電着塗装を施しており、高い耐久性を有しています。

その優れた耐久性は、約600時間かけた塩水噴霧試験において、ほとんど試験前の状態と同じ品質レベルを保っていることからも証明されます。

この試験時間は、標準地域では168年、塩害地域では100.8年分の負荷をかけた状態に相当します。

SE構法では、主要な柱の直下に柱脚金物を配し、柱と基礎とを堅牢に固定します。

柱脚金物は基礎に直接取り付けられるので、柱が土台へめりこむことなく、荷重を直接基礎へ伝達することができます。

関連記事:耐震構法SE構法の柱脚や接合部が強い理由はSE金物とSボルト

 

SE構法で使用するSE金物の耐久性の検証1(カチオン電着塗装)

SE構法で使用するSE金物の耐久性の検証1(カチオン電着塗装)

SE構法で使用するSE金物の耐久性の検証として、「金物の表面処理(カチオン電着塗装)の耐久性を確認」を行っています。

 

<試験目的>

・SE構法で使用している金物の表面処理(カチオン電着塗装)の耐久性を確認するため、複合サイクル試験において他の一般的な塗装と比較することにより、耐久性を評価することを目的とする。

 

<評価>

・72サイクル終了後(標準地域:168年相当 塩害地域:100.8年相当)比較してみたところ、一般的に耐久性が高いとされる溶融亜鉛めっきと同等以上の防錆性能を有していることが確認できた。

・つまり、カチオン電着塗装が標準地域:168年相当、塩害地域:100.8年相当に耐えうる表面処理であるということも確認することができた。

 

<結論>

SE構法で使用するSE金物は、カチオン電着塗装により100年以上の耐久性がある

 

SE構法で使用するSE金物の耐久性の検証2(金物強度の経年変化)

SE構法で使用するSE金物の耐久性の検証2(金物強度の経年変化)

SE構法で使用するSE金物の耐久性の検証として、「金物強度の経年変化の検証」を行っています。

 

<試験目的>

・複合サイクル試験終了後、錆の発生した柱脚金物について引張試験を実施し、試験前の金物に対し、補強性能が低下していないことを確認する。

 

<評価>

・引張試験の結果、カチオン電着塗装を施した柱脚金物PB12は、複合サイクル試験において100年相当の過酷な条件の試験後も金物の引張性能が低下していないことが確認された。

・他の塗装についても試験後の赤さびが発生した状態で性能が低下しておらず、SE構法の金物は主要部分に6mm厚さ以上の鉄板を採用していることから、本試験程度の錆では金物の強度性能を低下させる恐れがないことが確認された。

 

<結論>

SE構法で使用するSE金物は、金物強度の経年変化の恐れがない

 

大規模木造(SE構法)と鉄骨造の耐久性の比較

大規模木造(SE構法)と鉄骨造の耐久性の比較

大規模木造(SE構法)と鉄骨造を耐久性の面で比較します。

耐久性に関しては、SE構法(木造)も鉄骨造も共通の弱点として「水に弱い」ことが挙げられます。

そのため、構造用集成材や鋼材を「いかに水に触れさせない」納まりで建築をつくる必要があります。

木材は吸水性や吸湿性に優れているので、一年間で温度や湿度などの変化の大きい日本の環境に適しています。

鉄骨造のメンテナンスにおいては事前の検討が必須です。

例えば雨漏れ補修の工事では、雨水の侵入経路を特定する必要があります。

関連記事:耐震構法SE構法と鉄骨造を徹底比較(耐久・耐火編)

 

まとめ

木造で施設を計画する際には、日本の気候を考慮した耐久性への対策が求められます。

木材の特性をふまえた設計・施工を行ない、維持管理やメンテナンスに配慮した建築物とすることで、耐久性が向上し、結果として長持ちする木造建築となります。

 

SE構法は耐久性にも優れた工法です。

NCNは構造設計から生産設計(プレカット)までのワンストップサービスが強みです。計画段階からご相談いただくことで、木構造デザインの木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談いただくことで、合理的に設計を進めていただければと考えております。

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

関連:「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

関連:「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。