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SE CONSTRUCTION耐震構法SE構法

SE構法の宗教施設の事例紹介「弘教寺もんしんと会館」

  • SE構法の宗教施設の事例紹介「弘教寺もんしんと会館」 -

住宅以外の中大規模木造建築物において構造体を木質系材料とする「木造化」や内装その他を木質系材料とする「木質化」といったニーズが高まっています。こうした動きは公共建築のみならず、商業施設や宗教施設など民間の建築物でも広まっています。宗教施設には、神社・寺院・教会・修道院・納骨堂・墓苑・礼拝堂・霊堂等があります。宗教施設は社会や地域で求められる施設でもあり、多くの人が集う空間でもありますので、愛着を感じやすい木造建築は適していると言えます。このコラムでは構造躯体にSE構法を採用した宗教施設の事例紹介をしながら、意匠計画やSE構法の構造設計等のポイントについてお伝えします。

 

<このコラムでわかること>

SE構法宗教施設事例「弘教寺もんしんと会館」の概要

SE構法宗教施設事例「弘教寺もんしんと会館」の意匠設計の特徴

SE構法宗教施設事例「弘教寺もんしんと会館」構造設計の特徴

中大規模木造として宗教施設SE構法で実現するポイント

・まとめ

 

SE構法の宗教施設事例「弘教寺もんしんと会館」の概要

SE構法の宗教施設事例「弘教寺もんしんと会館」の概要

「弘教寺もんしんと会館」は、千葉県市原市にある姉ケ崎駅から徒歩5分ほどのところに建つ浄土真宗本願寺派の宗教施設です。交通量の多い県道沿いに位置しています。

 

<「弘教寺もんしんと会館」の概要>

・用途:寺院

・木造平屋(SE構法)

・延床面積:392.51㎡

 

クライアントの要望により、地域の人に気軽に入ってもらうことを意図して、商業施設のような明るく開放的な建築がコンセプトになっています。カフェのように親しみやすいデザインとすることで、地域の人が集う場となり、その結果として新しく浄土真宗の門徒になってくれる人が増えることが期待されています。

このような宗教施設は、多くの人が集うことになりますので大空間が求められます。類似施設では鉄骨造で計画されることが多かった用途の建築ですが、木造で計画することでコストを抑えつつ、温かみを感じる建築を実現することができます。

参考ページ:「SE構法による大開口、大空間、大スパン、木造耐火の事例まとめ」はこちらです。

 

SE構法の宗教施設事例「弘教寺もんしんと会館」の意匠設計の特徴

SE構法の宗教施設事例「弘教寺もんしんと会館」の意匠設計の特徴

「弘教寺もんしんと会館」は、平面はシンプルな長方形で、断面は片流れ屋根に合わせた勾配天井の大空間になっています。建物全体の間口は25,480mmで、奥行は15,470mmです。意匠設計のポイントは下記です。

 

・建物の中央奥には内陣(ないじん)とよばれる本尊仏を安置されている場所があり、その対面は外陣(げじん)と呼ばれる門徒が集まる大きな空間となっています。

 

・広場のような外陣は多目的に使うことができ、テーブルやイスの位置が変えられるようになっています。内陣にむかって右手にはキッチンとバーカウンターがあります。宗教的な催しだけでなく、イベントも実施できるスペースになっています。

 

・デザインの特徴としては、平屋建ての大空間をにおいて木造(SE構法)の構造材を壁、天井内に隠してしまうのではなく、屋根を支えるダイナミックな登り梁や、軒を支える柱を現しとしていることです。前面道路に面して大型のアルミサッシによる大開口も実現しています。

 

・外壁は茶系のタイル、アルミサッシは黒でカフェのような雰囲気の外観デザインになっています。片流れ屋根の軒の出が大きく、内部の天井から連続する軒天の木貼り(レッドシダー)がデザインのアクセントになっています。

 

SE構法の宗教施設事例「弘教寺もんしんと会館」の構造設計の特徴

SE構法の宗教施設事例「弘教寺もんしんと会館」の構造設計の特徴

SE構法の構造スペックをうまく活用すると、木造では実現が難しい大空間、大開口などを実現することができます。

SE構法であれば、宗教施設で求められるスパンの大きい空間にも対応できますし、架構をシンプルにすることが可能です。

SE構法は、許容応力度計算に加えて偏心率のバランスを考慮した構造設計を行なっておりますので、外壁(耐力壁)の位置も意匠のデザインに合わせて決定することができます。

SE構法は、独自のSE金物を使用した断面欠損の少ない構造によって柱と梁とを接合し、優れた耐震性能を実現しています。SE構法は表面にネジ切り加工を施した通常のボルトの約2倍の強さを持つSボルトを木材にねじ込み、高強度のSE金物との組み合わせにより、耐震性の高いラーメン構造を実現しています。

今回の宗教施設におけるSE構法の構造設計の主なポイントは下記です。

SE構法の構造設計の主なポイント

1.外陣は間口20,930mm 奥行き12,285mmの大空間

風除室と内陣を結ぶ通りに、170mm角の柱を2本建てることで、大空間をコストパフォーマンス高く実現しています。

※この地域は防火地域の指定はなく、用途も宗教施設なので、170mm角の柱は燃え代ではなく軸力と座屈防止という構造耐力上必要な寸法として決定しています。

 

SE構法の構造設計のポイント

2.登り梁の先端を細く加工

意匠設計に合わせて、梁下を斜めに加工することで、軒先をシャープに見せています。

 

SE構法の構造設計

3.長方形の平面形状において水平方向の連続性と高い耐震性を両立

外陣を囲むように小さい諸室がL型に配置されているのでこのゾーンで耐力壁をまとめて確保し、加えて屋根面を固めることで建物全体の構造を安定させています。

 

参考ページ:「耐震構法SE構法のプランニングがうまくいく設計の考え方を徹底解説」はこちらです。

 

中大規模木造として宗教施設をSE構法で実現するポイント

中大規模木造として宗教施設をSE構法で実現するポイント

宗教施設を木造(SE構法)で計画する場合のポイントは下記です。

 

1.低層建築における木造の優位性

木造の持つ規格化、標準化された設計・施工技術は、多様な建物や空間を低コストで実現することができます。特に、高品質で低コスト、短工期が求められる店舗、事務所、倉庫、宗教施設等を、確実に設計・施工するために有効な工法が「システム化された木造」であるSE構法です。

参考ページ:「店舗、事務所、倉庫には鉄骨造より木造が「安い、早い、うまい」理由」はこちらです。

 

2.コストの優位性(鉄骨造と木造の比較)

構造で木造(SE構法)を選択することで、基礎や構造躯体のコストが安くなります。外壁仕上げには住宅用サイディング、窓は住宅用アルミサッシなどを使うことで、建材費や施工費も抑えることができます。

参考ページ:「中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント」はこちらです。

 

3.木造でよりコストパフォーマンスを高める(木造の構法による比較)

中大規模木造の計画において、木造建築を慣れていないと過大にコストや工期が膨らんでしまうことがあります。それを避けるためには、構造躯体は一般用流通材を使うことを前提に構造計画を行うことが基本です。

参考ページ:「中大規模木造でコストダウンできる構造計画、構造躯体の考え方」はこちらです。

 

4.木造に精通した構造設計者に依頼する(SE構法は中大規模木造に適している)

SE構法は単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、中大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。SE構法は剛性のある木質フレームに囲まれた耐力壁を併用することで、耐力壁の性能を最大限生かすことが可能となり、壁量を少なくできます。SE構法は木造でも明確な構造計算に基づいているので、設計者は安心して意匠設計に集中できます。

参考ページ:「中大規模木造に適した技術と自由があるSE構法の構造設計」はこちらです。

 

5.木造におけるワンストップサービス(SE構法は使い勝手が良い)

SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。中大規模木造建築では工法に関わらず、「木造の構造躯体の施工の担い手」を確保する必要があります。SE構法であれば、構造躯体の施工だけをSE構法登録施工店に依頼する「建て方施工」という方法もありますので、施工会社選定の選択肢が大きく広がります。

参考ページ:「SE構法はワンストップサービスが魅力!各プロセスごとに徹底解説」はこちらです。

 

まとめ

宗教施設のような用途の建築においては、SE構法の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、納期短縮、施工性向上を実現することができます。

SE構法は構造用集成材の中段面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することも可能です。

計画段階からNCNの特建事業部に相談することで、木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計実務を進めることが可能です。

 

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。