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WOODEN STRUCTURE中大規模木造

中大規模木造が実は最適!高齢者施設の種類と特徴

  • 中大規模木造が実は最適!高齢者施設の種類と特徴 -

「公共建築物等における木材の利用促進に関する法律」が施行され、公共建築物は可能な限り木造化、または内装等の木質化を図るという国の考え方が示されました。同法で木材の利用を促進すべき公共建築物には、「国又は地方公共団体が整備する」ものと「それ以外の者が整備する」建築物があり、いずれにも社会福祉施設、病院・診療所などが含まれます。高齢者施設は、社会福祉施設に含まれることから木材の利用促進の対象です。木造による高齢者施設のメリットは、入居者の立場からは、居住空間としての親和性、転倒しても骨折しにくいこと等があります。木造の施設は、高齢者、高齢者を訪ねる家族、さらにはそこで働く方々に優しいです。このコラムでは、木造で高齢者施設を計画する際に知っておきたい種類と特徴についてポイントをお伝えします。

 

<このコラムでわかること>

高齢者施設の現状

高齢者施設の種類

主に要介護状態の方を対象とした高齢者施設(公的施設)

主に要介護状態の方を対象とした高齢者施設(民間施設)

主に自立状態の方を対象とした高齢者施設(公的施設)

・主に自立状態の方を対象とした高齢者施設(民間施設)

高齢者施設における木造化のメリット

・まとめ

 

高齢者施設の現状

少子高齢化が急速に進む中、避けられないのが介護問題です。制度を理解した上で、よりよい「終の住処」を見つける必要があります。老いは誰にでも訪れるからです。

介護に関する制度は複雑なため、高齢者施設に入居する前には、最適な施設、サービス、事業者を見極める必要があります。

人口規模の大きい都市部のベットダウンのように、早くから核家族化が進んでいる地域では、独居もしくは夫婦のみの世帯が中心となるため、高齢者施設の需要の拡大が予想されています。

発注者の視点で高齢者施設の運営を考えると、建設費を抑えることで、事業性が大きく向上します。その際の有効な方法は、工法に「木造」を選択することです。

木造を選択することで、基礎や構造躯体のコストが安くなります。外壁仕上げには住宅用サイディング、窓は住宅用アルミサッシなどを使うことで、建材費や施工費も抑えることができます。

さらに木造は施工性もよく、工期も短くすることができ、減価償却期間が短くなります。

参考ページ:「中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント」はこちらです。

 

高齢者施設の種類

高齢者施設の種類

高齢者施設は、運営主体、目的や入居条件によりさまざまな種類があります。

大きく分けると、「介護保険施設」と呼ばれ、

・地方自治体や社会福祉法人が運営する「公的施設」

・民間事業者が運営している「民間施設」

とがあり、役割に応じて細かく種類が分かれています。

公的施設と民間施設は、上記の図のように分類されます。

それぞれの施設の内容、特徴に関して、

・「主に要介護状態の方を対象とした高齢者施設」(公的施設・民間施設)

・「主に自立状態の方を対象とした高齢者施設」(公的施設・民間施設)

に分けてお伝えします。

 

主に要介護状態の方を対象とした高齢者施設(公的施設)

主に要介護状態の方を対象とした高齢者施設(公的施設)

主に要介護状態の方を対象とした高齢者施設(公的施設)について、その種類と特徴は下記です。

 

1.特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは、地方公共団体や社会福祉法人が運営母体となっている、公的な高齢者施設です。低料金で利用でき、介護サービスも充実しているため、人気の高い施設です。

・食事・入浴・排せつ介助などの身体介護、清掃・洗濯など日常的な生活支援、リハビリ、レクリエーションなどの介護サービスを受けることができます。

・部屋のタイプがユニット型個室となっている「新型」と、従来型の個室・多床室からなる「旧型」があります。

 

特別養護老人ホームでは、施設に設置しなければならない設備が定められ、基準等が設けられています。代表的なものは下記です。

<居室>

居室の定員は、4人以下。入居者一人当たりの床面積は10.65㎡以上。

<浴室>

介護を必要とする者が入浴するのに適したもの(機械浴など)とする。

<トイレ>

ブザー又はこれに代わる設備を設ける。介護を必要とする者が使用するのに適したものとする。

<医務室>

入居者を診療するために必要な医薬品及び医療機器を備える。必要に応じて臨床検査設備を設ける。

 

特別養護老人ホームの居室タイプは下記です。

<ユニット型個室>

10人程度の生活単位(ユニット)ごとに共用スペースが併設されている個室

<ユニット型準個室>

居室が、可動しない間仕切り(天井との隙間がある)などで仕切られて完全な個室になっていないユニット型個室

<従来型個室>

ユニットを構成しない個室

<多床室>

定員2人以上の、個室ではない居室

 

2.介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設は、通常の老人ホームとは異なる性質の老人介護施設です。入居者を家庭での日常生活に復帰させるお手伝いをすることを目的とした施設であるということです。

施設内には、医師・看護師・理学療養士・作業療養士などが常駐しており、専門的なリハビリ訓練を受けることができます。

・入居期間は原則3~6ヶ月です。(例外もあり)

 

介護老人保健施設では、施設に設置しなければならない設備が定められ、基準等が設けられています。代表的なものは下記です。

<居室>

定員4人以下の多床室では1人当たり8㎡以上、ユニット型個室など個室の場合は10.65㎡以上と決められています。そこにベッド、タンスなどの入居者の身の回り品を保管することができるもの、ナースコールを設けることが義務付けられています。

<共用スペース>

居室の他に、診察室、機能訓練室、リビング、食堂、浴室、レクリエーションルーム、洗面所、トイレ、サービス・ステーション、調理室、洗濯室又は洗濯場、汚物処理室を設けることを義務付けられています。

機能訓練室は入所定員数により最低面積が決められ、マッサージのためのベッド、歩行訓練のための平行棒や階段、筋力強化や関節可動域改善を目的とした運動療法機器などが設置されています。

 

3.介護療養型医療施設

介護療養型医療施設は、医学的管理が必要な要介護1以上の方を対象にした介護保険施設です。

・食事・入浴・排せつなどの身体介護、医師・看護師による医療的管理、理学療法士などによるリハビリテーションなどが提供されます。

・医療的ケアが充実しており、医師が配置される医療機関です。

 

介護療養型医療施設では、施設に設置しなければならない設備が定められ、基準等が設けられています。代表的なものは下記です。

・居室、浴室・トイレなどの共同設備、機能訓練室や診療室、食堂と共同リビングを兼用する共同生活室などで構成され、病院に併設されていることもあります。

・医療機関としての色が強い介護療養型医療施設は、サービス提供の対象者により、重度の要介護者向けの「介護療養病床」、重度の認知症患者向けの「老人性認知症疾患療養病床」に分けられます。

 

主に要介護状態の方を対象とした高齢者施設(民間施設)

主に要介護状態の方を対象とした高齢者施設(民間施設)

主に要介護状態の方を対象とした高齢者施設(民間施設)について、その種類と特徴は下記です。

1.介護付き有料老人ホーム

住宅型で介護付きの有料老人ホームは、自宅と同様な生活を送りながら、事業者指定の介護スタッフが日常介護をしてくれるため、人気の高い老人ホームです。

・定められた基準をクリアし、「特定施設入居者生活介護」と呼ばれるサービスを提供する認可を受けて初めて「介護付き有料老人ホーム」として運営することができます。

・要介護1~5の認定を受けた要介護者のみが入居できる「介護専用型」と、自立・要支援と要介護の方を対象にした「混合型」があります。

・サービスは、食事サービス、清掃・洗濯などの生活支援サービス、入浴・排せつ介助などの介護サービス、リハビリ・機能訓練、レクリエーション・イベント等のアクティビティなどが入居者の状態に合わせて提供されます。

 

介護付き有料老人ホームでは、施設に設置しなければならない設備が定められ、基準等が設けられています。代表的なものは下記です。

プライベートな空間である「居室」と、食堂、浴室、リビングなどの「共有スペース」で構成されています。

・医務室又は健康管理室、機能訓練室も設けられています。

・看護・介護職員室、厨房、洗濯室、汚物処理室など、入居者の生活を支えるための様々な設備も備えられています。

 

2.住宅型有料老人ホーム

自立・要支援・要介護の方が入居でき、食事サービス、清掃・洗濯などの生活支援サービス、医療機関提携・緊急時対応などの健康管理サービス、レクリエーション・イベント等のアクティビティなどが受けられる施設です。

・介護が必要になった場合は、訪問介護や通所介護などの在宅サービス事業所とサービスごとに入居者個人が契約をして介護サービスを受けます。

・在宅サービス事業所が同じ建物にあるなど、介護付き有料老人ホームと一見何も変わらないところもあります。

 

住宅型有料老人ホームでは、施設に設置しなければならない設備が定められ、基準等が設けられています。代表的なものは下記です。

・基本的な設備である居室、浴室・トイレなどの共同設備、食堂と共同リビングを兼用する共同生活室のほか、理美容室や健康管理室、キッチンや売店など、入居者の要望や入居費用に応じて、設備に豊富なバリエーションがあります。

・居室は、広さやトイレ・浴室・キッチンなどの設備があります。

・共同生活室では、図書室・カラオケ・園芸・アトリエなどの趣味設備、機能訓練室・フィットネス用具・プールなどの健康設備、その他ゲストルームや駐車場などにおいて様々なバリエーションがあります。

 

3.グループホーム

要支援2以上で原則65歳以上の認知症高齢者で、施設がある自治体に住民票を持つ方が入居できる施設です。

・5~9人を1ユニットとする少人数で、専門スタッフから介護サービス、機能訓練等を受けながら、料理や掃除などの家事を分担し共同生活を送ります。

・家庭的な環境で自立支援と精神的安定を図り、症状の進行を遅らせることを目指しています。

・重介護や医療ケアが必要になった場合は退去しなければならないケースがあります。

 

主に自立状態の方を対象とした高齢者施設(公的施設)

主に自立状態の方を対象とした高齢者施設(公的施設)

主に自立状態の方を対象とした高齢者施設(公的施設)について、その種類と特徴は下記です。

1.軽費老人ホーム

軽費老人ホームは、自立した生活に不安があり身寄りのない高齢者が、自治体の助成により低価格で入居できる施設です。

・食事を提供する「A型」、食事を提供しない「B型」の2種類があります。

・入居には60歳以上(夫婦はどちらか一方)で、「A型」「B型」は自分で身の回りの世話ができ、月収などの要件があります。

・要介護になった場合は在宅サービスを利用しますが、ケアハウスには特定施設入居者生活介護の指定を受けているところもあり、その場合はそのケアハウスのスタッフから介護サービスを受けることができます。

 

軽費老人ホームでは、施設に設置しなければならない設備が定められ、基準等が設けられています。代表的なものは下記です。

・軽費老人ホームは、居室、浴室・トイレなどの共同設備、共同生活室などで構成されます。

・居室は原則として1人入居用の個室ですが、夫婦用の2人部屋が用意されている施設もあります。

・食事が提供されないB型には、食堂が設置されず、居室内にトイレやキッチンが設置されています。

 

2.ケアハウス

60歳以上(夫婦はどちらか一方)で、自宅での自立した生活に不安があり、身寄りがないなど家族の援助を受けられない方を対象にした施設です。

・「一般型」のケアハウスは食事サービス、安否確認・生活相談サービスが提供され、介護が必要になった場合は外部事業者の在宅サービスと契約し介護サービスを受けます。

・「介護型」は介護1以上の方が対象となり、その施設のスタッフから介護サービスを受けることができます。

 

ケアハウスでは、施設に設置しなければならない設備が定められ、基準等が設けられています。代表的なものは下記です。

・居室、浴室・トイレなどの共同設備、食堂と共同リビングを兼用する共同生活室などで構成されます。

・共同生活室の仕様は施設によって様々ですが、館内は基本的にバリアフリー設計です。

・居室は原則として個室ですが、夫婦用の2人部屋が用意されている施設もあります。

・民間事業者が運営する介護型ケアハウスについてはユニット型個室となっています。

 

主に自立状態の方を対象とした高齢者施設(民間施設)

主に自立状態の方を対象とした高齢者施設(民間施設)

主に自立状態の方を対象とした高齢者施設(民間施設)について、その種類と特徴は下記です。

1.サービス付き高齢者住宅(サ高住)

サービス付き高齢者向け住宅は、60歳以上の方が入居でき、有資格者の相談員が常駐し、安否確認と生活相談サービスが受けられる住まいです。

・賃貸借契約で、初期費用は比較的安価で借りられるところが多いですが、立地条件や建物、提供サービスによって差があります。

・独居や夫婦2人暮らしが不安な自立~軽介護度の方に適しており、介護が必要な場合は在宅サービスを利用します。

 

サービス付き高齢者向け住宅では、施設に設置しなければならない設備が定められ、基準等が設けられています。代表的なものは下記です。

・居室の広さは原則25㎡以上(キッチンやリビングなどを居住者で共同利用できる場合は18㎡以上)と基準が決められています。

・夫婦で暮らせる広めの居室もあります。段差をなくし浴室やトイレに手すりを付けるなどのバリアフリー仕様が施され、見守りセンサーや緊急通報装置が設置されています。

・共有スペースは施設によって違いますが、リビングやレストラン、温泉設備、カラオケルーム、シアタールームなど設置されているところもあります。

・訪問介護やデイサービスなどの介護保険サービス事業所が併設されているところも多く、介護サービス提供に対応しています。

 

2.シニア向け分譲マンション

シニア向け分譲マンションは、高齢者を対象にした分譲マンションで、所有権を有し、売却、譲渡、賃貸、相続などが可能な資産となります。

・家事援助サービスがある、温泉やプールがあるなど、付帯サービスや共用設備はさまざまです。

・介護が必要になった場合は在宅サービスを利用します。

・自己所有物件なので身体状況により退去を迫られることはありませんが、在宅介護と同様、重介護になった場合は有料老人ホーム等への転居が必要になる場合があります。

 

3.健康型有料老人ホーム

健康型有料老人ホームは、自立状態の高齢者を対象とした、食事サービスが付いた高齢者施設です。

・温泉やスポーツジムなど、お元気な状態の維持を目的とした設備が充実しており、居室は1LDKや2DKなどの間取りで、バリアフリーでバス・キッチンがついています。

・介護が必要になった場合は契約解除し退去しなければなりませんが、介護を受けられる施設が隣接しているところもあります。

 

健康型有料老人ホームでは、施設に設置しなければならない設備が定められ、基準等が設けられています。代表的なものは下記です。

・基本的な設備である居室、食堂や共同リビングなどの共同生活室のほか、施設によっては理美容室や医務室、キッチンや売店なども設置されています。

・居室にはトイレ・浴室・キッチンなどの設備が設置され、間取りや広さも様々です。

・共同生活室として、図書室・カラオケ・園芸・アトリエなどの趣味設備、フィットネス用具・プール・温泉などの健康設備、その他ゲストルームなどを備えている施設もあります。

 

高齢者施設における木造化のメリット

高齢者施設における木造化のメリット

高齢者施設を木造で計画する事例が増えています。背景には国の政策等による後押しもありますが、最大の理由はコストパフォーマンスの高さです。

建物規模や各種基準により今までは鉄筋コンクリート造や鉄骨造で計画されることが多かった高齢者施設ですが、木造とすることで構造躯体費だけでもかなりのコストダウンになります。

高齢者施設は種類にもよりますが、居室ゾーンとなる個室エリアと、LDKや浴室などの共用エリアで構成されます。個室エリアはスパンが小さく、共用エリアは比較的スパンが大きくなります。スパンが大きくなる部分に限定して特注材や張玄梁、トラスで対応することで、木造でよりコストパフォーマンスを高めることがあります。

参考ページ:「SE構法による大開口、大空間、大スパン、木造耐火の事例まとめ」はこちらです。

 

高齢者施設は規模や建築基準法、各種基準により、耐火建築物や準耐火建築物の仕様が求められることが多いです。準耐火建築物であれば、建築基準法改正による優遇や、耐火建築物と比較してコストパフォーマンスが向上するなどのメリットが大きくなります。

参考ページ:「木造の準耐火建築物の可能性が広がる!改正建築基準法の解説」はこちらです。

参考ページ:「準耐火の適用範囲拡大は中大規模木造の追い風に!改正建築基準法の解説」はこちらです。

 

まとめ

利用者の視点で考えると、高齢者施設はサービス、費用、周辺環境、特徴などで検討することで、高齢者施設を絞り込むことができます。

高齢者施設の特徴に関しては、施設の運営方針、医療体制、食事の内容など、さまざまな施設の比較しながら理解することが求められます。

入居して身体状態が変わっても長く住み続けるか、介護度が重くなった場合に住み替えを考えるかによっても、資金計画や必要なサービスが変わってくるので、その点も考慮に入れて高齢者施設を選びましょう。

高齢者福祉の分野は、法律や基準、制度等が年々改正されています。本コラムの内容は2020年9月末段階での情報となることのご理解、ご了承をお願いします。

建築実務者の皆様においては、安易に自己判断せず、該当の行政窓口や指定検査確認機関等によく内容を確認をしてから設計や施工を進める必要がありますのでご注意ください。

 

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

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