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WOODEN STRUCTURE中大規模木造

四号特例大幅縮小と構造計算規定変更による大規模木造への影響

  • 四号特例大幅縮小と構造計算規定変更による大規模木造への影響 -

現在、延べ面積500m2以下や2階建て以下などの条件を満たす木造住宅は、建築確認の際の構造審査が省略されています。いわゆる「四号特例」が、2025年の省エネ基準適合義務化と合わせて、大幅に縮小されます。2階建て木造住宅は構造審査が実施されることに加えて、延べ面積300m2超の建物に構造計算を義務付ける方針です。さらに、壁量設計に用いる必要壁量の割り増しも検討されています。

このコラムでは、四号特例大幅縮小と構造計算規定変更による大規模木造への影響と対応すべきポイントについてお伝えします。

 

<このコラムでわかること>

木造構造計算が必須に!四号特例縮小の衝撃

木造で必ず知っておきたい四号特例とは

木造住宅構造計算されていない?四号特例の大きな問題点

大規模木造で注意すべきは建築基準法20条構造計算規定

大規模木造構造計算規定変更への対策1:構造設計体制の構築

大規模木造構造計算規定変更への対策2:ワンストップサービス

大規模木造構造計算規定変更への対策3:木造ZEBへの備え

SE構法へのお問合せ、ご相談について

・まとめ

 

木造も構造計算が必須に!四号特例縮小の衝撃

木造も構造計算が必須に!四号特例縮小の衝撃

木造建築において、2022年に法律面、運用面で大きな動きがありました。

「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギ―消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。

これにより、いわゆる「四号特例」が2025年の省エネ基準適合義務化に合わせて、大幅に縮小されます。

現在、延床面積が500㎡以下、2階建て以下などの条件をクリアすれば、建築確認の際の構造審査を省略することができます。

法改正後は、延床面積500㎡以下の建築物は「2号」または「3号」に区分されることになります。

構造審査の省略が可能な建築物は「3号」に限られ、平屋でも200㎡超は省略ができなくなります。

これにより、構造計算を求められる木造非住宅は大幅に増える可能性があります。

今回の法改正は社会や建築業界に対して大きな影響を与えます。

以前の建築基準法改正により、建築確認申請の審査が停滞したことから起きた国交省不況の再来となる可能性も指摘されています。

建築関係者は施行に向け、「木造建築の構造計算」への準備を行う必要があります。

 

 

木造で必ず知っておきたい四号特例とは?

木造で必ず知っておきたい四号特例とは?

現行の建築基準法6条では、「4号建築物」という区分があります。

その法律では、木造は非木造と異なり、独自の扱いを受けています。

「四号特例」とは、建築基準法6条1項4号に該当する建築物について、建築士が設計を行った場合、構造耐力関係規定の審査は省略するというルールです。

この審査省略制度が、省エネ基準適合義務化と同時に大幅に縮小されます。

確認申請において構造種別の違いをなくし、木造も非木造と同様の扱いに改められます。

特例が続くのは構造種別を問わず、200m2以下の平屋建てのみとなります。

四号特例は建築士の業務独占を象徴する条項ですが、その是非を巡っては欠陥住宅問題を中心として長年、議論が続いてきました。

重大な構造瑕疵(かし)が争点となった建築紛争で、特例が建築士の盾となり、建て主側の責任追及や設計瑕疵の立証を阻んでいた事例などもあり、以前より「廃止」の議論が展開されていました。

 

 

木造住宅は構造計算されていない?四号特例の大きな問題点

木造住宅は構造計算されていない?四号特例の大きな問題点

これまで一般的な2階建て以下の木造住宅の耐震性が保証されていないことが住宅業界の大問題でした。

その主な要因としては、建築基準法の2つの「都合のよい解釈」から発生しています。

第1の解釈は、「2階建て以下の木造住宅には、充分な耐震性があることを裏づける構造計算ではなく、簡単な計算と仕様を守ること」だけを義務づけていることです。

第2の解釈は、「その構造計算に関する資料は、建物をつくる際に必要な確認申請の際に、提出を免除されている」ことです。

この2つの解釈は、木造業界の実情への配慮(円滑な確認申請業務等)と建築士への信頼(構造計算を実行しているはず)により、「性善説」として厳しく規定されていないのです。

問題なのはその「解釈」を利用して、「法律で義務づけられていないから、構造の安全性を確かめなくてもいい」と解釈する設計事務所や工務店が多いことです。

建築主が思いがちな、「建築士はプロなのだから、責任を持って構造の安全性を確かめているはず」という性善説が、今回の法改正により改善されることが期待されます。

 

 

大規模木造で注意すべきは建築基準法20条の構造計算規定

大規模木造で注意すべきは建築基準法20条の構造計算規定

今回の法改正に伴い、建築基準法20条による建築物の構造計算方法の規定も改定されています。

「2号建築物」では保有耐力計算、限界耐力計算又は許容応力度等計算(ルート2)による対応が必要な建築物を規定していますが、高さは16mまでが許容応力度計算(ルート1)で対応できる事となりました。

「3号建築物」は許容応力度計算(ルート1)による対応が必要な建築物を規定していますが、現行の「3階以上又は延べ面積が500㎡を超えるもの」から「3階以上又は延べ面積が300㎡を超えるものは構造計算が必要」と改定されました。

現在、大規模木造を計画中の方、または非住宅木造の構造設計を相談する先がなく困っているという方がおられましたら、お気軽にご相談ください。

2025年に向け木造に詳しい構造設計者と接点を持とうとお考えの方が増えています。

関連記事:【解説】SE構法の構造設計が大規模木造で評価される理由

 

 

大規模木造の構造計算規定変更への対策1:構造設計体制の構築

大規模木造の構造計算規定変更への対策1:構造設計体制の構築

大規模木造における構造計算規定変更への対策としては、構造設計の体制を構築することです。

大規模木造の計画する際に、身近に木造非住宅の構造設計を相談できる構造設計事務所がなくて困っている建築実務者は多いと思われます。

以前より構造設計事務所は数が少なかったのですが、耐震偽装問題の後、建築基準法や建築士法の改正により、構造設計者が減少しているのが実情です。

構造設計者は、構造設計に関する実務能力に加えて、工事監理では構造面で専門性の高い判断も求められる仕事です。

そのため、実力・実績のある構造設計者は貴重な存在です。

建築士の高齢化などの問題もあり、構造設計事務所の確保は木造建築の大きな課題です。

法改正前は構造計算を要する建築物を指定しているため、指定されていない四号建築物は「構造計算はいらない」という誤った認識が建築実務者に蔓延していました。

そうした状況の中で、最も割合の高い小規模建築物を木造で計画する際に、確認申請に構造計算書の添付が不要であること等を理由に、構造設計の依頼を構造設計事務所に依頼しない状況が続いていました。

その結果、構造設計者で木造の経験がある人は限定的なのが実情です。

関連記事:中大規模木造に適した技術と自由があるSE構法の構造設計

 

 

大規模木造の構造計算規定変更への対策2:ワンストップサービス

大規模木造の構造計算規定変更への対策2:ワンストップサービス

大規模木造においては、材料や加工の制約もいろいろとあります。

大規模木造においても大部分は一般流通材の組合せで実現しています。

大断面集成材は特注材ということもあり高価で、製造できる会社や加工できる工場が限られていることから、特定の構造材メーカーが構造計算と材料供給をワンストップで担ってきた歴史があります。

木造住宅には規格化された接合部の金物がありますが、大断面集成材には一般的に使用できる金物がありません。

そのため、大規模木造用に開発された構造技術を持つ構造材メーカーが構造設計から材料供給までをワンストップで対応するサービスにより大規模木造を実現していることが多いです。

木造に不慣れな構造設計者が設計・計算を行うと、独自に考えた金物のディテールを図面に書きます。

しかしその情報をCADに登録しない限り、CAD/CAMではつながりませんので、プレカット工場側は機械ではなく図面を見ながら手加工するしかありません。

結果的にそうした加工料等がコストアップになり、大規模木造が実現しにくい要因になります。

対策としては、構造設計から材料供給までをワンストップで対応できるサービスを活用することです。

関連記事:SE構法はワンストップサービスが魅力!各プロセスごとに徹底解説

 

 

大規模木造の構造計算規定変更への対策3:木造ZEBへの備え

大規模木造の構造計算規定変更への対策3:木造ZEBへの備え

大規模木造においても、省エネ基準適合義務化により、一般的な仕様でも重量の増加は避けられず、構造に求められる性能が高まります。

住宅においては、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)をはじめとする省エネ住宅の建物荷重が、従来の住宅よりも重くなっていることも指摘されています。

非住宅用途では、木造によるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)となりますが、下記の要因により建物重量は重くなります。

・太陽光発電パネルが屋根の広範囲に載ること。

・屋根や壁に入れる断熱材の増加。

・開口部のガラスとサッシが2重、3重化すること。

・開口面積の減少に伴う外壁面積の増加。

これから増えることが予想される木造ZEBに備えるには、構造強度の高い構造躯体とそれを科学的に検証して構造設計できる構法を採用することがポイントになります。

関連記事:カーボンニュートラルで求められる大規模木造の法律、制度まとめ

 

 

SE構法へのお問合せ、ご相談について

SE構法へのお問合せ、ご相談について

大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。

1.構造設計

SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。

2.概算見積り

SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。

3.調達

物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。

4.加工

構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。

5.施工

SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)

6.非住宅版SE構法構造性能保証

業界初の非住宅木造建築に対応した構造性能保証により安心安全を担保し、中大規模木造建築の計画の実現を後押しします。

 

↓SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。

https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/

 

 

まとめ

大規模木造を提案する際には、木造化の価値や、木造での実現の可能性が技術的にも十分あることを理解していただくことから始まります。

木造の長所・短所をふまえ、要求性能とコストに見合った木造建築物の受注につなげていただければと考えております。

設計者、施工者には、木の材料特性を引き出し、流通する製材を活用して、都市部の建築の木造・木質化の実現が求められています。

 

SE構法の構造スペックをうまく活用すると、木造では実現が難しい高層化、木造耐火などを実現することができます。都市部の厳しい敷地条件の中、鉄骨造ではコストや施工に問題がある場合においても、木造(SE構法)が有効な選択肢となります。

NCNは構造設計から生産設計(プレカット)までのワンストップサービスが強みです。計画段階からご相談いただくことで、木構造デザインの木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談いただくことで、合理的に設計を進めていただければと考えております。

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

関連:「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。

構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

関連:「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。