2024年4月に鹿児島県薩摩川内市にオープンした大規模木造複合施設「センノオト」は、SE構法を採用した過去最大級の木造建築だ。当施設は市街地の中心に位置しており、市と九州電力を中心とする事業者が、都市の再活性化と持続可能なまちづくりを目指して計画された。
事業主体である九州電力は、グループ企業全体で2050年のカーボンニュートラル実現という目標を掲げている。よって当施設も設計の段階から「ZEB」(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)認証を目指し、木造での建設を決めた。高断熱化および高効率機器の導入による「省エネ」と、太陽光発電設備の設置による「創エネ」に取り組むことで、2024年2月時点で国内最大規模のZEB認証を受けた。
「センノオト」は、床面積2,931㎡の本館と443㎡の別館に分かれており、公園と隣接している。本館はSE構法が得意とする60メートルにわたって見通せる大空間。間仕切りは本棚で構成され、訪れた人々が自由に本を手に取ってくつろぐことができる。ここには市民活動の拠点として、会議室、学習室、カフェスペース、物販・飲食店など、多様な設備があり、地域住民が自由に利用できるオープンスペースだ。
別館はキッズスペースがあり、子どもたちは大人とは直接交わることなく、のびのびと遊びながら、過ごすことができる。
このように、「センノオト」は地域社会に開かれた多機能かつ持続的な公共施設として、まちづくりの新たなロールモデルとなっていくだろう。