「ニプロ株式会社大館工場元気ひろば保育園」は、ニプロ株式会社の大館工場内に建てられた企業主導型保育所である。従業員は現地採用が9割で、女性従業員の比率も増加したことから、福利厚生面を充実させるため、2018年に開園された。
企業主導型保育所とは、2016年に内閣府主導で開始された新しいタイプの保育園で、自治体の認可を必要とせず、柔軟な経営を行えるのが特徴だ。従業員の子どもを就業時間内に預かり、当園の場合は病児保育(子どもが不調の場合も預かれる施設)のスペースも確保されている。
エントランスを入ると、中央部に広いホールが開け、左手にはステージがある。普段は子どもたちの遊び場になるが、入園式や卒園式の際にはここが晴れ舞台だ。左側に3・4・5歳児室、右手には、0、1、2歳児室が連なり、最奥部は病児保育スペース。異年齢の子の姿を見ながら育つ環境を整えたいと、建物は扇形となっているのが特徴である。
園庭はトラックを備えていて、子どもたちが思う存分走り回ることができる。各部屋の天井が高いのは、冬場に積雪が多く、外で遊ぶ機会が少なくなる大館の環境を考えてのこと。高窓から光が差し込み、広くて明るい空間になっていて、保育園の滞在時間が長い園児もストレスが少なく過ごせそうだ。
元気ひろば保育園は、子どもには快適に、また親である従業員は安心して仕事に励めるよう、実際的な環境が整えられた園であった。
設計
髙島屋スペースクリエイツ株式会社
SE施工
秋田グルーラム株式会社 / https://www.jk-teg.com/akita-glulam