「ベーカリー&レストラン 沢村 旧軽井沢店」は旧軽井沢の入り口にあたるロータリーの南西に建つ、レストラン、ベーカリー厨房、ベーカリー売り場からなる、600㎡ほどの商業施設である。
プランニングは、敷地外周部の既存樹木を活かしつつ、さらに植栽を潤沢に施し北側に面積の大きなレストランとその厨房、南側にベーカリー厨房、その間にベーカリー売り場を配置する構成となっている。
レストランは、約20m×9.5mのボリュームで、中央部に2層分の吹抜けを持つ。
1階は中央にバーカウンター、その両側に客席が配置されている。2階には、吹抜けを見下ろせる位置に客席が配置されている。
また、2階テラスにも客席があり、ベーカリー売り場は平屋だが、ベーカリー厨房の上階にはカフェも併設され、レストランの2階テラス、ベーカリーカフェの2階テラスが回遊できるようになっている。
三つの異なるボリュームを繋げることや、大きな吹き抜けを計画していたため、当初は鉄骨造を考えていたという設計者の田辺雅之建築設計事務所の田辺さん。
いざ見積もりを出してみると、予算が合わなかったという事で、木造でも検討することに。そこで、在来工法とSE構法両方で見積もりを出してみたところ、両社とも、鉄骨より格段に安い見積金額だったそう。
ところが、在来工法のプランを見てみると、柱は予定より大きくなっており、吹抜け部に梁を通すというプランだった。
それに対してSE構法のプランは、柱も鉄骨造で検討していた時よりも細く、吹き抜け部分も梁を掛けなくても可能だという事で、コストとデザインの両面を満足させるSE構法を採用したそうだ。
同じ木造でも、構造計算や立体的な構造解析を行っているSE構法のメリットが生かされたいい例だと言える。
また、建物二階部分は全ての棟を周遊できるテラスがあるのは前述の通りだが、その部材には鉄骨材を採用したそうだ。
建築部分はSE構法で部材を細く出来たのだが、テラス部分の庇やスロープの手摺などは鉄骨の方が薄く細く作ることが出来るということから、通常の建築では主従関係が逆になりがちなところが、結果的には全体的なデザインバランスが取れたいい形に収まったという点が興味深いところである。
設計
田辺雄之建築設計事務所 / http://yuji-tanabe.com/
施工
セブン工業(SE構法部分) / http://www.seven-gr.co.jp/