「ののやま矯正歯科医院」は、1999年開業。今回3度目の診療所を建築するにあたり、これまでの経験をいかして理想の医療空間を創り上げた。
まずプランニングは、建物内で行われる医療の内容を理解することから始まる。矯正歯科とは、歯並びやかみ合わせを治療するための医院であり、虫歯などの治療に訪れる一般歯科とは少し異なる。
したがって患者の半数は小学生で、四分の三は高校生以下。初診時には必ず親が付き添い、治療方針や費用面のコンサルテーションを受けてもらうことになる。そのため、長時間カウンセリングをする相談室や、親が同席しやすい広めの診療室を備える必要があった。
ファサードもそれを見越して、雨の日でも子どもが乗降車しやすい車寄せを備えており、アプローチはバリアフリーだ。玄関を入ると待合室から廊下、診療室にいたるまで、吹抜けで光が差し込む明るい空間が続いている。これは患者の緊張感をリラックスさせる効果もあるだろう。
「またバックヤードも特徴的だ。医師は、主体的に患者の状況ひとりひとりに合わせた治療方針を決定する必要があるという。その環境を整えるため、レントゲン室や分析室などへ行き来しやすい回遊型に。2階には、2万個の歯型を収納できる集密書架(積載荷重800kg/㎡)を備えた。
来院者と医師の利便性と、明るく開放感のある空間をあわせもった「ののやま矯正歯科医院」。矯正のため、数年間にわたって通う診療所にふさわしい雰囲気をたたえている。
設計・監理
株式会社トータテハウジング一級建築士事務所
施工
株式会社トータテハウジング / https://housing.totate.co.jp/