「東京インターナショナルプログレッシブスクール」は、人間の多様性を尊重し、共に学び合うインクルージョン教育を理念に掲げている英語教育を主体とした学校だ。定員は60名、小学校4年~高校3年の生徒が通っている。教員には世界各国の教員資格を持つ人たちが集まっており、カウンセラーや理学療法士など生徒たちのさまざまなコンディションに対処するスペシャリストたちが定期的に通ってくる。
学校の南側は多摩川の土手に面しており、眺望が開けていて緑が多い。外観写真では真四角の建物に見えるが、土地の形に合わせた変形六角形となっており、コストの面からRC造ではなく木造の三階建てが選択された。
1階から3階まで、建物の中心を廊下が走り、各階の窓には多摩川の景色が広がる。1階にはコモンルームと呼ばれる共用スペースがあり、SE構法ならではの柱のない大空間だ。全校生徒が一同に集まれるようになっていて昼食もここで摂る。他にも視聴覚室や理科室などの大きな部屋と、最大10名ほどが学ぶ教室が並んでいる。
本校には教員室がなく、教員は自分のクラスをベースにし、資料の準備などは廊下に設けられた専用スペースで行う。そのため生徒との距離が近い。廊下もパブリックスペースとして机とイスが置かれていて、生徒たちの自由な勉強スペースとなっている。この学び舎は、多様性のある集団と個の距離感を、余白をもって調節する空間機能を有しているのだ。
基本設計
株式会社ナイツ・アンド・カンパニー
実施設計
アークピアライフ建築設計株式会社
施工
本間建設株式会社