
蓼科高原にある東急リゾートタウン蓼科。ゴルフコースやフィールドアスレチックなどのさまざまなアクティビティと宿泊施設を持つ複合型リゾート施設だ。その中心にある「チャペル・ルシア」は、東急ホテル本館の専用ブライダルチャペルとして2001年に建築された。架構は木造SE構法を採用し、非住宅としては第一号の建造物である。
教会をホテル内部に組み込むのではなく、森林の中にひっそりとたたずませる姿は、北欧の名作教会のようにシンプルで厳かな「森の中の礼拝堂」を目指していることが伺える。素朴な小屋のような外観は、建設から25年の時を経て屋根に苔がむし、壁に味わいが生まれることで、より地に足の着いた趣が加わった。
チャペル・ルシアの正面入り口に立ち、扉が開くと、バージンロードの先にある祭壇の背景に大きな十字架が現れる。この十字架は屋外に立てられており、祭壇背後の窓越しに見るものだ。さらに、チャペル入口上部の窓には白い十字があしらわれ、入場者は二つの十字の前に立つ格好となる。
室内に足を踏み入れると、長いスパンで柱を必要としないSE構法ならではの大空間が広現れる。入口上部に見えた十字は屋根を支える骨組みとして奥まで連続していることが分かり、デザインと構造が一致した美しさが際立つ。チャペル・ルシアには、頭上に広がる規則正しい架構の人工的な機能美と、窓によって切り取られた自然の借景の清々しさが同居し、開放的で豊かな非日常空間が広がっている。