「七里ふたばこども園」は、埼玉県さいたま市見沼区に誕生した定員270名の幼保連携型認定こども園だ。こども園とはいわゆる教育施設としての幼稚園と、児童福祉施設としての保育所をひとつに統合した施設である。だが、子どもの認定区分によって入園手続きも違うし、登園・降園時間も異なる。
保育認定を受けた子どもたちの事情もさまざまなため、「みんな仲良く一緒に」という気持ちの象徴として、以前からあった雑木林の一部をシンボルルツリーとして生かすことになった。
南門から、キャノピーと藍色のタイルで仕上げられた壁面に導かれてアプローチに入り、エントランス正面に立つと、園庭中央のシンボルツリーの木々が目に入る。木々を囲むように弧を描いた園舎の形状により、昔からある大きな木々を自然と意識し、敬意を表してもらえるような環境を作り出した。
木々の周りにあるのは、運動場とおしゃれなデンマーク製の遊具だ。遊具のイニシャルコストは高いが、子どもの情操を育む意匠性や安全性に富んでいること、つくりが丈夫でメンテナンスコストが割安になることを想定して導入された。
現在は1階に3、4歳児の保育室、2階に0~2歳児と5歳児の保育室があり、すべての保育室から廊下をはさんで中庭と木々を望めるようになっている。新しい制度に紐づくこのこども園からは、温故知新という価値と、のびのび育ってほしいという設計者の思いをくみ取ることができる。
SE施工
株式会社E・M・LUMBER / http://www.e-m-lumber.com/