
小さな子どもから大人まで、さまざまな世代が集まる場所。まるで地域のコミュニティセンターのような役割を果たしているのが、東光寺の客殿である。宗教行事を執り行う本殿と建物を分けているため、法事などがある日でも、地域の人々は気兼ねなく客殿を利用することができる。この「日常生活と宗教施設とを切り分けた構成」が、客殿を地域に開かれた場として機能させている大きなポイントだろう。
こうした使い方が選ばれた背景には、新住職の考えがあった。これまで非日常の場だった寺院は、地域の人々に日常的に寄り添う存在であることが求められるのではないか。そう見通した住職は、幼稚園教諭としての経験を生かし、建物のコンセプトを「こども×あそび×おてら」「秘密基地」「伸びやかな広がりのある多目的だけど無目的な空間」と言語化。工務店3社によるコンペの結果、最もその思想を具現化した現在の間取りを採用した。
客殿はRC造のピロティの上に造られた。玄関側にはモルタル床のホールを設け、キッチンやダイニングテーブル、チェアを配置。調理可能とし、子ども食堂としても登録済みだ。奥にはナラ材の無垢板を張った広間を設け、子どもたちと親が思い思いに遊び、くつろぐ姿が見られる。玄関を挟んだ反対側には小上がりの和室、階段上はロフトを設えた。
開設から一年。客殿は住職の構想どおり、さまざまな年代が集い、地域にひらかれた「伸びやかな秘密基地」として機能している。
設計:株式会社設計室NOAH
施工:株式会社亀岡工務店 / https://kameokakoumuten.jp