山口県防府市に位置する「くみあい運輸」。1967年に創業、飼料運搬業務から始まって、現在の従業員数は約130人。山口県下の物流を一手に請け負う会社へ成長した。
今後の事業展開は基幹事業の発展はもちろん、より業務を効率化させ、物流と情報を統合した業態へと進化させたいと考えており、多様な物流情報を一元管理するためヘッドオフィスを完成させた。
三角形のガラスが印象的なダイアゴナル・グリッドのファサードは、サウジアラビアの病院とニューヨークのホテルの外装デザインからインスピレーションを得たという。インパクトある外観を採用したのは、依然として少子化が進むなか、県下の優秀な人材を少しでも確保するための広告塔の役割を期待したからだ。
新社屋の存在感をアピールするため、「顔」となるガラス面の見せ方も工夫されている。ガラス面に接するビルの角をカットした形状とし、その面もガラス貼りに。国道を走る車窓から眺めると、ガラスの結晶のようなキラキラとした表情が移り変わって印象深い。さらにガラス面から内部の構造が透けて意匠を邪魔しないよう、吹抜けを設けて躯体の近接を防いでいる。
間取りは1回がエントランスと事務室、2階はガラス張りの会議室と社長室。躯体はSDGsへの取組みと、木が人に与える情緒的な安定を重視して、RC造ではなく木造が選ばれた。近未来的な美意識と木の温もりを併せ持つオフィスは、事業の温故知新も語りかけているようだ。
総合企画・施工
株式会社銘建 / https://meiken.jp/
設計
有限会社和.建築設計事務所