
川場村立川場学園は、9年間の義務教育課程を小中一貫でおこなう義務教育学校である。
義務教育学校は、2016年に教育基本法改正で設置された学校で、2024年度末時点で全国に232校が開校しており、9年間のカリキュラムを自由に設計できる特徴がある。
川場村立川場学園は「川場村ふるさと人材育成構想」を掲げ、そのなかに弟子入り教室として、伝統工芸品「生品箒」をはじめ、地域の特産品や産業を学ぶ独自の授業を設定している。そして川場村には、明治時代から「学校林」というものがあり、歴代の児童生徒たちが下草刈りなどの手入れに携わりながら守ってきた歴史があった。
そこで今回の校舎増築は、学校林の木を使うことが決定された。主要構造部材にはカラ松、小梁や仕上げ材にはスギ、土台にはヒノキを使用。施工は川場村で創業し、125年以上の歴史がある関工務所が担当することで地産地消、地域経済への還元も達成された。
新校舎は、切妻屋根の木造2階建て。平面図は長方形で体育館のような外観だが、2階廊下は教室ほどの広さを取り、多目的スペースを兼ねた柔軟性のある計画とした。教室と廊下はポリカーボネイトをはめた木製の引き戸で仕切られ、全開放すると一続きの大空間となる。内部は架構を可能な限りあらわしとし、木質感を重視した明るく開放的な空間となった。校長は、こちらの校舎に移ってから児童生徒たちの落ち着きが増したと感じており、よりよい教育環境が実現したといえるだろう。