茨城県笠間市は、2006 年に旧笠間市と岩間町と友部町が、合併して誕生した自治体だ。友部駅近くの「笠間市地域交流センターともべ」、愛称「Tomoa(トモア)」は、市民の交流拠点となっている公共施設だ。
今日の少子高齢化・人口減少社会に合わせて、公共施設をどのように再配置していくかは、どこの自治体でも頭を悩ませていることだが、笠間市は、駅を交通インフラの拠点とするビジョンがあり、それがこの計画の根幹となっている。
同時にTomoaには既存のホールの問題点を解決するよう求められた。音楽鑑賞や観劇に適したようにつくられている他のホールでは、目的以外の使用が難しい。より多目的に使え、市民の交流の拠点として普段から使える空間にする必要があった。
その条件をクリアするためプランニングしたのは、大空間の交流ホールの中にマルチホールを入れ込んだ形である。マルチホールは135席が入り、必要時には外部の広場と一体で使えるのである。
交流ホールの天井は、曲面屋根の形状に合わせて大きな梁を架けていて、スパンは13,650mm。SE構法の建物のなかでも最長クラスだ。
Tomoaは公共施設に求められる省エネにも配慮している。建物内の床面に2 箇所、「地中熱利用換気システム」の観察窓が設けられ、外気を地下5m のところで熱交換して取り入れることで春秋の冷暖房負荷を減らしているのだ。
建物にも多様性やサステナブルが求められるいまの時代、それらを満たしたTomoaは市民に親しまれる施設となっていくだろう。
設計・SE施工
株式会社横須賀満夫建築設計事務所 / http://www.design-yokosuka.co.jp/