「WOWマウンテンジム」は、東京、仙台、ロンドン、サンフランシスコに拠点をかまえる映像創造企業、ワウ株式会社の保養所だ。同社はCMや空間演出、アート作品やプロダクト制作まで幅広く活躍し、株式会社NCNも参加する「耐震住宅100%実行委員会」の「こぶたブラザーズの耐震劇場」ムービーも同社が手掛けている。(https://www.taishin100.com/brothers/)
そんな最先端のデジタルクリエイティブ業界に身を置くスタッフが、日常とは正反対の環境でリフレッシュすることを目的に保養所建設の計画が始まった。選ばれた場所は八ヶ岳のふもと、自然にどっぷり浸れる森林で、当社の副社長が自ら2年かけて開墾したというから驚く。
建物はキャンプで使う簡易屋根である「タープ」をイメージし、副社長の友人の建築家が設計を担当した。平面図を見ると横に長い長方形で中心に広々とした無柱のインナーテラスがあり、東側にシャワー室とトイレ、反対の西側にキッチンが位置する。床は土間のようにモルタルで仕上げ、下足空間とした。
インナーテラスの開口部は全開し、そのまま南北に広がる外デッキにつながるため、建物と外界との境界線はない。当初の狙い通り”屋根のある森”にいる感覚が広がる。
気になる温熱環境は、寒冷地であることを考慮して薪ストーブのほか床暖房を備えた。つまり、野外テントよりハードルは低く、大自然と一体になれる。このプリミティブな小屋に滞在すれば、気分がリセットされ、新しいアイデアも生まれそうだ。
設計・監理
L.O.B.研究所
施工
梅原建築