「弘教寺もんしんと会館」は、千葉県市原市、姉ケ崎駅から徒歩5分ほどのところに建つ浄土真宗本願寺派の宗教施設である。一見カフェのような佇まいは、施主夫妻と工務店が「開かれた空間」を試みた結果だ。
施主である小林住職は、2000年、道を挟んだはす向かいに弘教寺の本堂をかまえた。当時は人の出入りがあったものの、門徒の方の高齢化などにともない徐々に人々の足は途絶えてしまったという。
そこで気軽に入りやすい建物を設け、新しく浄土真宗の門徒になってくれる人を呼び込む挑戦が始まった。坊守である奥様は、スターバックスコーヒーのように誰もが立ち寄りやすいデザインを構想し、それが大塚設計によって叶えられた。
「弘教寺もんしんと会館」は交通量の多い県道沿いに位置し、人通りの多い県道側にエントランスを設けている。エントランスを入ると中央奥には内陣(ないじん)とよばれる本尊仏を安置されている場所が現れ、その対面は外陣(げじん)と呼ばれる門徒が集まる場所となっている。広場のようなたっぷりとした空間は多目的に使うことができ、テーブルやイスの位置が変えられるようになっている。
内陣にむかって右手にはキッチンとバーカウンターがあり、気軽にお茶を楽しむことができる。ここでは写経の会などの宗教的な催しだけでなく、講話会やハンドベルの会、コーラスの会といったイベントも企画、実施しており、当初の目的どおり宗教の垣根をとっぱらった試みが行われている。
設計
有限会社大塚設計 / http://otsuka-sekkei.com/
SE施工
株式会社大三商行 / http://www.daisan-net.co.jp/