京都清水寺のそばに位置する茶碗坂。ここはかつてから窯元がならぶ通りで、清水焼の名工をあまた輩出した場所だ。「東五六」はこの伝統ある場所において「伝統とモダンの調和」を掲げ、清水焼の専門店として店舗とギャラリーを運営している。ここにはオーナーの目利きによって高名な作家から有望な若手まで、幅広い作品が集められている。
「東五六」の東側には40年前に建てられた鉄骨造の既存店舗がある。今回はそこに隣接する形で新店舗を増設し、新旧ふたつの建物を一体で使うことが目的となった。オーナーは二社に提案を依頼。最終的にデザオ建設の木造SE構法の案にまとまり、決定された。
築40年の鉄骨造と新築の木造。竣工時期も構造形式も異なる建物を一体化させて使うために、構造上は独立した建物として建築し、接合部にエキスパンジョイントを用いることによって解決した。消防法については、火災時の類焼防止諸設備をそれぞれの棟に設けて対処することで認可を得た。
さてお客さまは、既存棟と新設棟のどちらからでも店舗に入り、なめらかに回遊することができるのだが、店舗の顔であるショーケースのすぐ隣には二階へと上がる階段がある。この”商品が売れる場所”を通路としたのは、2階のギャラリーや工房へといざなうため。「東五六」は物品販売だけにとどまらず、作家とお客さまの出会いをつくり、作家が集うサロンの場を提供することで陶芸文化も醸成しているのだ。
設計・施工
株式会社デザオ建設 / https://www.dezao.com/