太平洋に面する沖縄県名護市瀬嵩(せだけ)。株式会社エナジックの取締役である大城博成さんは、出身地でもあるこの場所にスポーツに力を入れた学校法人エナジックスポーツ高等学院を設立。同校の理事長をつとめ、人口200人にである瀬嵩の集落を活性化させ、2000人規模にするという大きな目標を掲げている。
エナジックスポーツ高等学院の校舎は、旧名護市立久志小学校のRC造2階建ての校舎を改修したものだ。学校創立にあたって、新しく学生寮であるA、B棟、食堂がメインのC棟をSE構法で新築した。A~C棟の生活域は、校舎から300mほど離れた場所にあり、地盤はもともと農地で砂質だったこと、さらに建物を安全に支えられる支持層まで30m以上あり、RC造や鉄骨造ではコストと工期の両方で非合理的であるという判断から、木造のSE構法が選ばれた。
食堂のあるC棟は、一学年40人ほどの生徒が全員集まって食事ができる大空間だ。だが無柱である必要はなかったため、4本ほど柱が「あらわし」で導入されている。厨房は動作性を重視し、無柱空間となった。
A、B棟の寮室は、間口が約2.4mで奥行きは約7.2m。2名で一部屋が割り当てられており、各部屋にトイレとシャワー、冷蔵庫と洗濯機、乾燥機が備えられている。教員の部屋も同じ間取りだが、こちらは一名で一室を使う。コンパクトな寮室と談話室、それらとは対照的な大空間の食堂を舞台に、エナジックスポーツ高等学院生徒の集団的な学校生活が営まれている。