沖縄本島から古宇利大橋を渡ってアクセスできる直径1kmほどの小さな島、それが古宇利島だ。この海と山が一望できる環境に建てられたヴィラがYAWN YARD Kouri Islandである。YAWN YARDは、その場に宿泊することが目的となるディスティネーションホテルで、沖縄らしいくつろぎを提供し、子ども連れの家族でも気兼ねなく滞在できる空間が求められた。そこで、目の前に広がる景色を一番の魅力として引き立てる間取りと、客室によって眺めが変わる建築計画が進められた。
ヴィラの客室は、一部屋がA棟とB棟で構成されている。それぞれの棟の屋内の間取りはほぼ同じではあるが、A棟とB棟とを配置する距離や角度を変えることによって、見える景色や体感が変化し、すべての客室に個性が生まれた。なかでも主役となる空間は、A・B棟の間に生まれた半屋外のテラスである。屋根をかけてここをダイニングとすることで、景色とともに沖縄の風や香りを肌で感じながらゆったり食事を摂ることができる。またプールと連続している浴室は、プライバシーを守りながら景色を堪能できる配置だ。
そして室内の建具や調度品も沖縄ならではのものが起用された。琉球石灰岩の塊で作られたシンクやオリジナルで作られたポータブルライト、室内アートや食事メニューも沖縄在住のクリエイター作である。地の利を生かした空間設計と、滞在時間を色濃くする住環境が整えられ、外と内の両方から”沖縄ならでは”を堪能できるヴィラとなっている。