OZONE様共催セミナー「大規模木造建築のデザインと可能性」を開催
リビングデザインセンターOZONE様との共催セミナー「大規模木造建築のデザインと可能性」を開催いたしました。「公共建築物等の木材利用促進法」施行以降、大規模建築においても木を用いる流れは確実になりつつあります。本セミナーでは、シーラカンスアンドアソシエイツの宇野享氏を迎えて、数々の木造建築の事例を解説していただきました。株式会社エヌ・シー・エヌ(以下NCN)からは、システム化された木造ラーメン工法「SE構法」の概要や施設建築の実例、木構造のポイントについてもご紹介しました。
<このコラムでわかること>
・シーラカンスアンドアソシエイツの宇野享氏のプレゼンテーション
・SE構法の大規模木造建築「風の街みやびら」の事例紹介
・大規模木造建築の実績豊富な建築家によるSE構法の評価
・「大規模木造建築のデザインと可能性」NCNによるSE構法の説明
・SE構法による大規模木造建築の事例紹介(民間建築物)
・SE構法による大規模木造建築の事例紹介(公共建築物)
・SE構法は木造建築のワンストップサービスが可能
シーラカンスアンドアソシエイツの宇野享氏のプレゼンテーション
シーラカンスアンドアソシエイツの宇野氏のテーマは「建築と自然~大規模木造建築の魅力~」です。
シーラカンスアンドアソシエイツは、CAt(C+A tokyo)とCAn(C+A nagoya)の二つのチームで構成され、それぞれ東京・名古屋の事務所を拠点に、国内外で建築を設計されています。「千葉市立打瀬小学校」、「流山市立おおたかの森小・中学校」にて日本建築学会賞作品賞を受賞されています。
まずは、ベトナムのホーチミンのプロジェクトの話からでした。「環境」ということを強く意識したきっかけになったそうです。
宇野氏は岐阜県の出身で、白川郷などをよく見に行っていたそうで、木造の建築に関心が高かったそうです。木造平屋の魅力として、平屋のウチとソトの連続性が高いことを挙げられていました。
シーラカンスアンドアソシエイツは、大規模木造の設計事例が多い設計事務所です。木造が現在のように注目される前から、大型の建築を設計する場合でも木造に積極的に取り組まれてきた設計事務所です。
SE構法の大規模木造建築「風の街みやびら」の事例紹介
宇野氏よりSE構法の大規模木造建築である「風の街みやびら」の事例紹介をしていただきました。SE構法による木造平屋の建築です。建物は分棟形式です。
建設地は広島県です。主な用途は、特別養護老人ホームとショートステイ、デイサービスセンターです。設計プロポーザルでシーラカンスアンドアソシエイツが設計者に選定されました。
主な設計コンセプトは下記の3点です。
1.木造平屋建ての「家」をつくる
地域に馴染んだ木の温かみがある建築にしたいという要望を受け、利用者の個室を木造平屋建ての「家」に見立て、全ての個室を寝室と多目的室に分割し、茶の間や庭、路地に面して配置する。
2.ふたつの町をつくる:外の町・内の町
木造平屋であることを最大限に生かし、建物外周部に全ての個室を配置する。家型の個室に包まれた建築とすることで、外である地域からも、内である建物内部からも小さな家が集まった町のように映ることを意図。
3.様々な庭をつくる
川沿いの遊歩道、路地や小さな庭、広場をつくり、様々な性格の外部空間に包まれた生活環境を実現。
実際の平面計画は共有スペースと個室スペースを明確に分けたプランニングになっています。個室を「奥の間(オクノマ)」と「あたの間(アタノマ)」に分けて「コ・ユニット」を形成し、それらをつなぐ居間に複数のコ・ユニットがつながって1ユニットを形成しています。広島県の伝統的な民家の考え方を踏襲したそうです。
大規模木造建築の実績豊富な建築家によるSE構法の評価
「風の街みやびら」は、設計プロポーザルの要項に木造で建設することが条件として示されていたということもあり、構造躯体を検討した結果、SE構法を採用いただいたということでした。
宇野氏が、実際にSE構法の優位性として感じたことは以下の点です。
・設計の自由度が高いこと
・汎用性が高いこと
・施工がやりやすいこと
下の写真のように、個室の家型屋根の上に、大きな切妻屋根を架ける構造躯体において、SE構法の加工精度や施工性の良さは、施工費を抑えたり、工期短縮にもつながります。
「大規模木造建築のデザインと可能性」NCNによるSE構法の説明
NCNの特建事業部の福田より、「大規模木造建築のデザインと可能性」についてお話しさせていただきました。NCNとして、まずは会社概要を説明させていただきました。SE構法は、住宅、非住宅あわせて、累計で2万棟以上の構造材出荷実績があります。
まずは大規模木造建築の動きの解説です。高層建築物や、CLTの動向などです。
SE構法のイメージをお伝えするために、プレゼンテーション用動画で概要を説明しました。
SE構法の主なポイントは、下記となります。
・構造設計:許容応力度計算(立体解析)の構造計算を全棟実施
・材料の品質:性能の高い専用のSE金物、トレーサビリティが明確な構造用集成材
・材料の加工:提携のプレカット工場による精度の高い加工
・施工品質:SE構法登録施工店による責任施工体制による精度の高い施工
SE構法による大規模木造建築の事例紹介(民間建築物)
SE構法では様々な用途の大規模木造建築の実績がありますので、まずは民間建築物の事例を用途別に紹介しました。
・保育園
・幼稚園
・学校
・高齢者施設
・店舗(木造耐火)
・店舗
SE構法は構造用集成材の中段面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用することで、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比較して、大規模な木造建築を「うまく、早く、安く」実現することができます。
SE構法による大規模木造建築の事例紹介(公共建築物)
SE構法の大規模木造建築の実績のうち、公共建築物の事例を用途別に紹介しました。
・アートギャラリー
・集会施設
・道の駅
公共建築物の用途によっては大空間が求められることもありますが、構造スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することでSE構法でも対応可能です。
準耐火建築物の対応においても、燃えしろ設計についてはSE構法独自の特許があり、梁幅を変えずに梁せいをあげる設計で可能なため、あまりコストアップにならない利点も活用していただけます。
SE構法は木造建築のワンストップサービスが可能
SE構法とは木造の構造躯体に関する設計、プレカット、施工までの生産プロセスをNCNが管理し、ワンストップサービスで安全な建築を提供するシステムです。SE構法は、許容応力度計算による全棟構造計算をベースに、SE金物、Sボルト、耐力フレーム、耐力壁などの特殊な技術があります。
NCNが提供する主なサービスは下記となります。
・木造化の構造提案:コンペ、プロポーザルなどの構造計画支援
・構造設計に関する業務全般:構造計画サポート、構造の実施設計、申請業務
・省エネ法届出および適合支援
・構造材の国産材対応
・大空間の対応:スパン10mを超える空間をトラスや張弦梁などで対応
・混構造対応:RC造との混構造案件
・木造に関するイベントの開催:セミナー、見学会
SE構法の構造計算は全て許容応力度計算です。SE構法の構造計算ソフトでは、不整形なカタチなど、さまざまなカタチの木造建築にも対応可能です。
NCNでは大規模木造専用サイトでは、木造建築に関するコラムを作成して、建築実務者の皆様向けに情報提供も行っております。
NCNでは、木造建築の勉強会やSE構法の構造見学会などのイベントを定期的に運営しています。
まとめ
本セミナーには、建築設計事務所様や建設会社様など、中大規模木造に関心のある建築実務者の方に多数ご参加いただきました。NCNが提供するSE構法は木造建築のワンストップサービスが強みです。計画段階からNCNにご相談いただくことで、NCNが持つ木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計を進めていただければと考えております。
本セミナーは、リビングデザインセンターOZONE様のご協力により実現しました。この場を借りて改めてお礼申し上げます。
NCNへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。