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WOODEN STRUCTURE中大規模木造

中大規模木造の構造材の特性やメリット・デメリット

  • 中大規模木造の構造材の特性やメリット・デメリット -

今や木造化・木質化は世界的な潮流となっています。地球環境の問題とリンクして、木材利用が常識になりつつあります。木を使うことは適切な森の資源循環につながるという認識が定着してきました。中大規模木造を設計するには、構造材の特性を知った上で「適材適所」で使い分けることが重要です。構造材にはそれぞれの特徴があります。このコラムでは中大規模木造を設計するための代表的な構造材について、その特性やメリット・デメリットをお伝えします。

 

<このコラムでわかること>

中大規模木造構造材1製材(杉、桧、米松等)

中大規模木造構造材2枠組壁工法構造用製材(ディメンションランバー)

中大規模木造構造材3構造用集成材(唐松、杉、RW等)

中大規模木造構造材4構造用単板積層材/LVL(唐松、杉)

中大規模木造構造材5CLT(杉、唐松等)

・まとめ

 

中大規模木造の構造材1:製材(杉、桧、米松等)

中大規模木造の構造材1:製材(杉、桧、米松等)

製材とは、素材(丸太・原木)を鋸挽きした木材製品で「挽き材」ともいわれています。製材の大半は建築に使われますが、建築以外にも、建具や家具、土木、輸送・梱包、造船などで利用されています。

「針葉樹の構造用製材の日本農林規格」では、針葉樹の構造材製材の等級、寸法、含水率が定められています。JASでは、製材品を針葉樹製材(構造用製材、造作用製材、下地用製材、枠組壁工法構造用製材)、紅葉樹製材等に区分されています。

「針葉樹の構造用製材の日本農林規格」では、建築物の構造耐力上主要な部分に使用する針葉樹製材品を対象にしています。製材の種類は、強度性能を重視した「目視等級区分製材」と「機械等級区分製材」に大きく2分しています。

「目視等級区分製材」は、節、丸身等材の欠点を目視により測定した等級区分するものをいい、「機械等級区分製材」は機械によりヤング係数を測定して等級区分するものです。

このうち目視等級区分製材は、土台や大引き、根太、梁、桁、母屋、垂木などのように横使いされるために主として高い曲げ性能が求められるものを「甲種構造材」として、その断面の大きさから「甲種構造材I」と「甲種構造材II」に分けています、柱や束などのように縦使いされるために主として圧縮性能が求められるものを「乙種構造材」としています。

<製材の特徴>

・木造で最も一般的な構造材

・比較的コストが安く、手に入りやすい

・原木のサイズによるため、大断面、長尺材が手に入りにくい可能性あり

<向いている用途>

・住宅、集合住宅等の、比較的スパンが飛んでおらず、低層の建築物

 

中大規模木造の構造材2:枠組壁工法構造用製材(ディメンションランバー)

中大規模木造の構造材2:枠組壁工法構造用製材(ディメンションランバー)

枠組壁工法構造用製材とは、「枠組壁工法構造用製材の日本農林規格」によると、枠組壁工法(ツーバイフォー工法)建築物の構造耐力上主要な部分に使用する材面に調整を施した針葉樹の製材のことです。

枠組壁工法構造用製材のうち、根太や垂木など主として高い曲げ性能が求められるものを「甲種構造材」といい、甲種構造材以外のものを「乙種構造材」としています。

枠組壁工法とはツーバイフォー工法と一般に呼ばれている北米の木造住宅の建築工法のことで、枠組壁工法構造用製材とは北米のディメンションランバーに相当します。

枠組壁工法構造用製材には、11種類の寸法形式があり、それぞれに含水率が19%を超える「未乾燥材」と、含水率が19%以下の「乾燥材」について規定寸法を規定しています。

枠組壁工法構造用製材のJASでは、節、丸身、貫通割れ、曲り、反りやその他の欠点の程度により、甲種枠組材を特級、1級、2級、3級の4段階の等級に、乙種構造材をコンストラクション、スタンダード、ユーティリティの3段階の等級に区分しています。

<枠組壁工法構造用製材(ディメンションランバー)の特徴>

・ツーバイフォー工法に用いられる構造材

・面材と組み合わせて使用

・規格品として生産されているため、入手が容易でコストも安い

11本にサイズ・種別・等級を示すスタンプが押されており、監理もしやすくなっている。

<向いている用途>

・住宅、集合住宅等の、比較的スパンが飛んでいない物件

・木の現しをしない物件

・中層建築での採用も多い

 

中大規模木造の構造材3:構造用集成材(唐松、杉、RW等)

中大規模木造の構造材3:構造用集成材(唐松、杉、RW等)

構造用集成材は、幅、厚さ、長さ方向を自由に接着調整することができるため、長大材や湾曲材を製造することが可能です。自由なデザイン、構造計算に基づいて必要とされる強度の部材を供給することができます。

木材はもともと水分を多く含んでいるため、乾燥が不充分だと狂い、割れ、反りが生じてしまいます。そのため構造用集成材はひき板(ラミナ)の段階で天然乾燥に加え、乾燥装置を用いて、含水率を15%以下まで乾燥して、狂い、割れ、反りの防止を図っています。

木材の持つ、大節、割れなどの欠点を製造工程において除去し、小さな節等の許容できる欠点は製品内に分散されることで、強度のばらつきが少なくなり、品質が均一化されます。

また、構造用集成材の製造時には材料であるひき板(ラミナ)を目視及び機械的方法により等級区分(グレーディング)し、必要に応じて適当なひき板を組み合わせて接着集成しますので、強度性能の安定した長尺大断面の材料が得られます。特に性能規定化された建築基準法のもとでは、強度性能が表示でき、かつ保証される構造用集成材は信頼性の高い部材です。

建築基準法では、柱及び梁については、表面部分が燃えても構造耐力上支障のないように断面積を大きくすることによって、木材の表面を見せたまま木造の準耐火構造とすることが可能です。設計に当たっては、表面の「燃えしろ」部分を除いた残存断面を使って構造計算を行い、火災時に表面部分が焼損しても、建築物が倒壊しないことを確認します。

木造の準耐火構造の関連情報はこちらです。

構造用集成材(JAS)の詳細解説はこちらです。

<構造用集成材(唐松、杉、RW等)の特徴>

・材料強度が安定(強度性能のばらつきが少ない)しており、中大規模木造では一般的な材料

・規格サイズであれば、比較的安価に入手可能

・必要に応じて、任意のサイズを制作可能(梁成1m超、長さ10m超材等)

・狂いや乾燥時の割れ、反りが少ない

・燃えしろ設計に対応できる

<向いている用途>

・中大規模木造建築全般

 

中大規模木造の構造材4:構造用単板積層材/LVL(唐松、杉)

中大規模木造の構造材4:構造用単板積層材/LVL(唐松、杉)

LVL(エルブイエル)とは ロータリーレースやスライサーなどの切削機械で切削された単板の繊維方向(木理)を全て平行にして積層、接着して造られる木材加工製品です。現在では、「単板積層材」または英語名(Lumber Veneer Laminated)を略して「LVL」と呼ばれています。

LVLには2mm 4mm 程度の厚さの単板が使用され、 積層数は数層から数十層に及ぶものがあります。 幅方向の反りを防止するために、直交層(クロスバンド)を数層挿入する場合があります。

合板とLVLの区別には明確な定義はありませんが、直交層が一層おきに仕組まれ積層・接着させたものが「合板」です。LVLは繊維方向の平行層の割合が圧倒的に大きく、一般的には製品の厚さも厚いため、面材としてよりも軸材・骨組材として用いられます。

構造用のLVLは、構造上の耐力部材として用いられるため、「構造用単板積層材の日本農林規格(JAS)」により性能基準や製造基準が厳しく規定されています。構造用のLVLは、安定した強度と長大な寸法を製作できるため、木造建築全般の小断面、中断面および大断面構造材として利用が増えています。

<構造用単板積層材/LVL(唐松、杉)の特徴>

・薄い単板を繊維方向に変更接着した材料

・構造用集成材と同様に材料強度寸法が安定しており、中大規模木造には広く使われる材料

・長尺通直材を作ることができる

・構造用集成材と比較し、製造工場が限られる

<向いている用途>

・中大規模木造建築全般

 

中大規模木造の構造材5:CLT(杉、唐松等)

中大規模木造の構造材5:CLT(杉、唐松等)

CLTとはCross Laminated Timberの略称で、ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料です。厚みのある大きな板であり、建築の構造材の他、土木用材、家具などにも使用されています。

CLTは現在では、主にヨーロッパ各国、カナダやアメリカ等で様々な建築物に利用されています。CLTを使った高層建築が建てられるなど、CLTの利用は近年になり各国で急速な伸びを見せています。

特に、木材特有の断熱性と壁式構造の特性をいかして戸建て住宅の他、中層建築物の共同住宅、高齢者福祉施設の居住部分、ホテルの客室などに用いられています。

日本では製造規格となるJAS(日本農林規格)が制定され、CLT関連の建築基準法告示が公布・施行されました。これらにより、CLTの一般利用がスタートしています。

CLTは構造躯体として建物を支えると共に、断熱性や遮炎性、遮熱性、遮音性などの複合的な効果も期待できます。木の表面をそのまま見せて用いると、木目や木の肌触りを感じる心地のいい空間ができます。

その他にも、工場内で一部の材料を組み立ててから現場に搬入するプレファブ化による施工工期短縮が期待でき、接合具がシンプルなので熟練工でなくとも施工が可能です。

CLT(杉、唐松等)の特徴>

・ラミナを各層で直交させ積層接着した厚型パネル

・パネル化することで、スピーディに建方を行う事ができる。

・木の塊であるため、使用㎥数が大きい

<向いている用途>

・中大規模木造建築全般

 

まとめ

構造材といっても、コスト、材種、樹種、強度、制作可能サイズ等様々あるため、事前にそれぞれの特徴を知ることで、適材適所の活用が可能となります実際の計画においては、構法や構造材を的確に判断し、構造を提案できる構造設計者の存在が重要です。

中大規模木造を設計するのに使い勝手がよい(コストと強度のバランスがよい)のは構造用集成材です。大スパン・大空間が求められる大規模案件においては、設計、供給、施工、コストパフォーマンスの良さが、高い次元で成立している工法が求められます。

 

中大規模木造を構造用集成材を活用して実績のある工法が「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

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株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

【次回のコラム→「中大規模木造の構法解説。用途、空間に応じて適材適所で選択」木造で建築を設計する際に求められる構法の知識について解説します。】