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WOODEN STRUCTURE中大規模木造

発注者が知っておきたい大規模木造のプロの選び方

  • 発注者が知っておきたい大規模木造のプロの選び方 -

脱炭素社会、カーボンニュートラル、SDGs、ESG投資等により木造建築が注目されています。木造の非住宅建築は主に低層の福祉施設(幼児施設、高齢者施設等)や商業施設(事務所、店舗、倉庫等)に適しています。

発注者が施設計画を構想した際、その実現を担える専門家(設計事務所や施工会社など)を選定することから始まります。しかしながら、施設建築のノウハウや経験がない発注者にとっては、信頼できる専門家のパートナーを選定することは至難の技です。

このコラムでは、発注者が知っておきたい大規模木造のプロの選び方についてお伝えします。

 

<このコラムでわかること>

発注者が大規模木造を計画する際に知っておきたいポイント

発注者は必読!大規模木造を依頼する設計事務所選び方

発注者は必読!大規模木造を依頼する建設会社選び方

発注者は必読!大規模木造で重要となる構造躯体構法選び方

・大規模木造に最適なSE構法の実務ポイントまとめ

・まとめ

 

発注者が大規模木造を計画する際に知っておきたいポイント

発注者が大規模木造を計画する際に知っておきたいポイント

発注者が大規模木造を計画する際に知っておきたい主なポイントは下記です。

<発注者にとっての大規模木造のメリット>

・メリット1:SDGs、脱炭素、ESG投資への対応

・メリット2:建設コストが安い

・メリット3:耐震性や省エネ性能が高い

・メリット4:低層建築物が多い用途で使いやすい

・メリット5:耐火建築物や4階建て、混構造に対応可能

・メリット6:生産性が高く、工期が短い

・メリット7:JAS構造材など材料の品質が安定

・メリット8:美しい木構造による企業イメージの向上

関連記事:木造化が必須な時代に!発注者向け大規模木造のメリット解説

 

<大規模木造に対応できる会社を選ぶ>

発注者が施設計画を構想した際、その実現を担える専門家(設計事務所や施工会社など)を選定することから始まります。

しかしながら、施設建築のノウハウや経験がない発注者にとっては、大規模木造の設計・施工を担える設計事務所、建設会社、工務店は限定的なため、信頼できる専門家のパートナーを選定することは至難の技です。

その理由は、今まで施設建築では主に鉄筋コンクリート造や鉄骨造で計画されていたので、木造で施設建築の設計・施工経験のある会社が限られているからです。

木造は近年まで施設建築にあまり採用されず、主に戸建住宅で普及しておりましたので、地域の工務店がその担い手というのが実態です。

これから大規模木造を計画する発注者は、このような建築業界の現状をふまえた上で、設計・施工の依頼先を選定する必要があります。

関連記事:【解説】同じ木造で大規模木造と木造住宅の実務は何が違うのか?

 

<大規模木造を計画する際に知っておきたい知識>

1.木造のコストの考え方

大規模木造の低コスト化を考えた場合、最も重要なことは木造の特徴を知り、その特徴にあった設計・施工を行うことです。大規模木造を適正なコストで実現するためには、木造に関するコスト感覚を掴むことが重要です。発注者、設計者、施工者が計画段階から概算見積りを作成するなどして、予算と工事費を調整しながら計画を進めることが重要です。

関連記事:【解説】大規模木造のリアルなコストの考え方(前編)

関連記事:【解説】大規模木造のリアルなコストの考え方(後編)

 

2.木造は火災に弱くない

 一般的に木は燃えやすいと考えられていますが、太い柱や梁は長時間火にさらされても表面がゆっくりと燃えるため、表面は焦げても中身は残ります。火災の際に躯体の耐力が低下して崩れ落ちることに注目すると、木材は鉄骨よりも丈夫だという実験結果もあります。

大規模木造においては、区画や避難、消火などを意識した建築計画を行い、耐火建築物や準耐火建築物等の仕様を遵守した設計を行えば、火災への対策で不利になるようなことはありません。

関連記事:【真実】大規模木造は火に弱くない!防耐火に強い木造建築とは?

 

3.木造の減価償却

木造は減価償却期間が鉄骨造より短く設定されており、建物を所有する事業者にとっては、年間の経費をより多く計上することができ、節税効果を得ることも可能です。(木造22年、鉄骨造34年、鉄筋コンクリート造47年。※全て事業用途)

事業用の建築物ではライフサイクルコストが特に重要であり、計画から解体工事までをトータルで考える必要があります。減価償却期間の短さや解体時のコスト等を考慮した結果、鉄骨造より木造のほうがコストダウンができるということで、木造が選択される場合もあります。

一方で、耐用年数はあくまで税法上で定められた年数でもあり、現代の木造建築ではメンテナンスを適切に行うことで更に長期に使用することも可能です。

 

発注者にとって計画段階で施設建築に求められる主な項目は下記です。

■計画:施設の規模、予算、スケジュールなど施設の概要を決める

■設計者選定:プロジェクトにふさわしい実力・実績のある設計事務所を選定

■施工者選定:プロジェクトにふさわしい実力・実績のある施工会社を選定

■補助金などの調査:福祉施設など公的な補助金を申請する場合はその調査と準備

 

発注者は必読!大規模木造を依頼する設計事務所の選び方

発注者は必読!大規模木造を依頼する設計事務所の選び方

設計事務所は「建築設計のプロ」ではありますが、その実力や実績には大きな違いがあります。

設計事務所によって得意とする用途や規模なども大きく変わってきます。

計画する建物の内容に応じて、適切に設計事務所を選定することが重要です。

今まで施設建築では主に鉄筋コンクリート造や鉄骨造で計画されていたので、施設建築の実力・実績のある設計事務所においても「木造非住宅」の実績がある会社は限定的です。

 

大規模木造を依頼する設計事務所を選ぶ主なチェックポイントは下記となります。

・依頼する用途の実績が豊富な設計事務所を作品集やウェブサイト等で確認する

・候補となる設計事務所に木造非住宅の実績があるかを確認する

・依頼先候補の設計事務所が木造非住宅の実績が少ない場合、それを補完するサポート体制(構造事務所、構造材メーカー等)を設計事務所側が体制構築できるのかを確認する

・依頼内容に対して設計事務所が設計監理料、スケジュールなどに対応できるかを確認する

 

発注者は必読!大規模木造を依頼する建設会社の選び方

発注者は必読!大規模木造を依頼する建設会社の選び方

建設会社は「建築物の施工のプロ」ではありますが、設計事務所と同様にその実力や実績には大きな違いがあります。

注意点としては、どの用途、工法(鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造)が得意な会社なのかを判断することです。

計画する建物の用途や規模に応じて、適切に建設会社を選定することが重要です。

 

大規模木造を依頼する建設会社を選ぶ主なチェックポイントは下記となります。

・依頼する用途の実績が豊富な建設会社を作品集やウェブサイト等で確認する

・候補となる建設会社に木造非住宅の実績があるかを確認する

・依頼先候補の建設会社が木造非住宅の実績が少ない場合、それを補完するサポート体制を(構造事務所、構造材メーカー等)を建設会社側が体制構築できるのかを確認する

・依頼内容に対して建設会社が建設費、スケジュールなどに対応できるかを確認する

・補助金などを活用する場合、その要件に候補先の建設会社が合致するかを確認する

・小規模・中規模の木造建築であれば地域の工務店も依頼先の選択肢になる

 

発注者は必読!大規模木造で重要となる構造躯体の構法の選び方

発注者は必読!大規模木造で重要となる構造躯体の構法の選び方

事業用の建築物を木造化する場合、大きな課題は構造設計と構造材供給です。

大規模木造を実現するには、木材の強度性能が明示されたJAS構造材を使うことで、経済性や設計の自由度の面で有利になる可能性が十分にあります。

JAS(ジャス)とは、 Japanese Agricultural Standardの略称で「日本農林規格」のことです。集成材や合板など木材加工品にもこのJASマークを表示する制度があります。

大規模木造でよく利用される集成材は、日本農林規格において「ひき板、小角材等をその繊維方向を互いにほぼ平行にして、厚さ、幅及び長さの方向に集成接着をした一般材」と定義されています。

大規模木造には構造計算が必須です。

基準強度などの品質性能がはっきりしたJAS構造材が求められます。

JAS構造材は、設計時に材料を選ぶ際、適材適所で等級を使い分けることもできます。

そのことは、設計の自由度を高めることにもつながります。

建築基準法等の緩和もあり、木造の高層化も進むと予想されます。

高層になるほど構造の重要性も増すので、材料が規格化されているJAS構造材が果たす役割は大きいです。

関連記事:JASとは「日本農林規格」。JAS構造材の基礎知識

大規模木造を実現しやすいのは、構造設計から構造材供給までワンストップで提供できるSE構法です。

関連記事:ウッドショック等のリスクにSE構法のワンストップサービスが強い理由

 

大規模木造に最適なSE構法の実務ポイントまとめ

大規模木造に最適なSE構法の実務ポイントまとめ

大規模木造に最適なSE構法の実務ポイントは主に下記です。

 

<システム>

耐震構法SE構法は大規模な木造建築物の技術を基に開発された技術です。耐震構法SE構法は耐震性の高さ、設計の自由度、コストパフォーマンスの良さ、ワンストップサービス等で高い評価を受けており、さまざまな木造建築の実績が増えています。

関連記事:大規模木造から生まれたSE構法を徹底解説(システム編)

 

<事例>

SE構法は特に低層建築物である店舗、事務所、倉庫、幼児施設、高齢者施設等の非住宅建築を中心に、さまざまな木造建築の実績が増えています。耐火建築物や準耐火建築物への対応も可能です。

関連記事:【解説】大規模木造の可能性が大きく広がるSE構法の事例紹介

 

<構造設計>

SE構法の構造設計プロセスは、「構造計画」「構造設計」「構造計算」の3ステップで進めていきます。

関連記事:【解説】SE構法の構造設計が大規模木造で評価される理由

 

<プレカット>

SE構法は大スパン・大空間が求められる大規模木造において、構造設計、材料加工、施工、コストパフォーマンスの良さを高い次元で成立している工法です。SE構法は徹底した品質管理と、構造計算から部材加工まで一貫したCADシステムにより高精度のプレカット加工を実現しています。

関連記事:【解説】大規模木造で構造設計とプレカット加工が連動するSE構法

 

<施工>

SE構法は、基礎構造から構造体施工に至るまで厳しい品質を追求しています。SE構法は独自の施工管理技術が必要なため、どの建設会社でも施工できるわけではありません。試験に合格したSE構法施工管理技士が在籍し、一定の技術水準を有すると認められた「SE構法登録施工店」がSE構法の建物を施工します。

関連記事:【解説】大規模木造で使いやすいSE構法の施工ポイント

 

<構造用集成材>

構造用集成材は「科学された木材」と言われ、製造過程でひき板一枚一枚の節の大きさや曲げヤング係数を計測・選別して集成材化しており、表示通りの性能が発揮されるので構造材として安定しています。構造の安全性を保証するSE構法は部材の信頼性を重視し、全て構造用集成材を使用しています。

関連記事:【解説】大規模木造に適した構造用集成材をSE構法が採用する理由

 

<SE金物>

SE構法は独自のSE金物により、集成材、耐力壁、床合板それぞれの強さを活かしています。一般的な木造は、接合部に柱や梁をホゾ継ぎするため、地震時に断面欠損をまねき、構造材本来の強度を低下させてしまいます。そこでSE構法は、大きな揺れに対して接合部が破損しない技術を追求し、独自にSE金物を開発しています。

関連記事:【解説】大規模木造で様々な設計に対応できるSE構法の強さの理由はSE金物

 

まとめ

SDGs、脱炭素社会、ESG投資への対応が求められる時代になり、木造化・木質化が急速に進んでいます。

大規模木造(SE構法)の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、納期短縮、施工性向上を実現することができます。

 

NCNは構造設計から生産設計(プレカット)までのワンストップサービスが強みです。計画段階からご相談いただくことで、構造設計から材料調達までを考慮した合理的な計画が可能です。

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。

SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

関連:「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。

構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

関連:「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、ウッドショックでお困りの方もお気軽にお問い合わせください。