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WOODEN STRUCTURE中大規模木造

ウッドショックを中大規模木造普及によりウッドチャンスに変えられる理由

  • ウッドショックを中大規模木造普及によりウッドチャンスに変えられる理由 -

第3次ウッドショックにより、輸入材に依存しすぎるリスクの大きさは確実に露呈しました。木材調達に多様性を持たせないと、今後も輸入材に翻弄され続けて新たなウッドショックが発生するリスクを抱えます。その対策の一つとして期待されているのが、中大規模木造の普及です。木造が非住宅の着工床面積に占める割合はとても少なく、増やせる余地は十分にあります。建設業界が木材の新しい用途を開拓して需要を生み出し、その需要を基に木材の生産力が高まることが期待されます。このコラムでは、脱炭素や法改正等の追い風による木造化・木質化の高まり、非住宅の大きな市場等を背景に、木造の在り方を見直すことでウッドショックをウッドチャンスに変えることができる理由についてお伝えします。

 

<このコラムでわかること>

・ウッドショックが示した木造の危機と大規模木造の可能性

ウッドショックの注意点!構造材価格上昇も建設費の影響は限定的

・低層非住宅の用途に存在する中大規模木造の大きな市場

・木造と相性の良い用途は店舗、事務所、倉庫、幼児施設、高齢者施設

・SDGs脱炭素社会ESG投資の視点からも注目される大規模木造

新しい法律が非住宅建築の木造化・木質化の追い風に

・大規模木造SE構法で実現するポイント

・まとめ

 

ウッドショックが示した木造の危機と大規模木造の可能性

ウッドショックが示した木造の危機と大規模木造の可能性

木材の需給が逼迫して、価格高騰、納期遅延等が発生する「第3次ウッドショック」が起こっています。世界的な建築需要の高まりによって木材価格が高騰しており、日本の住宅・建築業界は強い危機感を抱いています。

日本は先進国でも有数の森林保有国でありながら、木材自給率が低く、生産体制が脆弱であるため、輸入材の不足分を補えず、ウッドショックのような混乱に陥っています。

将来的には、木造住宅や中大規模木造で用いる梁材や柱材などの部材を、国産材を使って安定価格で安定供給できる体制の構築こそが、ウッドショックのような木材供給リスクの再発防止のためには欠かせません。

大規模木造の設計は、木材を「適材適所」で使用することが基本ですが、ウッドショックのような事態は、設計そのものに関わることになりますので、注意が必要です。

一方で建設市場の状況を俯瞰すると、確かにウッドショックの影響は大きいですが、中大規模木造の需要は減っていません。むしろ、追い風となっていることも増えています。

主なポイントは下記の3点です。

・SDGs、脱炭素社会、ESG投資への流れ

・木造化・木質化を推進する法改正

・建設市場全体における非住宅分野の大きな割合

関連記事:【激震】ウッドショック!木材価格高騰の理由

 

ウッドショックの注意点!構造材価格上昇も建設費の影響は限定的

ウッドショックの注意点!構造材価格上昇も建設費の影響は限定的

ウッドショックは中大規模木造の計画にも、さまざまな影響をもたらしています。中大規模木造は、住宅よりも使用する木材量が多く工期も長いため、より注意が必要です。

こうした状況下で木材価格が値上がりが続いています。今の状況を考慮すると先が見えない状況がしばらく続くことが予想されます。

一方で、ウッドショックが世界的な社会問題になったこともあり、さまざまな情報が錯綜した結果、間違った認識が広がっていることには注意が必要です。

仮に構造材価格が上昇しても建設費全体で見れば構造材が占める割合は決して多くありませんので、コストに与える影響は限定的です。

工事費が上がることは事実ですが「構造材価格が1.5倍=建設費が1.5倍」ということにはなりませんので、冷静に工事費を調整することが必要です。

関連記事:中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント

 

低層非住宅の用途に存在する中大規模木造の大きな市場

低層非住宅の用途に存在する中大規模木造の大きな市場

日本の建築物は床面積ベースで考えると、約2/3が住宅、約1/3が非住宅という割合です。

住宅は人口減少や空き家問題等もあり、新築住宅の着工数は年々減っていくことが予想されています。

低層非住宅(1〜3階)の建築物の場合、木造化の比率はまだまだ少なく、そのほとんどが鉄骨造で建てられているのが実情です。

その鉄骨造で建てられている低層非住宅の建築物は、工場などの大スパンが求められる建築物以外は、木造に置き換えていくことが技術的には可能です。

低層非住宅の建築物は、木造の構造スペックで対応できる用途のものが多く、コストや工期等においても木造で建てたほうがメリットが多いです。

関連記事:脱炭素社会に木造化は必須!大規模木造(SE構法)と鉄骨造の比較まとめ

 

木造と相性の良い用途は店舗、事務所、倉庫、幼児施設、高齢者施設

木造と相性の良い用途は店舗、事務所、倉庫、幼児施設、高齢者施設

ウッドショックや職人不足等など様々な要因によって建設コストが上昇傾向にある中、これらの問題を解決していくため、生産性の向上が求められています。

建設工事の生産性向上に重要なテーマは、規格化と標準化です。

実は設計も施工も規格化、標準化されているのが木造です。木造は910mmモジュールが基本であり、それを前提に建材が製作されていますので設計もそれを前提に進めることができます。

現在の木造では構造部材の加工生産をプレカット工場で行うことが当たり前になっています。コンピューター制御の機械プレカットにより高精度な加工が施され、きれいに梱包されて現場に出荷されます。

木造の構造躯体の施工は、とても合理的かつ短い日数で施工が可能です。

木造と相性の良い非住宅の用途は主に下記です。

 

<店舗、事務所、倉庫>

木造の持つ規格化、標準化された設計・施工技術は、多様な建物や空間を低コストで実現することができます。特に、高品質で低コスト、短工期が求められる店舗、事務所、倉庫を、確実に設計・施工するために有効な工法が木造です。

関連記事:店舗、事務所、倉庫には鉄骨造より木造が「安い、早い、うまい」理由

 

<幼児施設>

幼児施設は公的な補助金で建設されることが多いです。補助金事業で幼児施設を実現するには、「年度内に竣工」するための短工期に対応する必要があり、そのために最も適した工法が「木造」になります。

関連記事:木造で幼稚園を計画するための関連法規まとめ

関連記事:木造で保育所を計画するための関連法規まとめ

 

<高齢者施設>

高齢者施設ではこれまで鉄骨造で計画されていた建物が、徐々に木造へと転換する動きが活性化しています。鉄骨造から木造への転換では、大スパンや短工期などの課題に対応する必要がありますが、中大規模木造でも対応は可能です。

関連記事:中大規模木造が実は最適!高齢者施設の種類と特徴

関連記事:木造で高齢者施設を計画するための関連法規まとめ

 

SDGsや脱炭素社会、ESG投資の視点からも注目される大規模木造

SDGsや脱炭素社会、ESG投資の視点からも注目される大規模木造

「持続可能な開発目標(SDGs)」への対応、「環境や社会、企業統治を重視する(ESG投資)」の拡大などを背景に、環境や社会への貢献度が企業価値を左右する時代が訪れています。

持続可能な木材利用を経営戦略に上手に取り組む企業が増えており、自社の事業用の建築物を木造で計画する企業も増えています。

世界的な規模で社会全体で「木をより積極的に使用する」という機運が生まれています。

森林は二酸化炭素を吸収し、森林からつくり出される木材は燃やさない限り炭素を貯蔵し続けます。

日本は2050年のカーボンニュートラル(温暖化ガス排出実質ゼロ)、2030年度までに2013年度比で46%削減する目標を打ち出しています。

森林と木材の果たす役割は大きいです。国産材には輸入材の単なる代替ではなく、未来につながる価値を持たせる必要があります。

消費者も企業も、家計や事業活動につながる施策には注目します。木材を強く経済につなげるカーボンプライシング等は、無関心層が木材利用に興味を持つきっかけになる可能性があります。

木材活用の意義や方法を発注者に発信し、カーボンニュートラル実現の大きな目標に向かって取り組みを進めていくことが求められています。

関連記事:大規模木造とSDGs・脱炭素・ESG投資の相性が良い理由

 

新しい法律が非住宅建築の木造化・木質化の追い風に

新しい法律が非住宅建築の木造化・木質化の追い風に

「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が、このたび名称と共に改正されました。

それが「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」です。

公布は2021年6月18日、施行は2021年10月1日に予定されています。

2050年のカーボンニュートラル実現と脱炭素社会を目指し、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する​法律」を改正したもので、公共建築物だけでなく民間建築物にも積極的に木材を活用し、森林の適正な整備や木材自給率の向上を後押しするものです。

新しい法律の条文には、国や自治体が、木造建築物の設計及び施工に係る先進的な技術の普及の促進、中高層の木造建築物又は大規模な木造建築物の設計及び施工に関する知識及び技能を有する人材の育成、建築用木材及び木造建築物の安全性に関する情報の提供に努めることも明記されています。

公共建築物木材利用促進法の制定から約10年が経過し、国が2019年度に整備した低層公共建築物の木造化率が約90%に達するなどの成果が生まれています。

このような法改正もあり、木造化・木質化は確実に進んでいます。

関連リンク:「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の概要

 

大規模木造をSE構法で実現するポイント

大規模木造をSE構法で実現するポイント

大規模木造をSE構法で計画する場合のポイントは下記です。

 

1.低層建築における木造の優位性

木造の持つ規格化、標準化された設計・施工技術は、多様な建物や空間を低コストで実現することができます。特に、高品質で低コスト、短工期が求められる施設等を、確実に設計・施工するために有効な工法が「システム化された木造」であるSE構法です。

関連記事:「店舗、事務所、倉庫には鉄骨造より木造が「安い、早い、うまい」理由」

 

2.コストの優位性(鉄骨造と木造の比較)

構造で木造(SE構法)を選択することで、基礎や構造躯体のコストが安くなります。外壁仕上げには住宅用サイディング、窓は住宅用アルミサッシなどを使うことで、建材費や施工費も抑えることができます。

関連記事:「中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント」

 

3.木造でよりコストパフォーマンスを高める(木造の構法による比較)

大規模木造の計画において、木造建築を慣れていないと過大にコストや工期が膨らんでしまうことがあります。それを避けるためには、構造躯体は一般用流通材を使うことを前提に構造計画を行うことが基本です。

関連記事:「中大規模木造でコストダウンできる構造計画、構造躯体の考え方」

 

4.木造に精通した構造設計者に依頼(SE構法は大規模木造に適している)

SE構法は単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。SE構法は剛性のある木質フレームに囲まれた耐力壁を併用することで、耐力壁の性能を最大限生かすことが可能となり、壁量を少なくできます。SE構法は木造でも明確な構造計算に基づいているので、設計者は安心して意匠設計に集中できます。

関連記事:「中大規模木造に適した技術と自由があるSE構法の構造設計」

 

5.木造におけるワンストップサービス(SE構法は使い勝手が良い)

SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。大規模木造建築では工法に関わらず、「木造の構造躯体の施工の担い手」を確保する必要があります。SE構法であれば、構造躯体の施工だけをSE構法登録施工店に依頼する「建て方施工」という方法もありますので、施工会社選定の選択肢が大きく広がります。

関連記事:「SE構法はワンストップサービスが魅力!各プロセスごとに徹底解説」

 

まとめ

ウッドショックのような事態になっても、確実に中大規模木造の市場は存在しますので、前向きに取り組むことが求められています。

中大規模木造に設計事務所様、工務店様、建設会社様が取り組むメリットは多いです。

中大規模木造においても、木造住宅用に一般的に流通している構造材や建材を組み合わせて、大工さんや職人さんの技術により木造を建てることは同じです。そのため、工務店様や建設会社様にとっては自社の木造に関する技術をそのまま活かすことができます。

木造建築を得意とする工務店様、建設会社様の優位性としては、施工力です。木造建築のキーパーソンは大工さんです。大工さんを中心とする職方の確保ができる工務店様、建設会社様は貴重な存在となります。

 

NCNは構造設計から生産設計(プレカット)までのワンストップサービスが強みです。計画段階からご相談いただくことで、構造設計から材料調達までを考慮した合理的な計画が可能です。

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

関連:「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

関連:「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、ウッドショックでお困りの方もお気軽にお問い合わせください。