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SE CONSTRUCTION耐震構法SE構法

【解説】大規模木造の可能性が大きく広がるSE構法の事例紹介

  • 【解説】大規模木造の可能性が大きく広がるSE構法の事例紹介 -

SE構法は耐震性の高さ、設計の自由度、コストパフォーマンスの良さ、ワンストップサービス等で評価を受けております。特に低層建築物である店舗、事務所、倉庫、幼児施設、高齢者施設等の非住宅建築を中心に、さまざまな木造建築の実績が増えています。耐火建築物や準耐火建築物への対応も可能です。

このコラムでは大規模木造で様々な設計に対応できるSE構法を採用して実現した建築物の事例を構造設計のテクニック別に詳しく解説します。

 

<このコラムでわかること>

SE構法強み

・SE構法構造設計の実力:大空間事例

SE構法構造設計の実力:大開口事例

・SE構法構造設計の実力:平面斜辺事例

SE構法構造設計の実力:曲面(R壁)事例

SE構法構造設計の実力:混構造事例

SE構法構造設計の実力:木造4階建て事例

SE構法へのお問合せ、ご相談について

・まとめ

 

SE構法の強み

大規模木造においては、SE構法の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、工期短縮、施工性向上を実現することができます。

大規模木造の建設にSE構法が適している主な理由は下記です。

 

1.大規模木造にはSE構法の構造設計が適している

SE構法は、単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。

関連記事:「中大規模木造に適した技術と自由があるSE構法の構造設計」

 

2.大規模木造にはSE構法のワンストップサービスが有利

SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。その合理的なシステムが、設計・施工のプロセスにおいて納期や工期の短縮につながります。

関連記事:「SE構法はワンストップサービスが魅力!各プロセスごとに徹底解説」

 

3.補助金事業の入札による施工者選定に「建て方施工」で対応できる

SE構法であれば、構造躯体の施工だけをSE構法登録施工店に依頼する「建て方施工」という方法が可能です。補助金事業による入札においても、通常のプロセスで施工者選定を行うことができます。公共・民間工事を問わず、施工会社選定の選択肢が大きく広がります。

関連記事:「SE構法の施工体制は「全て元請け」と「建て方施工」が選択できる」

 

4.工期が短いため補助金事業に対応しやすい

公的な補助金を活用するには、年度内に竣工するための短工期に対応する必要があり、最も適した工法が「木造」になります。SE構法は、一般に流通する構造用集成材を採用している工法のため、原則構造材発注後60日間前後で構造材を現場に搬入することが可能です。

関連記事:補助金事業には木造がベスト!木造がRC造やS造より工期短縮できる理由

 

5.耐火建築物・準耐火建築物に対応しやすい

大規模木造では、建築基準法や設計基準等により「耐火建築物」とすることが求められることがあります。「木造耐火」の仕様を満たす必要がありますが、大規模木造(SE構法)でも「耐火建築物」の対応は可能です。

関連記事:木造の準耐火建築物の可能性が広がる!改正建築基準法の解説

 

SE構法の構造設計の実力:大空間の事例

SE構法で大規模木造を計画するメリットの一つは、木造では構造的に実現が難しいと思われる大空間の建築物を実現できることです。

 

1.SE構法の大空間(トラス)

大スパン(トラス)

大スパンの空間を計画するにあたり、単純梁の構造の場合だと、特注材製作による納期、搬入が可能かどうか、コストアップになるなどの問題で、現実的に単純梁を採用することができないことがあります。一つの選択肢としてトラスは有効な設計手法です。

関連記事:耐震構法SE構法によるトラスで大空間を実現する

 

<企業内保育所>

企業内保育所

この企業内保育所の屋根架構は、6,000mmスパンをトラスで組んだ門形フレームを放射状に並べて連結させて形成しています。

トラスは台形平面の両斜辺に加え、台形の対称軸上にも入れています。その理由は扇形を5分割にしてつくられた台形の斜辺を直接繋ぐには繋ぎ梁の梁成が大きくなりすぎるからです。

この台形の対称軸上に設けられたトラスには両斜辺から繋ぎ梁が直角に接続するように設計されています。そのためこのトラスの全長は6,000mmより少し小さくなります。接合部の合理性と経済性を意識して構造設計したのがこの屋根架構の特徴です。

関連記事:SE構法の企業内保育所の事例紹介「元気ひろば保育園」

 

2.SE構法の大空間(張弦梁)

大スパン(張弦梁)

SE構法では一般的に流通している中断面の構造用集成材と鋼材ロッドを用いて張弦梁を構成することで、大断面の特注材を用いるよりもコストダウンを実現し、軽快な印象の大空間を実現できます。

関連記事:耐震構法SE構法では張弦梁を採用して軽快な印象の大空間を実現できる

 

<こども園>

こども園

このこども園の屋根架構は、登り梁を小屋束ではさんで2本をつなぎ、鋼材ロッドを用いて張弦梁で大空間を実現しています。

大スパンを大断面の特注材で構成しないことで、コスト削減や納期短縮を可能にしています。

関連記事:社会福祉法人 知多学園 北中根こども園

 

3.大空間(その他)

SE構法は特殊なディテールを使用しなくても、標準ディテールで大空間を実現できます。

<幼稚園>

幼稚園

この幼稚園の遊戯室は間口9m×奥行16.2mの大空間です。6寸勾配の屋根の切妻形状に合わせた勾配天井となっています。

断面が450mm×120mmの大梁をダブル(2本抱き合わせ)として山型ラーメンのようなフレームを桁行方向に2.7m間隔で設置することで、この大空間を無柱空間として実現しています。

関連記事:SE構法の幼稚園の事例紹介「聖美幼稚園」

 

<宗教施設>

宗教施設

この宗教施設の平面はシンプルな長方形で、断面は片流れ屋根に合わせた勾配天井の大空間になっています。

上記写真の「外陣」は、間口20,930mm、奥行き12,285mmの大空間です。170mm角の柱を2本建てることで、大空間をコストパフォーマンス高く実現しています。

関連記事:SE構法の宗教施設の事例紹介「弘教寺もんしんと会館」

 

<倉庫>

倉庫

この倉庫は間口12,740mm×奥行8,190mmの無柱空間です。鉄骨階段でつながる2階部分は間口8,645mm×奥行8,190mmの吹き抜けと、間口8,645mm×奥行8,190mmの倉庫で構成されています。

無柱空間、大空間、大きな吹き抜け、高い階高という木造としては難易度の高い空間を実現するためのポイントが4本の「太い柱」です。「太い柱」とは360mm×120mmの柱材をダブルで使った巨大な柱で、通常のSE構法の柱(120mm×120mm)の6本分もあります。

梁は梁成500mmをダブルで架けています。無柱で2階床が1/3しかない大きな吹き抜け空間において、短手の変形を抑えるための要素が内部になく、それゆえ柱を太くして対応しています。抱き合わせ柱を使うことで木造の大空間は十分に可能になります。

関連記事:SE構法の事務所兼倉庫の事例紹介「DAI3福島営業所」

 

<事務所>

事務所

この事務所の短辺方向は、屋根勾配に合わせた登り梁で構成されています。

長手方向の小屋梁は大スパンに対応すべく、大断面の梁を側面に並べて2本を抱き合わせた構成とすることで大空間を実現しています。

関連記事:(株)環境システムズ本社ビル

 

SE構法の構造設計の実力:大開口の事例

SE構法で大規模木造を計画するメリットの一つは、木造では構造的に実現が難しいと思われる大開口の建築物を実現できることです。

<事務所>

事務所

この事務所は外観の特徴的なガラスのファサードを通じて、開放的な木質空間の雰囲気が伝わる建築デザインとなっています。発注者のアイデアで海外の建築物の外装デザインにインスピレーションを得た設計となっています。

内部空間はガラス面の手前に吹抜けが設けられてますので、2階床スラブの小口が外壁面に接して影をつくらないように、結晶のイメージを妨げないように工夫されています。

関連記事:SE構法の事務所の事例紹介「くみあい運輸新社屋」

 

<店舗>

店舗

この店舗は開放的な木造軸組架構によるモダンなテイストを実現しています。

開放的な建築にしたいという要望に対して、店舗としての機能面を充足させつつ、SE構法の基本的なモジュールを最大限活用して大きなスパンを架ける方法を提案しています。

1階は土産物屋として観光客が入りやすい開放的な店構えを実現しています。2階は松島の美しい景観を望むカフェとして快適な眺望の確保を実現しています。

関連記事:SE構法の店舗の事例紹介「松華堂菓子店」

 

<宗教施設>

宗教施設

この宗教施設はクライアントの要望により、地域の人に気軽に入ってもらうことを意図して、商業施設のような明るく開放的な建築がコンセプトになっています。

デザインの特徴としては、平屋建ての大空間において木造(SE構法)の構造材を壁、天井内に隠してしまうのではなく、屋根を支えるダイナミックな登り梁や、軒を支える柱を現しとしていることです。

前面道路に面して大型のアルミサッシによる大開口も実現しています。

関連記事:SE構法の宗教施設の事例紹介「弘教寺もんしんと会館」

 

SE構法の構造設計の実力:平面斜辺の事例

SE構法の構造設計の実力:平面斜辺の事例

SE構法では平面斜辺による平面計画が可能です。建物形状に合わせて建物の一部の外壁を平面斜辺にできますので、敷地を有効に利用できる設計が可能になります。

通常、SE構法の梁受け金物は平面的にT字型であり、柱の面に梁受け金物を取り付け、梁を落とし込み、ドリフトピンで接合します。

SE構法の平面斜辺の場合には、梁受け金物をその平面斜辺の角度に合わせて特注で製作します。柱の面に梁受け金物を取り付けるディテールは同じですが、梁を受けるプレートが平面斜辺の角度に合わせて曲げられています。

関連記事:耐震構法SE構法は斜辺やR壁の平面計画に対応可能

 

<店舗>

店舗

店舗

この店舗は、敷地形状になぞって建ち、東西に細長く、途中でくの字に折れている平面形状です。耐震性を高める構造計算は難易度の高いものです。

SE構法では、この建物のように偏心が生じる不整形な建物にも対応できる構造計算ソフトを開発しておりますので、合理的かつ効率的に木造の構造設計を行なっています。

関連記事:SE構法の店舗、事務所の事例紹介「ANNEX  TSUTENKAKU TOWER」

 

<事務所>

事務所

事務所

この事務所は三角形の平面形状のため、耐震性を高める構造計算は難易度の高いものです。

通常は直行する2軸(X方向とY方向)を構造計算しますが、三角形の3辺それぞれに対する地震力をかけ、3回構造計算を実施しています。

関連記事:SE構法の事務所の事例紹介「ハウステックス東京本社ビル」

 

SE構法の構造設計の実力:曲面(R壁)の事例

SE構法ではR壁による平面計画も可能です。建築デザインにより建物の外壁をR壁にする必要がある場合にも対応できます。

SE構法では、構造躯体に一般に流通している構造用集成材を使います。構造用集成材の梁を水平方向にRに製造することは難しいため、木造で実際にR壁を作る場合にはR壁のラインに合わせて「多面体」で構造躯体を施工することが基本となります。

NCN独自の計算ソフト「wolf3」は、立体解析が可能で、複雑な形状の建築においても建物を一体として構造計算することが可能です。

<認定こども園>

認定こども園

認定こども園

この認定こども園は、南側に向かって開かれたU字型の平面となっています。屋根形状を片流れ屋根とした外観デザインです。建物に囲まれるかたちで園庭があります。

建物の奥行きが12,700mmで湾曲し、内側に1,820mm幅の廊下がある平面形状となっています。

関連記事:SE構法の認定こども園の事例紹介「ゆうあいこども園」

 

SE構法の構造設計の実力:混構造の事例

木造の可能性を広げる設計手法として、木造と鉄筋コンクリート造(RC造)との「混構造」があります。

混構造は、木造と非木造を構造的に一体化して設計する手法です。混構造は、単一の構造の利点を活かし、弱点を補うことができます。

一方で、構造的に難しい点が多いです。特に、異種構造間の応力伝達や剛性の評価などに注意が必要です。

建築基準法の運用に関しては念のため行政や審査機関に確認しながら計画を進めてください。

関連記事:「木造と鉄筋コンクリート造の混構造を徹底解説」

 

<事務所>

事務所

この事務所は、平面はシンプルな長方形で、外観は屋根形状を切妻屋根とした端正なデザインの建築です。建物全体の間口は16,000mmで、奥行は8,500mm(バルコニー端部までの寸法)です。

1階部分をRC造でつくって「高基礎」とみなし、その上に木造を載せるという構成でこの建物を実現させています。

関連記事:SE構法(混構造)の事務所の事例紹介「日新設計社屋」

 

SE構法の構造設計の実力:木造4階建ての事例

木造4階建ては1時間耐火構造が要求されます。鉄骨造と比較して重量の軽い木造でも木造耐火による被覆を行う事によって重量が重くなり、かつ4階建てなので一般的な在来軸組工法では計画すること自体が困難です。

SE構法では構造スペックが高く、木造でも4階建てを計画することができます。

<事務所>

事務所
事務所この事務所は4階建ての木造(SE構法)と2階建ての鉄骨造の建物との平面混構造です。構造的には分離(縁を切る)し、各々で自立できるように構造計画しています。

狭小地での施工で、鉄骨造だと接合部の点数が増えてコストアップにつながってしまいます。そこで木造で計画した結果、逆に材長が6m以下の流通規格の材料を中心に設計することができ、コストダウンが可能になりました。

SE構法の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、納期短縮、施工性向上を実現しています。構造的に応力や荷重が集中する部分には、短辺方向に平角柱、大梁を抱き合わせにするディテールを用いることで、特注材を最小限に抑えています。

関連記事:木造4階建てのSE構法の事務所ビルの事例紹介「ヤマサ製菓ビルハピア豊橋」

 

SE構法へのお問合せ、ご相談について

SE構法へのお問合せ、ご相談について

大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。

 

1.構造設計

SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。

 

2.概算見積り

SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。

 

3.調達

物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。

 

4.加工

構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。

 

5.施工

SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)

 

6.非住宅版SE構法構造性能保証

業界初の非住宅木造建築に対応した構造性能保証により安心安全を担保し、中大規模木造建築の計画の実現を後押しします。

 

↓SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。

https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/

 

まとめ

SE構法が大規模木造に適している主なポイントは下記です。

・SE構法は耐震性の高さと設計の自由度により、さまざまな大規模木造に対応できる

・SE構法の構造ディテールを応用することで、コストを抑えながら木構造を実現できる

 

大規模木造においては、SE構法の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、施工性向上を実現することができます。

SE構法は構造用集成材の中断面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することも可能です。

計画段階からNCNの特建事業部に相談することで、木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計実務を進めることが可能です。

 

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。