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WOODEN STRUCTURE中大規模木造

【施策】大規模木造実現へ大きな支援「優良木造建築物等整備推進事業」

  • 【施策】大規模木造実現へ大きな支援「優良木造建築物等整備推進事業」 -

住宅・建築物を含めた我が国社会全体でカーボンニュートラルを実現するために貢献する意識が高まっています。カーボンニュートラルの実現という目標を踏まえた建築物の目指すべき姿として、将来における建築物をとりまく環境、特に省エネルギーを重視した建築物を計画していく必要があります。

住宅・建築物においては省エネ性能の確保・ 向上の取組を進めることで省エネルギーを徹底しつつ、再生可能エネルギーの一層の導入拡大に取り組んでいくことが求められています。加えて、建築材料等の製造、住宅・建築物の建設施工、廃棄時などに排出されるライフサイクルとしての温室効果ガスに関しても考えておく必要があります。

目指すべき住宅・建築物の姿としては、技術的かつ経済的に利用可能な技術を最大限活用し、新築される住宅・建築物についてはZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)基準の水準の省エネ性能が確保されることが求められます。

国の施策として「優良木造建築物等整備推進事業」も発表されています。

このコラムではZEBに関する情報と「優良木造建築物等整備推進事業」の概要等について解説します。

 

<このコラムでわかること>

高まる発注者のCO2削減意識。気候変動が建築を造る仕組みを変える

令和4年度国土交通省住宅局の関連予算の概要

・優良木造建築物等整備推進事業の概要

・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の技術

・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)のメリット

・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の種類

非住宅建築物を大規模木造ZEBとして実現するメリット

・大規模木造SE構法で実現するポイント

・まとめ

 

高まる発注者のCO2削減意識。気候変動が建築を造る仕組みを変える

高まる発注者のCO2削減意識。気候変動が建築を造る仕組みを変える

パリ協定やSDGs(持続可能な開発目標)などを背景に、ESG(環境・社会・企業統治)を重視する傾向が強まっています。

国のカーボンニュートラル宣言を契機とした規制強化や、投資家の圧力を背景に、発注者が気候変動対策に本腰を入れ始めています。

脱炭素への道筋を提示できない設計者や施工者は、活躍の場を失いかねない状況を迎えています。

気候変動や脱炭素の問題に真摯に取り組む発注者においては、環境配慮に取り組むのは当然のことと捉えています。結果として性能確保を優先するために建設コストを抑えることには限界があります。

それでも発注者の判断としては、すぐに収益に結び付かなくても早く始めてサスティナブルな建設投資を実施するノウハウを得たいと考え始めています。

そうした発注者においては、「自ら管理する全ての建物で、運用に伴うCO2排出量をある時期(企業によって差がある)までに実質ゼロにする」といった方針を掲げる流れが生まれています。

規制強化に加え、市場や投資家の圧力も発注者の行動変容や建築物の脱炭素化に影響を及ぼしています。

政府は2030年までに新築建築物の省エネ性能がZEB水準を満たし、2050年にはストック平均でZEH・ZEBレベルの省エネ性能確保が実現されている将来像を示しています。

脱炭素社会 住宅 建築物 省エネ対策

「ZEB」は「Net Zero Energy Building」(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称です。快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。

自社施設の二酸化炭素(CO2)排出量の削減に力を入れる企業が急増していることも相まって、ZEBへの関心はかつてないほど高まっています。

一方で、年間の1次エネルギー消費量を正味ゼロあるいはマイナスとするZEBや、それに近い「Nearly ZEB」を目指すのは、決して簡単ではありません。建築物の高断熱化や空調・照明の省エネ化等を図ったうえで、太陽光発電などによる創エネが不可欠だからです。

都市部の中高層ビルではZEB化に対するニーズが大きいですが、太陽光パネルの設置場所の確保が難しい問題もあります。このため、窓や外壁などの外装材と一体化したBIPV(建材一体型太陽光発電設備)が急激に注目度を上げています。

進化を遂げつつある太陽光発電設備ですが、屋根の奪い合いは、建物のあらゆる「面」の確保へと発展します。

建築を造る実務者にとっては、これまで導入が難しいとされてきたような建物に、いかに新たな創エネ技術を取り込み、意匠面も含めて建築物に統合するかが、腕の見せどころになります。

高断熱化や照明・空調の効率化を図ったうえで、屋上や南面の外装に太陽光発電設備を設置し、運用時の二酸化炭素(CO2)排出量削減を徹底する建築が求められています。

環境負荷が大きい建築物は資産価値を失い、気候変動問題と向き合わない企業は市場や投資家からそっぽを向かれてしまいます。そんな危機感が、発注者を脱炭素に駆り立てています。そうした課題の解決方法の一つが、大規模木造の普及です。

関連記事:大規模木造とSDGs・脱炭素・ESG投資の相性が良い理由

 

令和4年度国土交通省住宅局の関連予算の概要

令和4年度国土交通省住宅局の関連予算の概要

国土交通省は住宅と非住宅建築物の脱炭素に向けた支援体制を大幅拡充する予定です。

令和4年度予算の概算要求には「住宅・建築物カーボンニュートラル化総合推進事業」の創設が盛り込まれています。非住宅や高層住宅の木質化を支援する補助制度も設けられる予定です。

注目されるのは「優良な木造建築物等の整備支援」です。

カーボンニュートラルの実現に向け、炭素貯蔵効果が期待できる木造の中高層住宅・非住宅建築物について、優良なプロジェクトを支援し、普及促進する仕組みです。

近年、国は非住宅建築物の木造化・木質化への施策を展開しており、下記のような補助金制度を実施してきた経緯もあります。こうした支援により、多くの大規模木造建築が実現しています。

関連記事:【助成金情報】令和3年JAS構造材個別実証支援事業まとめ

 

優良木造建築物等整備推進事業の概要

優良木造建築物等整備推進事業の概要

2022年2月段階で発表されている優良木造建築物等整備推進事業の概要は下記です。(本記事は2022年2月段階の情報により作成しております。変更になることもありますのでご了承ください。)

 

■補助要件

次の①~⑤を満たすもの。

①主要構造部に木材を一定以上使用する木造の建築物(木造と他の構造との併用を含む)

②耐火構造又は準耐火構造とすることが求められるもの

③不特定の者の利用又は特定多数の者の利用に供するもの

④多数の利用者等に対する木造建築物の普及啓発に関する取組がなされるもの

⑤省エネ基準に適合するもの(公的主体が事業者の場合はZEH・ZEBの要件を満たすもの)

 

■補助事業者:民間事業者等

 

■補助対象費用

・建築物の調査設計計画費のうち木造化に係る費用

・建設工事費のうち木造化による掛かり増し費用

 

■補助率:1/2

 

※予算が決定後、改めて最新情報のご確認をお願いします。

 

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の技術

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の技術

脱炭素化において「木造化・木質化」が重要だと捉えられています。もう一方で重要視すべきなのが「省エネ対策」です。そこで注目されるのがZEBです。

ZEBを実現するための技術は、

・消費するエネルギーを減らすための技術(省エネ技術)

・エネルギーを創るための技術(創エネ技術)

に分けられます。

実際にZEBを実現する場合には、

①パッシブ技術によってエネルギーの需要を減らす

②必要となる需要についてはアクティブ技術によってエネルギーを無駄なく使用する

③そのエネルギーを創エネ技術によって賄う

といったステップで検討することが重要です。

また、建物の運用段階では、どこにエネルギーの無駄が発生しているか、どのように効率的に設備を運用するかなど、エネルギーをマネジメントする技術も重要です。この技術によって継続的なエネルギー消費量の削減を図ることができます。

 

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)のメリット

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)のメリット

ZEBには、エネルギー消費量が削減できること以外にも様々なメリットがあります。具体的には、大きく下記の4点がZEBのメリットとして挙げられます。

・光熱費の削減

・快適性・生産性の向上

・不動産価値の向上

・事業継続性の向上

建物の関係者には、オーナー、働く人、訪れる人など、さまざまな立場の人がいます。その立場によって得られるメリットは異なるものの全ての人々に対してZEBのメリットは存在しています。

そのため、ZEBを実現・普及させるためには、各立場の人々が自らのメリットを理解した上で協力していくことが必要です。

地球温暖化対策やエネルギー需給の安定化のため、エネルギー消費量を減らすことが必要とされています。特に、業務部門(事務所ビル、商業施設などの建物)において、建物でのエネルギー消費量を大きく減らすことができるZEBの普及が求められています。

建物では様々なエネルギーが使われています。発電所などから送られてきた電気やガス、熱といったエネルギーを、空調、換気、照明、給湯、エレベーター、OA機器などの形で消費しています。

建物で使うエネルギーをできるだけ減らし、できるだけ自分の建物でエネルギーをつくることで、ZEBに近づけていくことができます。

 

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の種類

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の種類

建物のエネルギー消費量をゼロにするには、大幅な省エネルギーと、大量の創エネルギーが必要です。そこで、ゼロエネルギーの達成状況に応じて、4段階のZEBシリーズが定義されています。

 

1.『ZEB』(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ゼブ))

省エネ(50%以上)+創エネで100%以上の一次エネルギー消費量の削減を実現している建物

 

2.Nearly ZEB(ニアリー・ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ニアリー ゼブ))

省エネ(50%以上)+創エネで75%以上の一次エネルギー消費量の削減を実現している建物

 

3.ZEB Ready(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル・レディ(ゼブ レディ))

省エネで基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量の削減を実現している建物

 

4.ZEB Oriented(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル・オリエンテッド)

延べ面積10000㎡以上で省エネで用途ごとに規定した一次エネルギー消費量の削減*を実現し更なる省エネに向けた未評価技術(WEBPROにおいて現時点で評価されていない技術)を導入している建物

 

 ※1建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律に基づくエネルギー消費性能基準

 ※2未評価技術は公益社団法人空気調和・衛生工学会において省エネルギー効果が高いと見込まれ、公表されたものを対象とする。

 *事務所等、学校等、工場等:40%、ホテル等、病院等、百貨店等、飲食店等、集会所等:30%

 

ZEBだけではなく、Nearly ZEBZEB ReadyZEB Orientedにも該当するものであるため、100%の一次エネルギー消費量の削減が難しい場合でも、ZEBシリーズとして実現を目指していくことが必要です。

 

非住宅建築物を大規模木造のZEBとして実現するメリット

 

非住宅建築物を大規模木造のZEBとして実現するメリット

非住宅建築物を大規模木造のZEBとして実現するメリットは主に下記です。

 

・木造は温熱の基本性能が高いため、ZEBを実現しやすい

ZEBの計画では、断熱をしっかり施し、それで足りない部分は高効率な設備機器と太陽光発電などで補ないます。木造は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造などの他工法と比較して温熱性能が高いため、ZEBを実現しやすい工法です。

 

・木造建築は脱炭素社会を目指していく企業メッセージを伝えやすい

環境配慮や脱炭素社会を目指していく世界の流れのなか、木造建築でのZEB実現は企業メッセージをわかりやすく伝えやすいです。

 

・木造建築は住宅用建材を活用することにより建設コストを抑えられる

木造建築は戸建住宅で使われる一般的な技術や材料を活用できるためZEBを実現しやすいです。例えば大開口部分はビル用アルミサッシとして、その他の一般的な開口部は、戸建住宅で多く用いられる断熱タイプのサッシにLowーE複層ガラスを組み合わせるだけで開口部の断熱性を確保することができます。

 

・木造で建設すると税制面のメリットが大きい

木造は鉄筋コンクリート造に比べて減価償却期間が短く、固定資産税が低く抑えられるなど税制の面で有利です。将来、取り壊す際の費用も比較的少なくて済み、負の資産になりにくい工法といえます。

 

・発電設備のメリットを活かせる

太陽光発電の設置により、光熱費を抑えることができます。ZEBの運用例として、小規模な建築物であれば太陽光発電による電力は自家消費した分以外を蓄電し、夏のエアコンなど足りない分を系統電力から購入することもできます。今後EV(電気自動車)が普及してくれば、太陽光発電した電力をより有効利用できることも期待されます。

 

・蓄電池の設置により危機への備えが高まる

ZEBの運用例として、太陽光発電と同時にBCP対策として蓄電池を設置することで、非常時のコンセントを設け、停電時には充電などに対応できます。

 

SE構法へのお問合せ、ご相談について

SE構法へのお問合せ、ご相談について

大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。

 

1.構造設計

SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。

 

2.概算見積り

SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。

 

3.調達

物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。

 

4.加工

構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。

 

5.施工

SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)

 

6.非住宅版SE構法構造性能保証

業界初の非住宅木造建築に対応した構造性能保証により安心安全を担保し、中大規模木造建築の計画の実現を後押しします。

 

↓SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。

https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/

 

まとめ

今後発表される補助金制度等に取り組む場合には、必ずご自身で公募要領のご確認をお願いします。(本記事は2022年2月段階の情報により作成しております)

 

NCNでは、SE構法で独自に構築したシステムを活用しながら木造住宅に用いられる材料を利用することで、大規模木造の建設にかかるコストと時間軸を抑える取り組みを行なっています。

それに加えて、大規模木造に関する助成金をうまく利用していただくことで、より厳しいコスト管理が要求される仕事においても、木造化が可能になります。

大規模木造に関する、基本的な質問・相談や、具体的な案件の相談等、経験豊富な専門スタッフが直接対応します。

 

NCNは構造設計から生産設計(プレカット)までのワンストップサービスが強みです。計画段階からご相談いただくことで、木構造デザインの木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談いただくことで、合理的に設計を進めていただければと考えております。

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

関連:「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

関連:「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。