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コウゾウノハナシ

【コウゾウノハナシvol.017】大空間建築への挑戦 (長野オリンピック記念アリーナ)

建築デザインと構造

総合力を生かす-大空間建築への挑戦 (長野オリンピック記念アリーナ)

日本の文化は、豊富な森林とともに育まれてきた。環境が注目されている今日、木は自然が育てた持続可能な素材で、空間に温もりや柔らかさを与える感性をもつ。構造材として木の性能を生かした合理的なシステムを考えれば、感性と論理性が融合した空間構造が創れる。

■長野オリンピック記念アリーナ(M-wave)

この施設は1998年に長野市で開催された冬季オリンピックのスピードスケート会場に使用された。外観はドーム的なイメージから脱却した、連峰を思わせる吊り屋根が連続するユニークな形態である。内部は木の文化を表現したカラマツの連子格子の曲線が重なりあう、ダイナミックで温もりのある空間である。

ところで、吊り構造は力学的に効率の高いシステムだが、いつもその支持機構が最大の課題となる。通常、吊り屋根からの張力を合理的に伝達するために支柱は外側に傾斜させる。しかし、この施設の支柱は構造的効率とは逆に内側に傾いている。あえて、不利な支持形式に踏み切ったのは、アイスアリーナという機能的な条件(最小容積と中央に広い観客席を設ける)を重要視したからである。どこまで構造的な非合理を許容できるかは、難しい問題だが、構造の安全性が保証できる範囲であれば、と考えている。

播 繁

播 繁

長年鹿島建設に勤務し丹下健三氏との協働で赤坂プリンスホテル新館、フジテレビ本社ビル、また、長野オリンピック記念アリーナなど大規模建築の構造設計を手掛ける。
1997年の独立後​は岡山ドーム、埼玉県立武道館等の公共施設のほか「SE構法」の開発など、木造住宅の耐震化にも取り組んだ。
平成29年9月5日没 享年79歳

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