当ウェブサイトは、サービス向上の目的のためCookieを利用しています。
Cookieの利用に同意していただける場合は、同意ボタンをクリックしてください。
閲覧を続ける場合には、同意していただいたものといたします。
考察 強い家をつくる
耐震等級でわかる家の耐震性能のインデックス
これらから家づくりを検討しているほとんどの方は、自分の家は「地震で壊れない家」で建てたいと思っていると思います。
この地震国の日本では、これまでも一定の周期で大地震が起こっています。
特に被害の大きかった記憶に残る大地震だけでも以下のようなものがあります。
1995年 阪神淡路大地震 震度7
2004年 新潟県中越地震 震度7
2011年 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災) 震度7
2016年 熊本地震 震度7
これらの大地震では、非常に多くの建物が倒壊・損傷してしまいました。その中には、築年数が浅い家も数多く存在していました。
これからも、いつどこで大地震が起こるかわかりません。そんな大地震でも家屋が倒壊しない「耐震性能の高い家=地震に強い家」を建てるためには、どこに注力して家づくりを進めていけば良いか、今回は詳しく解説します。
ハウスメーカーや工務店に「あなたの会社の家は地震に強い家ですか?」と聞くと、ほとんどの会社は、「自社の家は地震に強い家です」と答えると思います。「自分たちの家は地震に弱い家です」とは決して言いません。
みなさんの判断材料として大事なことは、「その裏付けが何であるか」ということです。
その裏付けを基に会社の耐震性のレベルを確認することで、耐震性が高いか否か、の判断ができると思います。
その裏付けとして最もわかりやすいのが「耐震等級」です。
「耐震等級」という指標は、1999年に制定された「住宅品質確保促進法(品確法)」という法律に基づき決められた基準です。一般的に建築をする際のベースになっている法律は「建築基準法」ですが、これはあくまでも最低レベルをクリアするための基準であり、この基準を「ギリギリ」クリアするような家は決して安心ではありません。
対して「品確法」は、「建築基準法」よりも厳しい基準で定められた法律であります。その中には「耐震性」を始めとして「断熱性」や「省エネ性」「耐久性」など様々な住宅性能について基準が「等級」という形で設けられています。その性能の「等級」によって、自分の家の性能レベルを確認することができる訳です。
その「品確法」の中で、耐震性を見定める基準として「耐震等級」があります。それには1,2,3と3つのランクがあり、「等級3」が最も耐震性能が高いランクとなります。
「耐震等級1」とは
「数百年に一度程度起きる地震(震度6~7)に対しても倒壊や崩壊しない、数十年に一度発生する地震(震度5程度)は住宅が損傷しない程度」というレベルの建物です。いわゆる、建築基準法と同程度の耐震性のレベルだと思ってよいと思います。つまり、最低限度の耐震のレベルなので、正直おすすめしません。
「耐震等級2」とは
「数百年に一度程度の地震(震度6~7)の1.25倍の大地震に対しても倒壊や崩壊しない程度」の耐震性を持つレベルです。つまり、等級1よりも1.25倍耐震性が高いというレベルです。等級2は2022年10月の改正までは長期優良住宅の基準でした。それが今回の改正によってその基準が等級3(壁量規定によるもの)になったということもあり、本当の意味で「耐震住宅」と呼ぶのであれば、等級2では満足できないレベルだと思います。
「耐震等級3」とは
「数百年に一度程度の地震(震度6~7)の1.5倍の大地震に対しても倒壊や崩壊しない程度」の耐震性を持つレベルです。現在の基準としては最高レベルの耐震性の証なので、できればこのレベルまでの性能を持つ家が「耐震住宅」と言えるのではないかと思います。「耐震住宅」を求めるみなさんには、是非この「耐震等級3」の基準をクリアする家を建てていただくことをお勧めします。
1.仕様規定である壁量規定の壁倍率で達成する方法
一般的な在来木造の場合、床面積に応じて一定の壁の枚数を必要とする「壁量規定」という指標をベースに耐震性を確保するという手法があります。あくまでも簡易的な指標なのですが、現実には多くの会社がこれを採用しています。前述しましたが、今回の長期優良住宅の改正の際に、この壁量規定の手法で設計する際は耐震等級3を必要とすることになりました。
この場合に等級3を実現するためには、通常必要な壁の枚数を1.5倍にすることになります。つまり、筋交いや構造用合板などの壁を家の外周部や内部に追加していく方法です。もちろんバランスも重要ですので、どこでも追加すればよいというわけではありません。
方法としては比較的簡単ですが、壁の枚数が増えるということは、家の中に動かせない壁が増えるということなので、設計上の制約が増えてしまうというデメリットがあります。広々とした開放的なリビング空間や大きな開口窓、ビルトインガレージのような設計が難しくなってしまうということもあるでしょう。また、将来のリフォームをするときに動かせない壁があることで、間取り変更が難しくなってしまうという問題が生じてしまいます。
許容応力度構造計算では、その建物の大きさや形状・仕様などによって地震力を割り出します。それの1.5倍の地震力を入力して解析をしても建物が壊れないというシミュレーションをして確認します。大まかな指標である「壁量規定」とは異なり、かなり現実に近い構造設計手法なので、この計算の上での耐震等級3はかなり信頼性が高いと言えます。
ちなみに、今回の長期優良住宅の改正においては、耐震等級3を必要とする「壁量規定」に対して、「許容応力度構造計算」で設計するのであれば、耐震等級2でも良いということになっています。
つまり、「壁量規定による耐震等級3」の耐震性は、「許容応力度構造計算による耐震等級2」でも充分に実現できるという意味ですので、これをみても構造計算による信頼性が高いことはわかると思います。
SE構法では、全てこの「許容応力度構造計算」を行っています。構造躯体の性能やその家にかかる地震力をベースに高レベルの解析をした上で高い耐震性を確保する手法です。
また、後でも解説しますが、SE構法の特徴により大きな空間を維持したまま耐震等級3を取得も可能です。
引き抜き強度も重要
地震時には、柱の足元が引き抜かれるという現象を考慮しなければいけません。壁倍率の壁量規定ではこれが考慮されていないので、「N値計算」という手法を使って、引き抜き強度が1.5倍の地震力に耐えるかのチェックも必要です。基礎に埋め込んだ「ホールダウン金物」を柱に固定させて必要な引き抜き強度を確保することも必要です。耐震等級3をベースに計算すればこれも安心感はあると思います。
許容応力度構造計算では、この点も最初から考慮して解析をしてきますので、安心です。SE構法では、柱脚金物が基礎と柱を連結しているので、通常の穂ウールダウン金物の2倍の強度を誇っています。
「吹き抜け」と耐震性の関係
壁量規定を基に耐震等級3を実施していく過程において、「吹き抜け」があまり大きすぎると実現しないことがあるので要注意です。木造住宅において2階の床を貼ることはとても大きな効果があります。上が空いた段ボール箱と上を閉めた段ボール箱の強度が異なるように、2階の床を貼っていない家と貼った家では強度が大きく変わるのです。
吹き抜けは開放的な空間を実現するのにとても大きな効果のある設計手法です。
大きな吹き抜けを実現しながら耐震性の高い「等級3」の家を実現するには、許容応力度構造計算の解析にして実現することが最も安心なプロセスでしょう。
「長期優良住宅」を活用しましょう
「耐震等級3」であることを証明するには、性能表示制度を使う方法があります。その延長戦にあるのが「長期優良住宅」です。前述しましたが、「長期優良住宅」においては、「耐震等級2以上」が条件でした。これも2022年10月の改正から壁量規定では「等級3」が基準となり、太陽光発電を乗せる場合には更にその重さも考慮した上で「等級3」をクリアすることになりました。
つまり、今後は「長期優良住宅」とすれば必然的に「耐震等級3」の耐震性の高い家となることになるわけです。また、「長期優良住宅」は公的に品質や性能が高い家だとお墨付きをもらえるわけなので、将来ご自分の家を売ったり貸したりするときに、その建物価値を評価してくれる可能性が高いので、是非お勧めしたいところです。
耐震等級3にすると、このように多くのメリットがあるのですが、実はデメリットもあることを知っておいてください。
① コストアップ
まずは、耐震性を向上させるために、構造部材や金物などを多く使うことになるので、必然的に建築コストはあがります。また、等級3を証明するためのチェックする手間や構造計算を掛ける際はその費用も余分にかかります。
特に、標準仕様で耐震性が弱い家の場合はオプション的にコストアップになってしまうことがあるでしょう。
これらを必要な経費とし納得できるかどうかは皆さんの考え方次第です。
② 設計の自由度が狭くなる
特に、在来木造の場合は、必要となる耐力壁が純粋に増えます。単純に考えると1.5倍になるわけですし、バランスを考慮するとさらに増えるかもしれません。リビングの中に邪魔な壁が入ったり、窓が小さくなったりすることもあるかもしれません。吹き抜けを減らしたりするなど開放的な空間が実現できない可能性もあります。
③ 将来的な間取り変更時に邪魔になる
壁が増えるという点では、最初の間取りではある程度妥協できたとしても、将来外せない壁になるので、ライフスタイルや家族構成の変化などによる大幅な間取り変更が難しいということもなります。
これらのデメリットのうち、②と③はSE構法にすることで解決できます。
SE構法は壁だけでなく、柱や梁の構造フレームだけある程度の耐力を確保することができますし、耐力壁自体も在来木造に比較すると高耐力を発揮するので、少ない壁で等級3を取得することができるのです。大きな吹き抜けもしっかりと構造計算をするとこで安全に設計することが可能です。スケルトンインフィルの考え方で設計可能なので、将来も間取り変更も容易です。
高い耐震性能を実現しながら、開放的で自由な空間を望み、そして将来的にもリフォームしやすい家にしたい、という方には是非SE構法が最適だと思います。
SE構法は、木造住宅の構造技術です。丈夫な材料とラーメン構法による強い構造躯体と、一棟一棟に対する基礎から上部までの厳密な構造計算を行う点が最大の特長です。私たちの特長を是非ご覧ください。
株式会社エヌ・シー・エヌが開発した構法で、集成材とSE金物による堅牢な構造媒体を持ちすべての建造物に対してひとつひとつ構造計算(許容応力度等計算)を行うことで、
を同時に実現できる構法です。
(施工は全国の登録工務店でしか行うことができません。)