
熊本市の都市部から車で数十分の敷地に、ゼクシオホールディングの新オフィスビルが完成した。当初は鉄骨造が検討されていたが、図面を元に構造計算をした結果、木造でも建築可能であることが分かり、設計を担当する建築士の経験が豊富な木造が選ばれた。
立地の特性上、全社員は車で通勤するため、人数分の駐車スペースが必要だった。そこで、露天の駐車場のほか、ビルの1階をピロティとすることで、合計12台を収容可能とした。
事務所には3社のグループ会社が入っているため、2階と3階は各社の規模に応じて空間が仕切られている。2階は大小の個室で構成されているが、建物の構造を支える耐力壁は、できる限り外周部や水回りに集約させている。よって、内部の仕切り壁は必要に応じて取り外すことができ、間取りが変えられるようになっている。3階の中心には共有の会議室を配置し、今後はそこを拠点にグループ会社同士の交流が深まっていくことが期待されている。
ピロティは近代においてRC造や鉄骨造の架構で多用されてきた形式で、木造では耐震性に欠くイメージもある。だが、日本では古くから社寺の山門などに用いられてきた伝統的な技術であり、現代では木造でも構造計算を経て安全性を担保できるようになった。今回のようなオフィスビルをはじめ、木造のピロティは今後、建物の用途を広げる建築形式として、商業建築や住宅に用いられることが増えていくかもしれない。
SE施工:株式会社清永宇蔵商店