これから家づくりを検討する際、できることなら「地震に強い家を建てたい」と考える方がほとんどだと思います。しかし一方で、初めて家を建てる方にとっては、どんな家が地震に強い家なのかよくわからないという方も多いかもしれません。
そこで抑えておいてほしいキーワードが「耐震等級」です。「耐震等級」とは、現在の日本の住宅における耐震性の明確な指標として存在しており、長期優良住宅やフラット35、地震保険などの際の評価基準として、公に活用されている指標でもあります。
日本の建築物は全て「建築基準法」という法律をベースに建築が行われています。つまり、日本で建てられている住宅は全て「建築基準法」をクリアしていることが大前提ということです。「建築基準法」をクリアしていない建物は「違法建築」ということになるわけです。
しかしこの「建築基準法」は、あくまでも最低基準を定めた法律なので、「これをクリアしたら確実に地震に壊れない家になる」というわけでは決してありません。
そのような現状を踏まえて「耐震等級」というものが存在しています。これは「住宅品質確保促進法」という法律によって定められていて、この基準を示すことは義務ではありません。なので、住宅会社によっては説明をしてくれないケースもあるかもしれません。ぜひ、この機会に「耐震等級」というものについて興味を持っていただければと思います。
この耐震等級には、1から3までの3つのレベルが定められています。
詳細は以下の通りです。
現行の建築基準法に定められた最低限の耐震性能を満たしています。
数十年に一度発生する中規模の地震(震度5強程度)に対して建物が損傷しないように設計されており、数百年に一度発生する大規模な地震(震度6強から7程度)でも倒壊しないことを目指しています。
耐震等級1の1.25倍の耐震性能を持っています。
数十年に一度発生する中規模の地震に対してほとんど損傷しないように設計されており、数百年に一度発生する大規模な地震でもさらに高い安全性を確保しています。
耐震等級1の1.5倍の耐震性能を持っています。
数十年に一度発生する中規模の地震に対して全く損傷しないように設計されており、数百年に一度発生する大規模な地震でも建物の倒壊や崩壊を防ぐことを目標としています。
このように、客観的にみても「耐震等級3」が最も耐震性の高い住宅ということになるのはわかっていただけると思います。
この「耐震等級」は「長期優良住宅」においても必要な基準の一つとなっていて、一般の在来木造の「壁量規程」でこれを実証する場合には「等級3」が必要になります。ちなみに、SE構法のような「許容応力度構造計算」でこれを実証する場合は「等級2」でも良いということになっています。
このことからみると、「在来木造の壁量計算の等級3」と「SE構法の許容応力度構造計算による等級2」が、耐震性能的には同じくらいのレベルであるということが言えると思います。つまり「SE構法の耐震等級3」は「在来木造の耐震等級3」より更に耐震性能が高いということにもなります。
在来木造が採用している壁量規定は、最低限度の建築基準法のレベル(=耐震等級1)なので、等級2にする場合は壁量が1.25倍になります。そして等級3にする場合は壁量を1.5倍に増やさなければいけないということになります。もちろんその分、耐震性は向上しますが、必要な壁や柱が増えてしまうことで逆に家の空間や間取りの自由度が下がってしまうという、大きなジレンマが生じます。
それに対して、ラーメン構造のSE構法の場合は、壁の量だけで構造を決定しているわけではないので、自由な空間を維持しながら等級3を実現することができるということになります。
もしご自分の家に「高い耐震性」と「空間の自由度」の両方を求める場合は、ぜひSE構法でご検討していただければと思います。
「耐震等級3」を取得する家を建築することのメリットですが、なんといっても自分の家が大地震でも壊れないだろうという安心感が一番大きいと思います。耐震性能が不明な家や耐震等級1しか取得できない家に比べると、「大事な家族を大地震から守る」という観点から見ても、その安心感だけで大きな価値があるはずです。
また、長期優良住宅も併せて取得すると、資産価値としての有利な評価が得られます。将来的に家の売却等を計画した際にも、「耐震等級3」であるということはその家の購入を検討する方にとっても大きな安心材料となります。耐震等級1の家や、そもそも等級が表示されていないような家よりも高く売却できる可能性も高まります。
更に、「スケルトン&インフィル(構造躯体と内装や間仕切壁を分けて計画する設計手法)」で設計したSE構法の家であれば、構造に関係のない壁は簡単にリフォームし間取り変更もできるので、世代が変わったり購入者が変わったりする際には大きなメリットとなるでしょう。 このように、ご自身の安心感はもちろん、第三者から見ても高い耐震性を裏付けられる「耐震等級3」の家をぜひお勧めしたいと思います。