日本の中古住宅市場、特に木造の戸建て住宅においては、その不動産流通はあまりスムーズとは言えません。築年数が古くなるとどうしても建物価値は評価されずに、土地の価値のみで取引されることが多いのが現実です。中古マンションの不動産流通と比較すると、その動きがスムーズではないことは明らかです。
その最大の理由は、「中古住宅としての木造住宅の資産価値が評価されにくい」ということです。例えば、築20年の木造住宅が建っている中古物件を不動産市場で売買される際には、建物価値を評価しないというケースが非常に多いです。つまり、購入する側は建物には価値をゼロとし、土地のみで価格を判断してしまうということです。その場合には、建物の解体費用分だけ価格を下げられてしまうということにもなります。
これはひとえに、その築20年の木造住宅の資産価値が不透明であるということに他なりません。その建物が資産価値としての裏付けがないから、当然買う側は不安となり、いっそのこと壊して新築を建てた方が得だと考えてしまうわけです。
では、その中古住宅が違法な建物であるかというとそうではありません。日本のすべての住宅は建築基準法をクリアする必要があるので、当然、その中古住宅も合法的な建物であるはずです。しかしながら、これまでの建築基準法のレベルの低さを考えると、耐震性や耐久性・断熱性などがどの水準にあるか不安ですし、その不安な建物に価格をつけることはできないということにもなると思います。また、建築基準法自体が何度も改正されているので、建築した時点では合法でも、現在は最新の基準を満たされずに「既存不適格建築物」となるケースもあります。
これまでの日本の住宅が「建てては壊し、また建てる」という「スクラップ&ビルド」の状況が続いたことは、これらの理由がとても大きいのです。
そこで、住宅にも資産としての価値を見出せる仕組みをつくるために2009年に生まれた制度が「長期優良住宅」です。この制度は、「住宅の品質確保促進法」をベースに「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」という「建築基準法」とは別に制定された法律に定められている制度です。「耐震性」や「耐久性」「断熱性」「省エネ性」などの性能について、一定基準をクリアしていることが条件となっているので、性能面による建物の価値が明確になっていることが大きな特徴です。
その家の性能について、住宅会社が営業的に自ら言っているのではなく、国の定める認定機関が「第三者として」認定していることがとても重要なことになります。
将来、自分の家を中古住宅として売買する際に、長期優良住宅の認定を受けているか否かで、購入する側の安心かは大きく異なるでしょう。そのお墨付きを獲得することで、ある程度安心してその家の資産価値を評価することが可能となります。よって、中古住宅として売買する際にも、建物を壊さずに一定の価値を評価して取引されるケースが増えるはずです。
この「長期優良住宅」で必要となる住宅性能については、特に「耐震性」と「断熱性」「省エネ性」が重要視されています。
いずれも性能等級という指標で定められていて、「耐震等級」は等級3(許容応力度構造計算の場合は等級2でも可)、「断熱等級」は等級5、「省エネ等級」は等級6というような性能等級をクリアしていることがその条件となっています。つまり、長期優良住宅の認定を受けられる住宅というだけで、新築で建てる方自身にとっても、性能的に安心感を得られる家となるはずです。
ここで、注目してほしいのが「耐震等級」です。一般的な在来木造工法の場合、筋交いなど耐力壁のみで耐震性を強化するので、耐震等級のレベルが高くなればなるほど、壁や柱の多い間取りの家となります。そうなると、リビングのどこかに不必要な壁が設置されることもありますし、個室の間仕切り壁が重要な壁になってしまって将来的に取り外しができないというケースも多くなるでしょう。
新築を建てる方にとってその間取に不満さえなければ、耐震性が向上するというメリットを考えても大きな問題はないとは思いますが、将来的なことを考えた場合には大きなデメリットが生じます。
中古住宅として購入を検討する方の家族構成やライフスタイルは様々です。その家にお性能やデザインは気に入ったとしても、間取りが気に入らなければ購入はしないでしょう。リフォームで間取り変更が可能であれば問題ないですが、耐震性を落とすような間取り変更は誰も望みません。
そこで重要な考え方が「スケルトン・インフィル」という、構造躯体と設備や間仕切壁を別々に考える設計手法なのですが、壁を多く必要とする在来木造ではその考え方で設計することは非常に難しいです。これが、木造住宅における資産価値を考える際の最大の矛盾点ということなのです。
壁が少なくても耐震性が高く「スケルトン・インフィル」が可能な鉄筋コンクリート造のマンションが、購入者が大規模なリノベーションをして中古市場でも活性化しているのはそういう理由でもあります。
そこで、SE構法の優位性が大きく発揮されます。ラーメン構造のSE構法は、耐震性を壁だけに頼っていいないので、この「スケルトン・インフィル」の設計手法が可能です。耐震性についても「許容応力度構造計算」による「耐震等級3」をクリアしているので、安心して間取り変更を可能とするのです。
木造住宅ながら資産価値を評価できる家。
「長期優良住宅」の認定を受け、「許容応力度構造計算」で「耐震等級3」を実現し、「スケルトン・インフィル」で設計されたSE構法の家は、あなたの資産価値を裏付けてくれるエビデンスとなります。
資産価値の評価できる家をご希望される場合は、ぜひSE構法をご検討下さい。