中大規模木造のSE構法|階数別実務ポイント!構造・防耐火・コスト解説
近年、脱炭素社会の実現に向けたSDGsやESG投資の観点から、企業の社屋や商業施設、公共建築において「中大規模木造」への転換が急速に進んでいます。
しかし、これまでS造やRC造を主戦場としてきた設計事務所様や建設会社様にとって、木造、特に中大規模の建築物には「構造計算の複雑さ」「防耐火規定の難解さ」「コスト管理」といった多くのハードルが存在するのも事実です。
株式会社エヌ・シー・エヌ(以下、NCN)が提供する「SE構法」は、強靭な構造用集成材と独自のSE金物を組み合わせたラーメン構法であり、木造でありながら鉄骨造に近い大空間や自由な設計を可能にします。
圧倒的な構造強度と、全棟で実施される厳密な構造計算により、多くの実務者の皆様に選ばれ続けています。
本記事では、中大規模木造の計画において重要となる「階数別の実務ポイント」に焦点を当て、平屋から4階建てまで、それぞれの規模で求められる構造・防耐火・コストの最適解を、SE構法の実績とノウハウを基に解説します。
<このコラムでわかること>
◾️中大規模木造におけるSE構法の優位性と構造計画の基礎
・ラーメン構法が可能にする大空間と自由な開口部
・全棟実施する「構造計算」による信頼性と許容応力度計算
・S造・RC造と比較した際の木造化のメリットと炭素固定
◾️【平屋・2階建】店舗・倉庫・高齢者施設の実務ポイント
・最大スパン9m〜の無柱空間を実現する架構計画
・大規模建築物における防耐火要件の整理と燃え代設計
・地盤改良コストの削減と基礎設計の合理化
◾️【3階建】都市型事務所・共同住宅の実務ポイント
・都市部の狭小地・変形地における施工性と搬入計画
・木造3階建てに必要な構造計算ルートと耐震等級の考え方
・準耐火構造の活用と木造のコストパフォーマンス
◾️【4階建】中層木造ビル・複合施設の実務ポイント
・1時間耐火構造が求められる壁・床・柱の納まり
・構造計算と確認申請のスケジュール
・エレベーター設置やオーバーハングなど複雑な形状への対応
◾️中大規模木造のコストコントロールとNCNの支援体制
・資材調達から加工までの一貫体制によるコストダウン
・鉄骨造と比較した工期短縮と現場経費の圧縮
・構想段階からサポートする「木構造のワンストップサービス」
◾️中大規模木造におけるSE構法の階数別対応まとめ
◾️まとめ
中大規模木造におけるSE構法の優位性と構造計画の基礎

中大規模木造を計画する際、従来の在来軸組工法では実現が難しかった「強度」と「自由度」の両立が求められます。
SE構法は、高精度な構造用集成材と専用金物を用いたラーメン構法により、接合部の強度を数値化し、明確な構造計算を可能にしました。
これにより、中大規模建築に不可欠な構造安全性を担保しつつ、意匠性の高い空間を実現します。
ここでは、SE構法がなぜ中大規模木造に適しているのか、その構造的特徴と基本的な考え方について解説します。
ラーメン構法が可能にする大空間と自由な開口部
SE構法最大の特徴は、筋交いや耐力壁に過度に依存しない「木造ラーメン構法」である点です。
柱と梁を剛接合に近い形で結合することで、高い耐震性を維持しながら、壁の少ない開放的な大空間を実現できます。
これにより、店舗の大きなショーウィンドウや、オフィスのフレキシブルな執務空間、倉庫の作業動線確保などが容易になります。
また、将来的なリノベーション時の間取り変更にも柔軟に対応できるため、建物の資産価値維持にも貢献します。
関連記事:ラーメン構造とは?他の構造との違いが生み出すメリットを徹底解説
全棟実施する「構造計算」による信頼性と許容応力度計算
中大規模建築物において、構造の安全性証明は避けて通れません。
SE構法では全ての建物に対し、鉄骨造やRC造と同様の「許容応力度計算」を実施します。
これにより、一棟ごとに異なる荷重条件や形状に対して科学的な根拠に基づいた安全性を証明します。
確認申請時の構造計算書の添付はもちろん、施主様への説明責任を果たす上でも、この信頼性は大きな武器となります。
関連記事:許容応力度計算を分かりやすく解説!他の計算方法との違いは?
S造・RC造と比較した際の木造化のメリットと炭素固定
中大規模建築を木造(SE構法)で計画する社会的意義の一つは「炭素固定」です。
木は成長過程で二酸化炭素を吸収し、建材として使用される間も炭素を貯蔵し続けます。
S造やRC造と比較して、製造時のCO2排出量が少なく、建物自体が「都市の森林」としての役割を果たします。
また、木造は軽量であるため基礎工事の負担が減り、減価償却期間が短いため、事業主様にとっての税務上のメリットも大きく、ビジネス面でも有利な選択肢となります。
関連記事:木造化が必須な時代に!発注者向け大規模木造のメリット解説
【平屋・2階建】店舗・倉庫・高齢者施設の実務ポイント

平屋や2階建ての低層大規模建築は、ロードサイド店舗や倉庫、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などでの需要が急増しています。
この規模では、3000㎡以下であれば防耐火規制が比較的緩やかであるケースも多く、木造化のハードルは低めです。
しかし、広大な床面積を支えるための構造計画や、コストを抑えるための工夫が求められます。
SE構法を用いた低層建築の実務的なメリットと注意点を見ていきましょう。
最大スパン9m〜の無柱空間を実現する架構計画

店舗や倉庫では、柱のない広い空間(無柱空間)が求められます。
一般的な在来工法ではトラスなどを組む必要がありますが、施工の手間がかかります。
SE構法では、特注梁やトラスを使用せずとも、標準的な部材構成で最大9m程度のスパンを飛ばすことが可能です(条件によりさらに延長可)。
これにより、商品陳列のレイアウト変更が容易な店舗や、フォークリフトが走りやすい倉庫空間を、シンプルな架構で経済的に実現できます。
関連記事:木造化が必須な時代に!発注者向け大規模木造のメリット解説
大規模建築物における防耐火要件の整理と燃え代設計

延床面積が3000㎡を超える場合や、特殊建築物に該当する場合は、防耐火の規定が厳しくなります。
しかし、法改正により木造でも「燃え代設計(45分準耐火構造等)」を用いることで、木材を現し(あらわし)で使用できる範囲が広がりました。
SE構法は断面欠損が少ないため、太い柱や梁を用いた燃え代設計と相性が良く、木の温かみを感じられる意匠と耐火性能を両立させることが可能です。
関連記事:【真実】大規模木造は火に弱くない!防耐火に強い木造建築とは?
地盤改良コストの削減と基礎設計の合理化

低層の大規模建築、特に倉庫や工場などでS造と比較した際、圧倒的な差が出るのが「基礎・地盤」にかかるコストです。
木造は鉄骨造の約1/3〜1/4程度の重量しかないため、地盤への負荷が大幅に軽減されます。
軟弱地盤であっても、高額な杭工事や大規模な地盤改良が不要、あるいは軽微で済むケースが多く、総工費の大幅な圧縮につながります。
SE構法の構造計算によって基礎への反力を正確に算出することで、無駄のない最適な基礎設計が可能になります。
【3階建】都市型事務所・共同住宅の実務ポイント

都市部における土地活用として、3階建ての事務所や賃貸併用住宅、共同住宅が増えています。
敷地が狭く、道路事情も厳しい都市部において、S造やRC造では重機が入らず施工が困難な場所でも、木造なら対応可能なケースがあります。
3階建ては、SE構法の強みが最も発揮される規模の一つです。
都市型3階建ての実務における構造と法規制のポイントを解説します。
都市部の狭小地・変形地における施工性と搬入計画

都市部の狭小地では、大型クレーンの設置スペースがなく、鉄骨の搬入や建て方が困難な場合があります。
一方、SE構法はプレカットされた木材を現場で金物接合する工法であり、部材単位が鉄骨より軽量で小さいため、搬入や取り回しが容易です。
レッカーが入りにくい場所でも手運びや小型重機での対応が検討でき、狭小地や旗竿地での中層建築を実現します。
これにより、これまで建築困難とされていた敷地での事業化が可能になります。
関連記事:【動画で解説】SE構法の工事監理のポイント(木工事:上棟)
木造3階建てに必要な構造計算ルートと耐震等級の考え方

木造3階建ては、建築基準法上、構造計算(許容応力度計算等)が義務付けられています。
SE構法は標準で「ルート1」の計算を行いますが、建物の規模や形状によっては「ルート2」等が求められることもあります。
また、近年では公共施設や、事業継続計画(BCP)を重視するオフィスビルにおいて「耐震等級3」レベルの構造計算が求められることがあります。
NCNでは、必要な構造計算や設計サポートを行い、高い耐震性能を確実に担保します。
関連記事:中大規模木造に適した技術と自由があるSE構法の構造設計
準耐火構造の活用と木造のコストパフォーマンス

耐火被覆が必要なS造に比べ、木造の準耐火構造は石膏ボードによる被覆が一般的で、内装仕上げの下地を兼ねることができるため、コストと工期の短縮につながります。
SE構法なら、準耐火構造の仕様を満たしつつ、必要な壁量を確保した設計がスムーズに行えます。
関連記事:広がる木造準耐火の可能性!大規模木造における準耐火建築物まとめ
【4階建】中層木造ビル・複合施設の実務ポイント

近年、法改正により木造4階建て以上の建築が現実的になり、中層木造ビルや複合施設への注目が集まっています。
しかし、4階建て以上になると構造計算のレベルが上がり、耐火要件も「1時間耐火」が基本となるため、設計難易度は格段に上がります。
この領域こそ、構造躯体の信頼性が問われる場面です。
SE構法を用いた4階建て建築の実現に向けた、高度な実務ポイントを解説します。
1時間耐火構造が求められる壁・床・柱の納まり

4階建て以上の建築物(または高さ16m超等)は、主要構造部を「1時間耐火構造」とする必要があります。
木造の耐火建築物を実現するには「木を見せること」にこだわらない姿勢が重要となります。
一般社団法人日本木造住宅産業協会が取得している国土交通大臣認定工法を用いるか、国土交通省告示を用いて実現する方法が現実的です。
関連記事:木造でも耐火建築物は可能!大規模木造における耐火建築物まとめ
構造計算と確認申請のスケジュール

木造4階建ては、構造計算において「ルート2(許容応力度等計算)」が求められます。
これらはルート1に比べて計算量が複雑になり、適合性判定(適判)も必要となるため、確認申請の期間が長くなりますので、計画段階から余裕を持ったスケジューリングが必要です。
NCNでは、これらの高度な構造計算に対応する専門スタッフを配置しており、事前相談から適判対応までをサポートします。
関連記事:SE構法による木造4階建共同住宅の計画・設計まとめ
エレベーター設置やオーバーハングなど複雑な形状への対応

中層ビルではエレベーターの設置が求められるケースが増えますが、SE構法では、エレベーターシャフト周りの構造補強もスムーズに設計可能です。
また、都市部のビルでよく見られるオーバーハング(キャンチレバー)形状も、SE構法の強固な接合部により実現可能です。
構造的な裏付けを持って具現化できるのが、4階建てにおけるSE構法の強みです。
関連記事:【大規模木造で注目】SE構法の木造4階建て事例まとめ
中大規模木造のコストコントロールとNCNの支援体制

中大規模木造プロジェクトの成否を分ける大きな要因が「コスト」です。
昨今のウッドショックや鋼材価格の変動の中で、木造は比較的価格が安定しており、工期短縮によるトータルコストの削減効果も期待できます。
ここでは、SE構法を採用することで得られるコストメリットと、NCNが提供する設計・施工の支援体制について解説します。
資材調達から加工までの一貫体制によるコストダウン
NCNは、構造材の供給ネットワークを持っています。
指定プレカット工場と連携し、構造設計図に基づいた正確なプレカット加工を行い、現場へ直送します。
商流がシンプルであるため中間マージンをカットでき、品質のばらつきも防げます。
また、規格化されたSE金物を使用するため、特注鉄骨のような製作コストがかからず、見積もりの透明性が高いことも特徴です。
早期の概算見積もりにより、予算内でのプロジェクト進行を支援します。
鉄骨造と比較した工期短縮と現場経費の圧縮
S造やRC造では、現場での溶接やコンクリートの養生期間が必要となり、工期が長期化しがちです。
一方、SE構法は「建て方」が非常にスピーディーです。
プレカットされた部材を現場で組み上げる工法であるため、天候の影響を受けにくく、上棟までの期間を大幅に短縮できます。
工期の短縮は、仮設費や現場管理費の削減に直結し、結果として建築主様への引き渡し時期も早まるため、事業収支の向上に寄与します。
構想段階からサポートする「木構造のワンストップサービス」
中大規模木造に不慣れな実務者様にとって、最大の不安は「誰に相談すれば良いか分からない」ことではないでしょうか。
NCNでは、基本計画段階からの構造計画の提案、概算見積もり、構造計算、資材供給、そして施工現場の検査まで、木構造に関する全てをワンストップでサポートします。
「木造でこんな建物ができるか?」という初期の疑問から、構造設計からプレカットまで、専門家として伴走いたします。
関連記事:SE構法はワンストップサービスが魅力!各プロセスごとに徹底解説
中大規模木造におけるSE構法の階数別対応まとめ

本記事では、中大規模木造に取り組む建築実務者の皆様に向けて、SE構法を用いた階数別の実務ポイントについて解説いたしました。
世界的な脱炭素の潮流の中、建築業界における「木造化」は一過性のブームではなく、不可逆的なスタンダードになりつつあります。
SDGsやESG経営を重視するクライアントからの要望に応えるため、また、高騰する建設コストや工期遅延のリスクを回避する手段として、中大規模木造の選択は非常に合理的かつ戦略的な判断と言えます。
SE構法が選ばれる理由の再確認
平屋から4階建てまで、各階数においてSE構法が提供できる価値を振り返ります。
・低層(1-2階): 倉庫や店舗で求められる大スパン・大空間を、トラス無しのシンプルな架構で実現し、基礎コストを抑える経済性。
・中層(3階): 都市部の厳しい敷地条件でも施工可能な柔軟性と、構造計算に基づく確かな耐震性。
・中層(4階〜): 耐火建築物としての高度な法的要求を満たし、S造に匹敵する強度と意匠性を両立する技術力。
これら全てに共通するのは、「構造計算による数値的根拠」と「一貫した品質管理」です。
SE構法は単なる部材の販売ではなく、構造設計から供給、保証に至るまでのシステムそのものです。
これにより、設計者様は意匠やプランニングに専念でき、施工者様は精度の高い部材による効率的な現場運営が可能となります。
中大規模木造は、設計・構造・施工・防耐火・省エネといった専門知識の「すり合わせ」が成功の鍵を握ります。
しかし、社内に木造の専門構造設計者がいない、あるいは大規模木造の施工ノウハウが不足しているというケースも少なくありません。
NCNは、そのような実務者の皆様の「外部構造設計部」「木造技術パートナー」として機能します。
私たちは、「大規模木造プロジェクトを立ち上げたいが、何から手をつければ良いかわからない」という構想段階から参画可能です。
敷地情報とラフプランをいただければ、最適な架構計画と概算コストをスピーディーに提示いたします。
また、省エネ計算や補助金活用のご相談にも対応し、プロジェクトの事業性を高めるための総合的な支援を行います。
木造建築の可能性は無限大です。
具体的なプロジェクトのご相談はもちろん、木造化の可能性を探る段階でも構いません。
まずは一度、エヌ・シー・エヌにご相談ください。
皆様のプロジェクトを成功に導くための最適なソリューションをご提案いたします。
まとめ

SE構法は構造用集成材の中断面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。
スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することも可能です。
計画段階からNCNの特建事業部に相談することで、木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計実務を進めることが可能です。
集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。
SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。
また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。
構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。
株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。






