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許容応力度計算を分かりやすく解説!他の計算方法との違いは?

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許容応力度計算を分かりやすく解説!他の計算方法との違いは?のインデックス

地震に強い家を建てようと思って調べていると、「許容応力度計算」という単語を目にすることがあるでしょう。しかし、具体的にどのような計算方法なのか理解している方は少ないはずです。
建物の安全性を検証する方法にはいくつかあり、どの計算方法を用いるかによって信頼度がまったく異なります。特に2階建て以下の木造住宅では簡易的な計算しか行われていないことが多いため、計算方法の違いについては必ず抑えておきたいポイントです。
では許容応力度とはいったいどういう計算方法なのか、他の計算方法とのコストや信頼度の違いも含めて、詳しく解説していきたいと思います。

許容応力度計算とは?

許容応力度計算とは、建物の安全性を確認する構造計算の一種です。建物にあらゆる荷重が加わったときに、柱や梁など一つひとつの部材が耐えられるかどうかを検証します。

例えば、ダンボール箱を指で押したとき、軽く押しただけではダンボール箱に変化はありません。そこから、どんどん押す力を強くしていくと、ダンボール箱がへこむ瞬間がくるはずです。この限界点が来ないかどうか、どのくらいの力まで許容できるのかを調べるのが、許容応力度計算です。

他の構造計算との違い

建築基準法では、許容応力度計算の他にも次のような構造計算が規定されています。
まずはルート1の許容応力度計算を行い、2や3と進むにつれて精密な計算が行われるイメージです。その他の限界耐力計算や時刻暦応答解析については、特殊な建築物で用いられます。

ルート1:許容応力度計算
ルート2:許容応力度等計算
ルート3:保有水平耐力計算
その他:限界耐力計算・時刻暦応答解析

ルート1の許容応力度計算では、建物の自重や積載荷重、積雪荷重などに加え、地震や台風がきたときについて検証します。そしてルート2の許容応力度計算では、地震や台風がきたときの建物の傾き(層間変形)や、上下階の硬さのバランス(剛性率)、重さのバランス(偏心率)なども検討します。

さらに大地震で全壊しないかどうかを調べるのが、ルート3の保有水平耐力計算です。ルート3は小中規模建築物では任意なので、主に大規模建築物などで用いられます。

簡単に解説!許容応力度計算の流れ

許容応力度計算はどのように進めていくのか、簡単に計算の流れを解説します。
昔は地道な手計算で行われていましたが、最近は専用の構造計算ソフトなどを使うのが主流です。専門的な知識は必要ですが、コンピュータを使えばスピーディーに計算できます。

①建物にかかるすべての荷重を調べる

まずは建物自体の重さを計算します。建物が重いほど下向きに加わる力が大きくなるのはもちろん、地震で揺れたとき水平に加わる力も大きくなります。また建物には人や家具、雪などの重さも加わるため、今後かかる荷重を予測することも必要です。地震や台風が起きたときなどに、水平に加わる力についても検討します。

<許容応力度計算で検証する代表的な荷重>

下向きにかかる力 水平方向にかかる力
・固定荷重(建物自体の重さ)

・積載荷重(人や家財の重さ)

・積雪荷重

・地震荷重

・風荷重

 

②各部材に生じる力を求める

建物に外からの力が加わると、各部材の内部ではそれに釣り合う力(=応力)が生じます。主に応力は「軸力(圧縮力・引張力)」、「せん断力(部材がずれるような力)」、「曲げモーメント(部材に圧縮・引張の両方の力がかかって曲がる力)」の3種類です。
建物のつくりや材料をもとに、それぞれの部材に生じる応力を計算し、部材の断面積で割った応力度を求めます。

③各部材が許容できる力を求める

次に建物を構築している各部材が、どのくらいの応力に許容できるか(=許容応力度)を求めます。コンクリートや鉄、木材など、材料によって許容応力度は異なります。例えば、コンクリートは圧縮力に強く、鉄筋は引張力に強い素材です。

④比較する(②よりも③が大きければOK)

最後に各部材の②応力度と③許容応力度を比較します。実際にかかる応力度よりも、許容応力度の方が大きければ安全と判断されます。

多くの木造住宅では許容応力度計算が行われていない

小規模な木造住宅の場合、許容応力度計算はほとんど行われていません。なぜなら延べ床面積500㎡以下の2階建てや平屋の木造建築物では、構造計算が義務化されていないからです。
多くの木造住宅で採用されているのが、「壁量計算」による簡易的なチェック。壁量計算で考慮するのは地震と風の力のみで、耐力壁の量が足りているかどうかを確認します。それぞれの部材にどのような力がかかるか、綿密に確認されることはありません。

 

仕様規定(壁量計算) 構造計算(許容応力度計算)
安全性
壁量の検討
部材の検討
基礎の検討

 

壁量計算の流れを簡単に解説!構造計算との違いや2025年の法改正のポイントは?

2025年4月の法改正でルールが変わる

ただし、2025年4月に建築基準法が改正され、構造計算が必要な建築物の規模が300㎡超へと引き下げられる予定です。これまでと違って許容応力度計算が必要な建物が増えるので気をつけましょう。

2025年建築基準法改正で家づくりはどう変わる?改正内容を解説

許容応力度計算をすると安全度が高まる

二階建てまでの小規模な木造住宅では許容応力度計算が義務化されていないため、壁量計算などの仕様規定さえクリアすれば合法ではあります。しかし、壁量計算では建物の自重や積載荷重、積雪荷重については考慮されておらず、一つひとつの部材にどのような力が加わるかも検証されていません。実際に壁量計算をクリアした建物を許容応力度計算で改めて評価したところ、必要な強度の6〜7割程度しかない家も多く存在しました。
最初から許容応力度計算を使って家を建てれば、より確実で安心。壁量計算をはじめとする仕様規定よりも、はるかに信頼度の高い計算方法です。

許容応力度計算をするとコストがかかる

非常に信頼度の高い許容応力度計算ですが、9割以上の会社が実施していないのが現状です。その大きな理由が、許容応力度計算のスキルを持つ人材が不足していること。そして手間とコストがかかる問題です。
100㎡前後の木造住宅で構造計算をすると、基礎と建物で20万円ほどの費用がかかります。面積が大きい建物や、複雑な形状の建物の場合は、もう少しコストアップするでしょう。
何十年と住む家の安全性を確認するのに、20万円のコストが安いと感じるのか、それとも高いと感じるのか。人それぞれの価値観ではありますが、大切な家族の命を守るために必要な投資と考えてもよいのではないでしょうか。

SE構法は全棟で構造計算を実施する木造住宅

信頼度は高いものの、壁量計算に比べて手間やコストがかかる構造計算。専門的な知識も必要なため、人的なリソース不足から実施が難しい工務店もあります。
そこで選択肢の一つに入れていただきたいのが、SE構法の木造住宅です。マンションなどでよく採用されているラーメン構造を木造に応用した工法で、全棟で構造計算を実施しています。

基礎から建物まで安全性を検証している

SE構法で使っているのは、建物の各部材にかかる負荷を立体的に解析するプログラム。建物の重量や積載荷重、地震荷重、風荷重を検討するのはもちろん、建物の平面や上下階のバランスもチェックしています。上部構造だけでなく、基礎まで構造計算を行っているので安心です。

強度が明確な構造用集成材を使っている

許容応力度計算を行うには、すべての部材の強度が明確でなければなりません。ところが木材は自然素材のため、一つひとつの部材の品質のバラつきが激しいという問題点も抱えていました。そこでSE構法では、すべての素材の強度が測定された構造用集成材を使用しています

過去の大地震による倒壊・半壊がゼロ

SE構法の安全性は、実績でも証明されています。SE構法が開発されたきっかけは、1995年の阪神淡路大震災。そこから2年後の1997年に完成した工法で、これまでに東日本大震災や熊本地震などの大地震もたくさん経験してきました。ところが現在に至るまで、SE構法で建てられた住宅は1棟も倒壊せず、半壊すらしていません。数値でも実績でも安全が裏付けされた、最先端の構造技術といえるでしょう。

耐震性を高めながら大空間を叶える

従来の在来工法の木造住宅では、耐震性と大空間がトレードオフの関係にありました。耐震性を高めるためには大量の壁や柱、筋交いが必要になるため、どうしても間取りの自由度が制限されてしまうのです。一方、SE構法では大規模建築物でも採用されている「ラーメン構造」を応用することで、耐震性と大空間を実現しています。大スパンのガレージや開放的な吹き抜け、広いLDK、スキップフロアなど、自由な空間づくりをしたい方におすすめです。

許容応力度計算で安心・安全な家づくりをしよう

家を建てるとき、間取りや設備などの内部のつくりに目がいきがち。しかし構造というのは建ててからではなかなか変えるのが難しいため、住宅会社選びの段階からよく考えておきたいポイントです。

構造計算について理解するのはなかなか難しいですが、壁量計算と許容応力度では違うということだけでも頭に入れて、家づくりのパートナーを選びましょう。ハウスメーカーや工務店を選ぶときは、「耐震等級3が標準仕様だから安心」と安易に考えるのではなく、「許容応力度計算で構造が検証されているのか?」もあわせてチェックすると安心です。

また、2025年4月以降は建築基準法が改正され、壁量計算の業務フローも変わってきます。確認申請の際にこれまで不要だった構造に関する書類を提出しなければならなくなるため、業務負担が増え、建築費の値上げをする工務店もでてくるかもしれません。これまでも自主的に許容応力度計算をしてきたハウスメーカー・工務店であれば、2025年4月以降も今までと業務フローが変わらず安心です。

 

高い耐震性能と自由で大胆な空間デザインを両立する、耐震構法SE構法

SE構法は、木造住宅の構造技術です。丈夫な材料とラーメン構法による強い構造躯体と、一棟一棟に対する基礎から上部までの厳密な構造計算を行う点が最大の特長です。私たちの特長を是非ご覧ください。

SE構法とは…

株式会社エヌ・シー・エヌが開発した構法で、集成材とSE金物による堅牢な構造媒体を持ちすべての建造物に対してひとつひとつ構造計算(許容応力度等計算)を行うことで、

  • 木造でありながら地震に対する安全性
  • 壁や柱が少ない室内での「大空間」
  • 大きな窓を採用し光を取り入れる「大開口」

を同時に実現できる構法です。
(施工は全国の登録工務店でしか行うことができません。)

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