地震と住宅の新常識

2025年建築基準法改正で家づくりはどう変わる?改正内容を解説

  • Facebook
  • twitter
  • Pocket

2025年建築基準法改正で家づくりはどう変わる?改正内容を解説のインデックス

2025年に予定されている建築基準法の大幅な改正。一見すると工務店やビルダーにしか関係がないように思えるかもしれません。しかし、この改正はこれから住宅を購入したり家を建てる方にも大きな影響を与える可能性があります。新しいルールを守るため、今までできていたプランが実現できなくなったり、建築コストがアップしたりする可能性もあるのです。
今回は2025年の建築基準法改正の主な内容と、与える影響について解説します。これから家を建てる予定の方は、ぜひ把握しておきましょう。

建築基準法とは?

建築基準法とは、日本において建築物を建てるための最低限のルールです。国民の生命や健康などを守ることを目的として制定されており、家を建てるときは建築基準法を必ず守らなければなりません。

 

建築基準法第一条
この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。

 

建築基準法に記載されているのは、最低限の内容のみ。より細かい性能や仕様については、建築基準法施行令や施行規則、告示などで定められています。また家を建てるときに関係するのは建築基準法だけでなく、「建築物省エネ法」「景観法」「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」などさまざまな法律が関係します。

建築基準法の代表的なルール

建築基準法にはさまざまな項目が含まれるため、ここでは全てを紹介することはできませんが、一部の代表的なルールをご紹介します。

・接道義務:幅員4m以上の道路に敷地が2m以上接していなければならない
・容積率・建ぺい率・高さ制限:敷地に対して建築できる建物のサイズを制限する
・用途地域:13種類に区分されたエリアごとに建築できる建物の種類や用途を制限する
・防火地域・準防火地域:指定地域内の建築物では一定の防火性能や設備が必要

過去に行われてきた建築基準法の改正

建築基準法が制定されたのは1950年と、今から70年以上も前のことです。時代の流れとともに建築技術は進化し、また建築基準法に足りない部分が見つかることもありました。建築基準法が改正されるのは今回が初めてのことではなく、これまでも大きな地震のたびに耐震性に関する要項が追加・更新されたり、シックハウス対策について盛り込まれたりと、時代に合わせて多くの改正が行われています。

例えば、1978年の宮城県沖地震の被害を受けて、1981年には耐震基準が強化されて新耐震基準へ。その後、1995年の阪神淡路大震災の被害を受けた後、2000年にも基準が強化されました。また2005年に発覚した耐震偽装事件をきっかけに、2007年には建築確認によるチェック体制も強化されています。

2025年に建築基準法が改正される背景

今回、2025年に建築基準法が改正される背景には、建築物の省エネ対策を加速させる狙いがあります。日本におけるエネルギー消費のうち約3割は建築分野。2050年カーボンニュートラル、2030年温室効果ガス46%削減(2013年度比)を達成するために、建築分野での省エネ対策強化が必要不可欠だというのです。

そこで2025年4月からは、原則としてすべての新築住宅・非住宅に対して、省エネ基準の適合が義務化されることに。さらに、遅くとも2030年までにZEH基準に水準に引き上げることも予定されています。
建物を省エネ化することで、今までと大きく変わってしまうのが建物の重量。断熱材を入れ、高性能サッシを使用し、屋根に太陽光パネルを載せると、当然のことながら建物の重量は増します。重量が増えても構造安全性を担保できるように、建物を審査するプロセスや仕様基準なども大きく改正されることになりました。

2025年の建築基準法改正ポイント

2025年には建築基準法のさまざまな項目が改正されます。なかでも家づくりに大きく関わるポイントは以下の3つです。

ポイント1:四号特例見直し
ポイント2:構造計算が必要な木造建築物の規模引き下げ
ポイント3:必要な耐力壁の量が増える

ポイント1:四号特例見直し

現行の建築基準法では、着工前に建築確認申請(建築基準法等の法令に建物が適合しているかどうかを審査する)が必要です。しかし建築基準法第6条の4により、小規模建築物で建築士が設計を行う場合、構造関係規定等の審査が省略されるルールになっています。これが、いわゆる「四号特例」です。

出典/国土交通省「2025年4月(予定)から4号特例が変わります」

これまで四号建築物にあたる木造2階建て・平屋建てでは、構造規定など一部の審査が省略されていましたが、2025年4月に改正。木造2階建て・平屋建て(200㎡超)は、審査省略制度の対象外となることが決まりました。特例の対象外となる200㎡以下の木造平屋建て以外は、建築確認申請の際に構造関係規定等の図書・省エネ関連の図書の提出が必要になります。

出典/国土交通省「2025年4月(予定)から4号特例が変わります」

四号特例見直しによって影響を受けるのは、審査省略制度を活用して木造住宅を建ててきた工務店やビルダー。確認申請の際に提出すべき書類が増えることで、今までとは仕事の流れが大きく変わってしまいます。業務量が増えた結果、家の値段を上げる工務店も出てくるかもしれません。

ポイント2:構造計算が必要な木造建築物の規模引き下げ

現行の建築基準法では、延床面積500㎡以下の木造建築物について、構造計算が義務化されていません。そのため多くの小規模な木造建築物では「壁量計算」という簡易的な安全性の確認のみが行われてきました。
しかし2025年4月の改正により、構造計算が必要な規模が「延床面積300㎡超」と引き下げられることに。近年、大空間をもつ建築物が増えたため、厳密な構造計算で安全性を担保するのが目的です。

ほとんどの木造住宅は30〜40坪程度の規模感なので、今まで通り壁量計算をはじめとした仕様規定での対応も可能です。他方で問題となるのが、住宅以外の中規模木造建築物。これまでは構造計算を避けてコスト削減するために500㎡以下を狙って建てるケースも多かったと思いますが、この先は構造計算が必要とされる建築物が増えるかもしれません。

壁量計算の流れを簡単に解説!構造計算との違いや2025年の法改正のポイントは?

ポイント3:必要な耐力壁の量が増える

木造建築物をZEH化すると、断熱材・高性能サッシ・太陽光パネルなどの影響で、建物の重量が増えます。建物が重くなれば固定荷重も地震荷重も大きくなるため、安全性を確保するには柱を太くし、耐震壁の量を増やさなければなりません。
そこで2025年4月の建築基準法改正では、壁量計算における必要壁量を現行のおよそ1.6倍に。柱の小径についても、建物の重量に応じて求める算定式が盛り込まれることになりました。
壁量計算で在来工法の家を建てる場合、今までのような大空間が作りにくくなる可能性があります。また、壁量を増やして太い柱を作るため、使用する材料が増えて構造のコストアップにも繋がるかもしれません。

自主的に構造計算をしてきた工務店なら法改正の影響なし

建築基準法の改正で、在来工法の住宅を新築する工務店やビルダーは大きな影響を受けます。今まで確認申請のときに不要だった構造に関する書類を揃えたり、必要壁量が増えて空間づくりに影響を与えたりと、その影響はかなり大きなものです。人件費や材料費のコストアップにより、建築費を値上げせざるを得ない工務店も増えるでしょう。

ところが、すべての工務店やビルダーが影響を受けるのかというと、そういうわけではありません。これまで「許容応力度等計算」をしてきた工務店やビルダーは、建築基準法改正後も確認申請や設計のフローが基本的には変わらないのです。「許容応力度等計算」は建物の強さを様々な角度で検証し、数値を算出してから構造計算を行っているので、必要壁量が増えても関係ありません。これまでと同じように資料作成や構造計算を行えばいいので、業務内容はほとんど変わらず、価格が上乗せされる可能性も非常に低いといえるでしょう。

SE構法なら建築基準法改正後も揺るがぬ安心がつづく

一般的な在来工法の木造住宅では、ほとんどが簡易的な壁量計算で建てられてきました。なぜなら小規模な木造住宅は構造計算が義務付けられていないため、壁量計算をはじめとする仕様規定を満たすだけで建てたほうが手間がかからないからです。

そんな中、全棟で構造計算を行ってきたのが、SE構法による木造住宅。RC造やS造でよく使われてきた丈夫なラーメン構造を木造に応用し、高い耐震性を実現した工法です。基礎から構造体すべてに厳密な構造計算を行っているので、壁の少ない大空間や大開口を叶えながら、高い安全性を両立することができます。全棟構造計算なので、2025年以降もほとんど業務内容が変わらず、スムーズに手続きや設計を進めてもらえるので安心です。

建築基準法改正後も業務内容が変わらない構造計算による家づくりを検討しよう

2025年4月以降に確認申請を受ける場合、建築基準法改正の影響を受けます。四号特例が見直されて確認申請時に構造関係規定等の書類提出が必須になるだけでなく、壁量計算における必要壁量がおよそ1.6倍も増えることで空間づくりにも大きな影響を与えます。
従来の四号特例は、建築士のモラルや経験に頼った制度になっていました。住宅不足の時代に、住宅の供給量を確保するために設けられていた制度だからです。

建築基準法が厳格化されることで、安心・安全な住まいを手に入れられる可能性が高まったという意味では、住み手にとって大きなメリットがあるでしょう。しかし、設計者の業務負担が増えるだけでなく、住宅価格が上がってしまう可能性も否めません。これから家を建てたいと考えているなら、これまでと業務フローの変わらない構造計算による家づくりを検討されるのがおすすめです。

高い耐震性能と自由で大胆な空間デザインを両立する、耐震構法SE構法

SE構法は、木造住宅の構造技術です。丈夫な材料とラーメン構法による強い構造躯体と、一棟一棟に対する基礎から上部までの厳密な構造計算を行う点が最大の特長です。私たちの特長を是非ご覧ください。

SE構法とは…

株式会社エヌ・シー・エヌが開発した構法で、集成材とSE金物による堅牢な構造媒体を持ちすべての建造物に対してひとつひとつ構造計算(許容応力度等計算)を行うことで、

  • 木造でありながら地震に対する安全性
  • 壁や柱が少ない室内での「大空間」
  • 大きな窓を採用し光を取り入れる「大開口」

を同時に実現できる構法です。
(施工は全国の登録工務店でしか行うことができません。)

SE構法について
もっと詳しく知る

新着記事

SE構法で家を建てたい方は
お近くの登録施工店でご相談ください

SE構法の家を実際に体感したい方は
全国のモデルハウスへご来場ください

SE構法の導入を検討されている
工務店の方へ

SE構法導入について
Page Top