当ウェブサイトは、サービス向上の目的のためCookieを利用しています。
Cookieの利用に同意していただける場合は、同意ボタンをクリックしてください。
閲覧を続ける場合には、同意していただいたものといたします。
地震と住宅の新常識
住宅の「基礎」が家の寿命を決める!失敗しない選び方と地域別ポイントのインデックス
住宅の「基礎」は、建物と地面を結ぶ家の土台です。安全で快適な家づくりを考える時、建物にばかりに注目しがちですが、同じくらい、またはそれ以上に重要なのが基礎です。家の寿命は基礎によって決まると言っても過言ではありません。見えない部分こそが耐久性や安全性を左右するのです。
この記事では、普段は見過ごしてしまう住宅の基礎について、種類や選び方・地域別に考慮すべきポイントを解説します。
基礎の設計と施工の質は、家の寿命を左右します。基礎が果たす重要な役割は次の3つです。
建物は常に自重によって地面に力を加えていますが、同時に地面からの反発する力も受けています。この両方の力を受け止め、建物を安定させているのが基礎です。基礎は、建物を強固に支え、不均等な沈下や傾き、反りが起こらないようにする「支持装置」としての役割を担っています。
建物に大きなダメージを与える湿気やシロアリ。その被害から住まいを守るため、基礎には「防御ライン」としての機能があります。床下の通気性を確保しつつ、適切な防湿・防蟻処理を施した基礎は、木材の劣化を防ぎ、建物の耐久性を高めてくれます。
日本の住宅において、地震対策は欠かせません。建物の基礎は、地震によって地面から伝わる揺れのエネルギーを受け止め、それを建物全体に分散させる役割を担っています。建物の倒壊リスクを抑える基礎は、地震に対する住まいの「安全装置」ともいえる存在です。
古くから木造建築物を作り続けてきた日本での、建物の基礎の変遷を見てみましょう。
礎石基礎(そせききそ)は地面に埋めた石の上に直接柱を立てる、伝統的な基礎です。今もお寺や神社で見られ、法隆寺の基礎もこの方法で作られています。柱は直接地面に触れておらず、腐食や劣化を免れています。柱と礎石は固定されていない場合が多く、地震時に揺れを受け流す、免震構造のような役割も果たしています。
無筋コンクリート基礎とは、コンクリート造に鉄筋が入っていない基礎。布基礎の一種で、施工が簡単でコストを抑えられる反面、土台としては強度が足りず、耐震性や耐久性に課題があります。戦後の住宅不足だった時代に多く用いられ、特に新耐震基準が施行された1981年以前の建物には、主流として使われてきた基礎工法です。
1981年、建築基準法の改正により新耐震基準が導入されました。これに伴い、鉄筋コンクリート基礎を使用することが義務化。住宅の耐震性が飛躍的に向上します。さらに2000年には、基礎の寸法や鉄筋の配置に関する具体的な規定が定められ、より確実で安全な基礎が、住宅建築の標準となりました。
現在の木造住宅では、建物全体の床下を鉄筋コンクリートで覆うベタ基礎が広く用いられています。新築住宅の大多数がベタ基礎を採用しており、多くの住宅会社や工務店も標準仕様としています。現在の木造住宅では最も一般的な基礎形式といえるでしょう。
木造住宅の主な基礎には「布基礎」と「ベタ基礎」の2種類があります。
「布基礎」は、建物の外周部の壁や間仕切りの下に、連続して設置する基礎です。建物を「面」ではなく「点」で支えます。比較的経済的で施工もしやすいのが特徴です。通気性に優れており、床下の湿気がこもりにくい反面、地面からの湿気が上がってきやすい側面もあるため、防湿やシロアリへの対策が欠かせません。
布基礎については次のコラムもご参照ください:
布基礎について解説 | 他の基礎との違いやメリット・デメリットを知ろう
「ベタ基礎」は、建物全体の床下を鉄筋コンクリートで覆う構造で、建物全体を均一な「面」で支えます。地盤にかかる荷重が分散されるため不同沈下が起こりにくく、耐震性にも優れた基礎構造として広く用いられています。
また、地面からの湿気が伝わりにくいのもメリット。木材の腐食や、シロアリの侵入も防ぎます。長期的な安定性を重視する住宅に適した基礎です。
ベタ基礎については次のコラムもご参照ください:
ベタ基礎とは?布基礎との違い・それぞれのメリットデメリットを解説
建物において重要な基礎ですが、万一、設計や施行が不適切だった場合どのような問題が起きるのでしょう。3つのトラブルについて、ご説明します。
「不同沈下」とは、建物の自重や地震などによって、建物の一部だけが沈み傾いてしまう現象です。不同沈下が起こると、基礎や建物に亀裂が生じるだけでなく、ドアの開閉が難しくなったり、原因不明の雨漏りが起きるなど、日常生活に支障をきたす場合も。放置すれば傾きが進行し、修復には多額の費用が必要になります。
基礎に設計や施工の不備があると、地震発生時に建物全体の揺れを受け止めることができず、倒壊のリスクが高まります。基礎が揺れに対応できない場合、建物が傾いたり、柱や壁に過度な力がかかって破損する心配も。最悪の場合は倒壊し、そこに暮らす家族の命に関わる、深刻な事故につながるおそれもあります。
換気が悪かったり、結露や水漏れがある基礎では、床下に湿気がこもりやすくなります。構造材が腐食したり、カビが発生してしまうと、安全性や健康面にも影響を与えることに。さらに、湿った環境にシロアリが侵入すると、柱や土台が食い荒らされ家の寿命が大きく縮まります。これらの被害は進行が遅いため、気づきにくいことも問題です。
地面に接する基礎は、気候や地盤の軟弱性などの地域性に影響を受けます。そこで、地域の特性に適した基礎について解説します。
地盤に大きなリスクがなく安定している地域では、基礎に特別な補強を施さずとも住宅を支えることができます。こうした標準的な地盤の地域では、ベタ基礎の選択がおすすめです。無理のない設計と費用対効果のバランスに優れており、多くの住宅で安心して採用されています。
寒冷地では、冬季の凍結により地盤が持ち上がる「凍上現象」への対策が欠かせません。その対策のひとつが、凍結深度よりも深く基礎を施工する方法です。布基礎は、立ち上がり部分のみを鉄筋コンクリートで構築する構造で、凍結深度以下まで掘り下げることで、地盤の動きによる傾きや損傷を防ぐことができます。
地盤が軟弱な場合、一般的な基礎だけでは建物を支えられないことがあります。そのような場合には、地盤自体を強化する「地盤改良」や、深部の硬い地盤まで杭を打ち込む「杭基礎」が有効です。特に杭基礎は、盛土や液状化リスクのある地盤でも、安定性を保つ手段のひとつです。まずは地盤調査を行い、専門家の判断のもとで最適な補強法を選ぶことが重要です。
豪雨による浸水被害が増える中、水害リスクのある地域では「高基礎」による対策が有効です。高基礎とは、立ち上がり部分を通常より高く設計する基礎のこと。地面から1m前後の高さを確保することで、1.5m程度までの浸水にも備えることができます。一般的な基礎の高さ(約40cm)より高くすることで、床下や室内への浸水リスクを軽減できます。
多くの木造住宅の基礎は、建築基準法の「仕様規定」に基づいて設計されます。これは、地盤や建物の条件が「通常の範囲内」であることを前提に、標準的な方法で設計を行うものです。一定の安全性は確保されますが、個々の建物に最適化されるものではありません。
実際の住宅は敷地条件や間取りが一棟ごとに異なるため、見えないリスクが潜んでいる可能性もあります。そうしたリスクに気づかず暮らし続けることは、地震や地盤変化への危険を抱え続けることになりかねません。
「見えない危険」を回避する住まいの実現には、科学的根拠に基づいた構造計算が不可欠です。SE構法では、すべての建物に対して構造計算を行い、数値によって安全性を裏付けています。
構造計算では、地震や建物の重さ、風などの外力に対して、建物が安全に耐えられるかを数値で確認します。
SE構法では、通常、鉄骨造やRC造で行われる構造計算を、木造住宅でもすべての建物に実施。特に基礎については、地盤調査に基づき建物から基礎へと伝わる力を解析し、リスクを事前に把握することで安全性の高い設計を行います。さらに、基礎だけでなく、柱や梁、屋根に至るまで建物全体の構造計算をトータルに行っています。
FEM解析(有限要素法)は、複雑な構造物にかかる力や変形を、コンピューター上で数値的に解析する手法です。SE構法では、FEM解析を基礎部分にも活用。地震などの外力が建物に加わったときの詳細な状況を、事前にシミュレーションします。
つまり、FEM解析を用いることで、想定される地震の揺れに対し、どの部分に注意が必要かが把握できるため、より確実で安全な構造設計が可能になるのです。
住宅の基礎は、地震の力を分散し、湿気やシロアリから建物を守る重要な役割を担います。「布基礎」と「ベタ基礎」があり、現在はベタ基礎が主流ですが、地域や地盤の状況に応じた選択が必要です。
多くの基礎は、建築基準法の「仕様規定」に基づいて行われます。これは個々の建物に最適化された設計ではなく、潜在的なリスクが見過ごされてしまう恐れもあります。
安心で長く住める住まいを作るためには、まず「基礎」から考えることが重要です。
SE構法では、地盤調査をもとに基礎から屋根に至るまで、一棟ごとに構造計算を実施。科学的根拠に基づいた設計により開発以来、地震による半壊・倒壊ゼロという確かな実績を積み重ねています。
SE構法は、木造住宅の構造技術です。丈夫な材料とラーメン構法による強い構造躯体と、一棟一棟に対する基礎から上部までの厳密な構造計算を行う点が最大の特長です。私たちの特長を是非ご覧ください。
株式会社エヌ・シー・エヌが開発した構法で、集成材とSE金物による堅牢な構造媒体を持ちすべての建造物に対してひとつひとつ構造計算(許容応力度等計算)を行うことで、
を同時に実現できる構法です。
(施工は全国の登録工務店でしか行うことができません。)