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地震と住宅の新常識
布基礎について解説 | 他の基礎との違いやメリット・デメリットを知ろうのインデックス
木造住宅でよく用いられる基礎は、主に「ベタ基礎」と「布基礎」の2種類です。一見同じように見える基礎でも、よく見ると特徴やメリット・デメリットが大きく異なります。
家を支える基礎が適切に施工されていないと、安全性が確保できないことも。住まいを新築するのであれば、基礎についても知っておきたい知識のひとつです。
以前、ベタ基礎について解説しましたが、今回は布基礎を掘り下げて解説します。
布基礎とは、家を支える柱や壁の部分にコンクリートを立ち上げて、家を支える方法です。逆T字型の鉄筋コンクリートを地中に設置し、点と線で建物を支えます。
逆T字の底面のことをフーチングと言い、布基礎はフーチングがつながっていることから「連続フーチング基礎」と呼ばれることもあります。
ちなみに布という名前がついていますが、素材の布を意味するわけではありません。布=平らという意味があることから、土台の下に水平に設置される基礎として「布基礎」と名づけられています。
木造住宅の基礎については「建築基準法施行令第38条」で定められており、布基礎の具体的な寸法は「平成12年建設省告示第1347条」に明記されています。
<寸法>
・立ち上がり部分:地面から30㎝以上
・厚さ:12cm以上
・根入れの深さ:24㎝以上
・フーチングの厚さ:15cm以上
<地耐力に応じた住宅のフーチング幅>
地耐力 | 底盤(フーチング)の幅 | ||
木造や鉄骨造など重量が小さな建築物 | その他の建築物 | ||
平屋 | 2階建て | ||
30~50kN/㎡未満 | 30㎝ | 45㎝ | 60㎝ |
50~70kN/㎡未満 | 24㎝ | 36㎝ | 45㎝ |
70kN/㎡以上 | 18㎝ | 24㎝ | 30㎝ |
フーチングの幅が広いほど重い建物や軟弱地盤でも耐えられるようになるため、地耐力と建物の種類によって適切なフーチングの幅が異なります。地耐力が大きいほど、必要なフーチングの幅が小さくなるのです。
布基礎には、施工の容易さやコスト面での優位性など、いくつかのメリットがあります。これらのメリットにより、特定の建築条件下で布基礎を魅力的な選択肢にすることも。では、主なメリットを詳しく見ていきましょう。
<鉄筋コンクリートを使用する部分>
・布基礎:立ち上がり、フーチング
・ベタ基礎:地面全体、立ち上がり
布基礎は立ち上がりとフーチングにしか鉄筋コンクリートを使用しないため、ベタ基礎よりも鉄筋コンクリート使用量が少なくなります。また掘削した残土もベタ基礎より少なく、残土処分費も減らせるでしょう。
材料と処分費が少ないということは、コストが抑えられることになります。ただし、布基礎のほうが工程が多くなるため、トータルで見たときに大きく差が出ない可能性もあります。
木造ではほとんどがベタ基礎を採用するのに対し、鉄骨系のハウスメーカーでは布基礎がよく採用されます。その理由は、鉄骨造の場合は木造に比べて柱が極端に少なく、一箇所に荷重が集中しやすいため。低コストで集中する荷重に強くするには、柱や壁の下にだけ鉄筋コンクリートの基礎を作る布基礎のほうが向いているのです。
布基礎は、東北や北海道などの寒冷地で多く採用されています。寒冷地では厳しい寒さから地中の水分が凍り、基礎ごと建物を押し上げて構造にダメージを与えることがあります。そうなることを防ぐために、凍結深度(地中が凍結する深さのこと)よりも深い位置に基礎底を定めなければなりません。
地面全体を掘削するベタ基礎よりも、立ち上がり部分を掘削する布基礎のほうが、手間やコスト的にも有利とされているため、寒冷地では布基礎が採用されやすいのです。
布基礎には複数のメリットがありますが、同時にいくつかの注意すべきデメリットも存在します。これらのデメリットを理解することで、布基礎が適切かどうかを判断する際の重要な材料となります。では、主なデメリットを詳しく解説します。
布基礎は集中する荷重を受け止めやすいですが、地盤が弱いと局所的に荷重が集中し、不同沈下の可能性が高まります。弱い地盤に布基礎を施工する場合、地盤改良は欠かせません。基礎自体のコストは安くても、地盤改良が必要になると結果としてコストが増えることも知っておきましょう。
布基礎はベタ基礎よりも根入れを深くできることから、局所的にはベタ基礎よりも強度があると言われています。しかし、布基礎は点と線で支えるため、面で家を支えるベタ基礎の方が基本的には耐震面で有利です。
布基礎はベタ基礎のように全面を厚い鉄筋コンクリートで覆わないため、地面からの湿気が上がりやすくなります。防湿コンクリートを使用するケースも多いのですが、やはりベタ基礎のように厚みがないので、湿気がこもりやすいというデメリットは否めません。床下に調湿材を追加するなどの対策をしましょう。
鉄筋コンクリートで全面が覆われていないということは、シロアリ被害を受けやすいというデメリットもあります。施工時に防湿コンクリートを使用するほか、定期的なシロアリ点検や薬剤散布などの対策も必要です。
昔から用いられてきた布基礎。建物の重量が大きい場合や、寒冷地に家を建てる場合は、布基礎が適していることもあります。
しかし、デメリットでも触れたように、強度や耐震性に劣るケースがあるのも事実。実際、布基礎の建物が多かった阪神淡路大震災では、多くの建物が倒壊あるいは全半壊しています。もちろん倒壊の原因は基礎だけでなく、建物自体の強度不足やホールダウン金物の不使用などさまざまな要因が絡んでいますが、阪神淡路大震災以降、耐震性に優れているベタ基礎が急速に普及しました。
ベタ基礎の場合、立ち上がり部分だけでなく、地面をすべて鉄筋コンクリートで覆うため、面で建物を支えられます。建物が揺れ動く力を分散し、地盤に伝えられるのが特徴です。
ベタ基礎とは?布基礎との違い・それぞれのメリットデメリットを解説
ただし、ベタ基礎さえ作っておけば必ず安全性が確保できるのかというと、そうではありません。例えば、大空間の吹抜けやビルインガレージなどの大スパン構造物は、建築基準法による最低限の寸法を守るだけでは基礎が建物を支えきれない可能性があります。家を建てる際は、必ず基礎から構造計算をするのがおすすめです。
安全性の高い木造住宅を建てるなら、構造計算をした上でベタ基礎を設計することが大切です。しかし、一般的なサイズの木造住宅の場合、基礎まで構造計算が行われているケースはほとんどありません。
その理由は、現在の建築基準法では、小規模な木造住宅における構造計算が義務付けられていないからです。構造計算だけでも20万円程度必要となり、地盤調査や壁・筋交いの追加工事費用なども上乗せされるため、坪単価が1.5万円程度アップすることに。40坪の土地に新築する場合、構造計算を行うことで60万円程度コストが増加するのです。手間やコストアップを避けるため、構造計算を行うハウスメーカーが少ないのでしょう。
それでも、この記事を読んで「コストが多少上がっても安心安全な家づくりをしたい」と感じたのであれば、SE構法の木造住宅がおすすめです。
SE構法とは、基礎から上部構造まで構造計算を行って家を建てる方法。同じスペックの家を建てるにしても、一棟ずつ地盤の強さや地域特性が異なるため、最低基準の規格では安全性が確保できません。SE構法では地盤調査から行うため、その建物に適した強度の基礎を設計できます。
上部構造は木造ラーメン構造を採用。ラーメン構造とはビルやマンションといった大型の鉄骨造で用いられる構法です。柱と梁を剛接合することで、水平方向に力が働いても変形しにくくなっています。「枠」で家を支えるため、木造住宅であっても大空間の吹抜けやビルインガレージなどの大スパンも可能になるのです。
実際にSE構法で建てられた建物は、東日本大震災や熊本地震など激烈な地震に見舞われても倒壊軒数はゼロ。全壊や半壊の被害も報告されていません。
SE構法の基礎設計の根拠として利用されているのが、FEM(Finite Element Method)解析です。地盤調査により得た結果と、建物に伝わる力を解析し、強固な基礎を設計します。
また構造設計の際、耐圧版と基礎梁をそれぞれ計算することが多かったのですが、FEM解析では耐圧版と基礎梁を合わせた立体的な計算を行っています。これは商業施設など大規模物件などに用いられる手法。木造住宅であってもFEM解析を取り入れることで、強固な基礎作りができます。
今回は布基礎を中心に解説しましたが、どんな建物でも基礎は重要な部分です。一度基礎を作ると簡単には作り直しができないため、家を建てる前に基礎についてじっくり検討するとよいでしょう。ご家族が安心して暮らすためにも、ぜひ家づくりを依頼する工務店がどのように基礎を設計しているか、チェックしてみてください。
SE構法では耐震性が高く、湿気やシロアリにも強いベタ基礎を採用。FEM解析で建物に伝わる力を綿密に解析したうえで基礎設計を行っています。SE構法が開発された1997年当初から2024年現在まで、地震による倒壊や半壊がゼロ。安心できる木造住宅の建て方のひとつとして、採用を検討してみてはいかがでしょうか。
SE構法は、木造住宅の構造技術です。丈夫な材料とラーメン構法による強い構造躯体と、一棟一棟に対する基礎から上部までの厳密な構造計算を行う点が最大の特長です。私たちの特長を是非ご覧ください。
株式会社エヌ・シー・エヌが開発した構法で、集成材とSE金物による堅牢な構造媒体を持ちすべての建造物に対してひとつひとつ構造計算(許容応力度等計算)を行うことで、
を同時に実現できる構法です。
(施工は全国の登録工務店でしか行うことができません。)