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地震と住宅の新常識
ベタ基礎とは?布基礎との違い・それぞれのメリットデメリットを解説のインデックス
家を建てる上で多くの方が建物本体に着目するのではないでしょうか。ライフスタイルに合う間取りに、内装のテイスト…と建物本体は考えるべきことがたくさんあります。
しかし、家を建てるのであればぜひ基礎にも注目してみましょう。基礎にも種類があり、作りによって家の強度が左右されるからです。
今回は基礎の中でも一般的な住宅に用いられやすい「ベタ基礎」「布基礎」について解説します。基礎を知ることで住む人の安全を考えるきっかけにもなりますので、新築を検討している方はぜひ参考にしてください。
基礎とは、建物を支えるコンクリート部分のことを言い、鉄筋とコンクリートを合わせた鉄筋コンクリートで作られます。基礎は建物の荷重や地震や風などの揺れを地面に伝えることで、家を支えます。
基礎は建物ができあがるとほとんど見えなくなりますが、基礎が適切に設計されないと、いくら建物本体が丈夫でも安全性が確保できません。
また基礎は家の外から見える部分だけでなく、地中にもしっかりと埋め込まれています。その深さは基礎の種類ごとに建築基準法によって定められており、遵守することで安心安全な建物になるのです。
ただし、基礎だけ丈夫に作ればいいわけではなく、地盤の強さも関わってきます。地盤の強さに適した基礎の種類を選び、品質の高い基礎を作ることで、家族の安全が守れる家が作れるでしょう。
基礎といってもその種類はさまざま。まず「直接基礎」と「杭基礎」の2種類に分けられます。
直接基礎は文字通り、支持層という強い地盤の上に直接施工する方法。支持層が比較的浅い位置にある場合に用いられます。コスト面からも、一般的な住宅には直接基礎が用いられることが多いのです。
一方、杭基礎は支持層が深い位置にあり、直接基礎を用いるのが難しい場合に施工されます。軟弱な地盤に直接基礎を設置すると地震などで液状化し、建物が傾くことも。そのため支持層まで基礎杭を打ち、軟弱地盤にも対応できる住宅を作るのです。
一般的な住宅に用いられる直接基礎は以下の3種類です。
・ベタ基礎
・布基礎
・独立基礎
現在の住宅では「ベタ基礎」「布基礎」の2種類が主流となっています。独立基礎は古い日本家屋で用いられてきた方法で、柱の下に基礎を作るだけと最もコストがかかりません。その分耐震性や湿気に弱いデメリットがあるため、現在ではカーポートなどの柱の基礎に用いられることが多くなっています。
では、なぜベタ基礎と布基礎が主流になっているのでしょうか。次項でそれぞれの特徴とメリット・デメリットをご紹介します。
ベタ基礎は、面で建物を支える基礎の工法です。建物が地面に接する部分全体に鉄筋コンクリートを敷くことで、建物の荷重を均一に受け止めます。
底面と立ち上がりが一体となるよう、鉄筋コンクリートを敷くのが特徴です。建築基準法では、ベタ基礎の立ち上がり部分の厚さは12cm以上、底盤の厚さも12cm以上、立ち上がり部分の高さは地上部分から30cm以上と定められています。
ベタ基礎のメリットには以下があります。
・耐震性が高い
・不同沈下が起こりにくい
・地面からの湿気が伝わりにくい
・シロアリ被害を受けにくい
面で家を支えることで、荷重が全体に分散し耐震性が高まります。さらに荷重が分散することで、建物の一部が傾く不同沈下が起こりにくく、地盤の弱い土地でも利用できます。ただし、あまりにも地盤が弱いと、ベタ基礎でも地盤改良が必要です。
床下全面を12cm以上の厚いコンクリートで覆うため、地面からの湿気が伝わりにくく結露やカビなどを防ぎます。また直接地面に触れない分、シロアリの被害を受けにくくなるのもメリットです。
ベタ基礎のデメリットも確認しておきましょう。
・高コスト
・寒冷地には不向き
ベタ基礎は底面全体に鉄筋コンクリートを使用するため、必然的にコストが高くなります。また北海道や東北など、寒さの厳しい地域ではベタ基礎が適さないことも。寒すぎると地中が凍り、膨張することで凍上減少が起こり、ベタ基礎ごと家が押し上げられるからです。基礎が歪むと建物の強度にも影響するため、寒冷地では選ばれないことも多いのです。
ベタ基礎が面で支えるのに対し、布基礎は線と点で支える工法です。
柱や壁など建物の構造に関係する部分の下に鉄筋コンクリートを施工します。逆T字型の鉄筋コンクリートを地中深くまで打ち込むのが特徴です。建築基準法によると、立ち上がり部分の高さはベタ基礎と同様で、根入れ(基礎を地中に埋める)の深さ24cm以上、底盤の厚さは15cm以上と定められています。
まずは布基礎のメリットから確認してみましょう。
・コストを抑えられる
・寒冷地にも適している
ベタ基礎のように全体に鉄筋コンクリートを使用しないため、コストを抑えられるのがメリットです。特に底面部分の鉄筋が削減できるため、コストダウンにつながります。
鉄筋コンクリートの量が少ないということは、基礎の重量も軽くなり地盤への負担が軽減されます。軟弱層が薄い地盤でも対応可能なので、コスト面と照らし合わせて採用されることも。
さらに根入れを深くしやすいため、凍結深度50cm以上の寒冷地でも対応しやすいのです。実際に北海道や東北地方の寒さが厳しい地域では、布基礎を採用するケースが多くなっています。
ただし布基礎にもデメリットがあります。
・ベタ基礎より耐震性に不安がある
・地面からの湿気が伝わりやすい
・シロアリの侵入を許しやすい
・不同沈下が起こりやすい
布基礎のメリットである低コストは、裏を返せば鉄筋コンクリートの量が少なく、耐震性が劣るということ。ベタ基礎よりも隙間が多く、シロアリ被害を受けやすいのもデメリットです。
また布基礎は湿気対策が不可欠。布基礎もコンクリートで覆うこともあるのですが、ベタ基礎よりも薄いため、湿気が上がってこないよう防湿シートを敷き、押えのコンクリートを敷くなどの工夫が必要です。
さらに床下が低くなるため湿気がこもりやすく、空気を逃がすような設計が必要です。湿気がこもって構造体が傷むとカビやダニの原因になるだけでなく、構造体が傷む原因にも。腐食が進むとシロアリを呼び込む原因になるため、湿気対策は重要です。
布基礎は線と点で支えるため、建物の荷重が集中しやすく不同沈下を起こしやすくなります。地盤が弱すぎる場所で布基礎は不向きと言えます。
結論から述べると、地盤や住む地域など家ごとで適した基礎は変わります。
ベタ基礎 | 布基礎 | |
コスト | 高い | 低い |
耐震性 | 〇 | △~〇 |
軟弱地盤 | 〇 | △ |
湿気対策 | 〇 | △~〇 |
シロアリ対策 | 〇 | △~〇 |
工程・後期 | 約1ヵ月 | 約1ヵ月 |
寒冷地仕様 | △ | 〇 |
一見するとベタ基礎が優れているように見えますが、工程や工期の違いはほぼなく、コストや寒冷地に適している点は布基礎に軍配が上がります。「コストが安いから布基礎」「耐震性に優れているからベタ基礎」と一部だけを見て判断するのではなく、住んでいる地域の気候や地盤の強さなど、多角的に判断したいものです。
またシロアリ対策はベタ基礎が優れていますが、完全ではありません。「ベタ基礎だからシロアリは無関係」と思って検査を怠ると、知らないうちにシロアリ被害にあう可能性も。どちらの基礎であっても定期的に検査して、シロアリの被害がないかを確かめましょう。
一般的な木造住宅の基礎はほとんど構造計算されることはありませんが、SE構法の住宅は基礎を含め一棟ずつ構造計算しているのが特徴です。実は建築基準法では2階建て以下の木造住宅や500㎡以下の建物には構造計算が義務付けられておらず、簡易計算でも可能とされています。実際、構造計算にはコストや手間がかかるため、簡易計算で済ませている会社が多いのです。
しかし、日本は大地震に見舞われるリスクが高く、大地震でも倒れない強い家づくりは急務の課題といえるでしょう。構造計算が行われるSE構法であれば耐震性の高い住宅になり、家族の命を守ることにもつながります。
ただしSE構法の基礎の構造計算には、さまざまな要素が絡み複雑です。では何を根拠にして、基礎の構造計算をしているのでしょうか。
一棟ずつ地盤の強さや立地条件が異なるため、それぞれ適した基礎の形状や鉄筋数量が異なります。それを求めるために用いられるのが、FEM解析です。
そもそもSE構法では、地盤の強さである地耐力が、建物と基礎の重量を上回るよう設計されます。地耐力に応じた建物を設計するためにFEM解析を用いて、適切な基礎を設計するのです。
さらに従来の木造住宅は構造計算をする際、基礎梁と耐圧版にかかる荷重を別々に計算していました。
※基礎梁:基礎同士を連結して1階の床を支えるために重要な部分。
※耐圧版:多くの鉄筋とコンクリートによって家の荷重を支える部分。
FEM解析で基礎梁と耐圧版を総合的に計算することで、建物全体の強度を保証します。より安全で強固な住宅を作るためには、経験値ではなく理論に基づいた基礎の施工が不可欠なのです。
ベタ基礎と布基礎はそれぞれ違ったメリットがあり、どちらが適しているかはコストや地域性、地盤の強さによって判断が分かれます。また家を建てるハウスメーカーや工務店によっても、基礎の工法が異なります。
ただし、寒冷地や軟弱地盤など特殊な条件を除き、地震に強い家を建てるならSE構法のベタ基礎がおすすめです。FEM解析を用いて地耐力に応じた建物を設計するため、科学的根拠に基づいた強いベタ基礎が作れます。
30年以内に南海トラフなどの巨大地震に見舞われる確率が70~80%と言われているため、これから家を建てる方は、住む人の命を守れる基礎かどうか考えてみましょう。
SE構法は、木造住宅の構造技術です。丈夫な材料とラーメン構法による強い構造躯体と、一棟一棟に対する基礎から上部までの厳密な構造計算を行う点が最大の特長です。私たちの特長を是非ご覧ください。
株式会社エヌ・シー・エヌが開発した構法で、集成材とSE金物による堅牢な構造媒体を持ちすべての建造物に対してひとつひとつ構造計算(許容応力度等計算)を行うことで、
を同時に実現できる構法です。
(施工は全国の登録工務店でしか行うことができません。)