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ツーバイフォー工法とは?在来工法との違いやメリットデメリットを解説

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ツーバイフォー工法とは?在来工法との違いやメリットデメリットを解説のインデックス

家を建てる際にいろいろと調べていく中で耳にする、「ツーバイフォー」という言葉。ツーバイフォーとは、家づくりの種類のひとつで、日本だけではなく世界各国でも取り入れられています。

今回は、ツーバイフォー工法について詳しく解説します。他の工法との違いや見分け方、メリット・デメリットも見ていきましょう。

ツーバイフォー(2×4)工法とは

ツーバイフォー工法とは、建築基準法上「木造枠組壁工法」とも言い、サイズが均一の木材を組み合わせて作成した枠組みに合板などの面材を張り合わせ、六面の箱状の空間を作っていく工法です。

ツーバイフォー(2×4)の由来は、枠組みを作る木材の断面の規格が、約2インチ×約4インチ(実寸約4センチ×約9センチ)であることから来ています。

建物を「面」で構成する

床や壁、屋根を「面」で構成するのが、ツーバイフォー工法の特徴です。
はじめに2×4の木材で枠組みをつくり、そこに構造用面材を貼り付けます。これらを一体化させることで「六面体構造」を作り上げます。

世界各国で採用

ツーバイフォー工法の起源は19世紀の北米です。住宅としてのツーバイフォー工法が日本に導入されたのは明治末期から大正末期にかけてとされ、アメリカから建物を建てるために必要な部材や設計図などが輸入されました。

アメリカやカナダでは、現在も多くの戸建て木造住宅がツーバイフォー工法で作られています。また、オーストラリアやニュージーランド、中国、韓国などでもツーバイフォー工法が採用され、世界各国に広がりを見せています。

ツーバイフォー工法とその他の工法の違い

木造建築は、ツーバイフォー以外にも工法があります。ここでは、ツーバイフォー工法とその他の工法の違いについて見ていきましょう。

木造軸組工法(在来工法)

木造軸組工法(在来工法)とは、日本で古くから用いられる工法で、柱や梁(はり)が基本になる木造住宅の作り方です。日本の木造住宅は、現代まで長くこの木造軸組工法が使われています。

木造軸組工法は、家の土台となる基礎を作った上に柱を立てて梁を渡し、筋交い(すじかい)と言う建材を使って補強しながら骨組みを作るのが特徴です。建物に風や地震などで大きな力が水平に加わるときに、建物が大きく損壊したり倒れたりしないよう、斜めの「筋交い」を入れて変形を防いでいます。

木造軸組工法とツーバイフォー工法の異なる点は、木造軸組工法は柱や梁、筋交いなどを軸として、「線」で構成していくところです。

SE構法(ラーメン構造)

SE構法は、木造住宅の新しい工法です。従来、鉄骨造やRC造の家に用いられてきた「ラーメン構造」を木造住宅に採用しています。

ラーメン構造は、柱と梁を「剛接合(ごうせつごう)」という方法で一体化しているのが大きな特徴です。SE構法の柱や梁には、高い強度の集成材を使用し、SE金物という強度が永続的に保たれる金物で剛接合しています。

木造軸組工法では、柱と梁をつなぐのに「ピン接合」が用いられています。そのため、筋交いを組み合わせないと接合部が抜けて家が倒れてしまう危険性があります。

ラーメン構造の剛接合では筋交いを入れなくても、柱と梁が強く固定されているため、地震や台風などの強い風で倒れる心配がありません。また、筋交いなどの斜め材を入れる必要がないことから、ゆとりのある自由な空間を作り出せるのも特徴です。

ラーメン構造とは?他の構造との違いが生み出すメリットを徹底解説

ツーバイフォー工法のメリット

ここからは、ツーバイフォー工法のメリットをご紹介します。

耐震性が高い

地震の多い日本において、どれだけ耐震性のある住宅を建てるかは重要な検討項目ではないでしょうか。

ツーバイフォー工法では、六面体の建物が地震の揺れを受け止め、さらに分散させます。木の枠組み部分と、構造用の合板が面となって揺れを受け止めるため、地震による力が一点集中せずに倒壊や損傷を最小限に抑えられるのです。

ツーバイフォー住宅は、過去に起こったタイプの異なる大地震(東日本大震災・熊本地震・阪神・淡路大震災)でも居住に支障を来すような被害を受けることがなく、高い耐震性が立証されています。

耐火性が高い

ツーバイフォー工法では、天井や壁の内側に厚さ12.5mm以上の石こうボードを貼り付けます。石こうボードに含まれる結晶水は、火があたることによって熱分解を起こし水蒸気を発生。このため火災による内部の温度上昇を防ぎ、構造材まで燃え広がる時間を大幅に遅らせることが可能です。

ツーバイフォー工法が火に強いもう一つの特徴が、「ファイヤーストップ構造」です。ツーバイフォー住宅に用いられる床や壁の内部には、枠組材などが一定間隔で組まれています。火災が発生した際に、この枠組材などが空気の流れを遮断し、他の階への燃え広がりを防ぐという仕組みです。万が一石こうボードが火の力で壊されても、ファイヤーストップ構造によって火災による大きな被害を避けられます。

耐久性が高い

ツーバイフォー工法では、耐久性を高める対策を行いながら家を建てていきます。使用する構造用製材には、JAS規格に基づいた含水率19%以下の乾燥材を使用。クギや金物についても、防さび効果を高める亜鉛メッキを施します。

壁内に断熱材を入れることで室内外の温度差を緩やかにし、結露を発生させない仕様も特徴です。さらに、小屋裏に換気機能を設けることで家全体を換気、結露によるカビ防止にも効果が期待できます。ツーバイフォー工法ではこれらの湿気や結露への対策を入念に行い、安心して長く暮らせる、耐久性のある住まいを実現しています。

気密性・省エネ性に優れる

ツーバイフォー工法の住宅は、高い気密性と断熱性が特徴です。建物の外壁に使われる木材は外気温の影響を受けにくく、その木材でつくられる枠組みに、屋外側は構造用面材を、室内側には石こうボードを貼り付けます。さらに、建物全体を断熱材で覆うことで、断熱効果が高まります。

気密性の高い建物は、室内が外気温の影響を受けにくく、空調の効率も向上させます。夏は涼しく、冬は暖かい室内で過ごせることから、エネルギー消費を減らすことが可能です。

品質の差が出るリスクが少ない

ツーバイフォー工法に使用される部材や部品は、サイズや使用箇所、手順などが細かく定められています。例えば、接合部に使用するクギはサイズ別にカラーリング。打ち込んでしまった後は確認するのが難しいクギを色別にすることでチェックしやすくし、万が一のミスを防いでいます。構造用製材も、JAS規格により厳しく品質が確認されたものを使用しています。

作業は住宅金融支援機構の監修による「枠組壁工法住宅工事仕様書」などでマニュアル化され、安定した品質と性能の住宅建築が実現可能です。施工者によって品質に差が出にくいのも、ツーバイフォー工法のメリットと言えます。

工期短縮が叶う

ツーバイフォー工法では、工場で組み立てたパネルを建設現場に運んで建てていきます。作業工程はシステム化されており、合理的・効率的に建設作業が進められるのも魅力。他の工法に比べて工期短縮が期待でき、現場で出るゴミも削減が可能です。

ツーバイフォー工法のデメリット

ツーバイフォー工法にはさまざまなメリットがあることをご紹介しましたが、デメリットもあることも知っておきましょう。

建築コストの削減が難しい

在来工法の場合、建築基準法の範囲内で構造体の材料を変更することでコストの削減が可能な場合があります。

しかし、ツーバイフォー工法では、構造体に使用する部材の規格が固定されています。そのため、構造面でのコスト調整をして価格を下げることは難しいでしょう。

ただし、ツーバイフォーは耐震性や耐火性など、性能面での質は確保されています。コスト面だけではなく、性能面も含めた工法選びを検討することが大切です。

間取り決めやリフォームに制約が出る場合も

ツーバイフォー工法は、面で建物を支える構造です。そのため、間取りを決める際の自由度は他の工法に比べて低めと言えます。

また、在来工法のように柱で支えるのではなく、ツーバイフォー工法は壁で建物を支えているため、壁を抜いて部屋を広くするなどのリフォームが難しい場合もあります。ツーバイフォー工法は構造部材・耐力壁・開口部など寸法に規定があるからです。

ただし、寸法の基準内であれば、間取りの変更やリフォームが可能なことも。ツーバイフォー工法で家づくりを検討している場合は、間取りの変更がどれだけできるか、建てた後のリフォームは可能かなどを、ハウスメーカーや工務店に事前に確認すると良いでしょう。

ツーバイフォー工法の特徴を知って後悔のない家づくりを目指そう

ツーバイフォー工法は、建物を面で支える六面体構造により、耐震性・耐火性・省エネルギー性などが高いのが特徴です。
ただし、壁のパネル自体が建物を支えるのに大きな役割を果たすため、間取りの自由度が低いというデメリットも。部屋に大きな窓を作ったり、ゆとりのある空間を作ったりするときに、壁が邪魔になってしまうケースも少なくないでしょう。

柱や梁で支える在来工法を選ぶ方法もありますが、筋交いを入れて耐震性を高めるため、やはり間取りの自由度に制限があります。

高い耐震性と空間設計の自由度が高い家づくりを目指すなら、SE構法も検討されるとよいでしょう。SE構法で用いられるラーメン構造は、柱と梁がメインの構造で、開放感のある間取りを作るのに最適です。全棟で構造計算が実施されるので、安心度が高いのも大きなメリットといえます。

住宅の工法には木造・鉄骨造・RC造問わずにさまざまなものがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。家づくりをご検討中の方は、各工法の違いを理解したうえで、ご自身に合った工法を選びましょう。

高い耐震性能と自由で大胆な空間デザインを両立する、耐震構法SE構法

SE構法は、木造住宅の構造技術です。丈夫な材料とラーメン構法による強い構造躯体と、一棟一棟に対する基礎から上部までの厳密な構造計算を行う点が最大の特長です。私たちの特長を是非ご覧ください。

SE構法とは…

株式会社エヌ・シー・エヌが開発した構法で、集成材とSE金物による堅牢な構造媒体を持ちすべての建造物に対してひとつひとつ構造計算(許容応力度等計算)を行うことで、

  • 木造でありながら地震に対する安全性
  • 壁や柱が少ない室内での「大空間」
  • 大きな窓を採用し光を取り入れる「大開口」

を同時に実現できる構法です。
(施工は全国の登録工務店でしか行うことができません。)

SE構法について
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