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WOODEN STRUCTURE中大規模木造

高齢者施設を木造で計画するメリット

  • 高齢者施設を木造で計画するメリット -

高齢者施設には、「主に要介護状態の方を対象とした高齢者施設(特別養護老人ホーム等)」と、「主に自立状態の方を対象とした高齢者施設(軽費老人ホーム等)」に大きく分類されます。高齢者施設ではこれまで鉄骨造で計画されていた建物が、徐々に木造へと転換する動きが活性化しています。鉄骨造から木造への転換では、大スパンや短工期などの課題に対応する必要がありますが、中大規模木造でも対応は可能です。木造の高齢者施設は、木の持つ魅力や特性により、他工法と比較して高齢者、高齢者を訪ねる家族、さらにはそこで働く方々に優しいと言えます。このコラムでは、木造で高齢者施設を計画するメリットについてお伝えします。

 

<このコラムでわかること>

高齢者施設木造で建てるメリット1:木の持つ魅力と特性

高齢者施設木造で建てるメリット2:建設コストが安い

高齢者施設木造で建てるメリット3:補助金事業に対応しやすい

高齢者施設木造で建てるメリット4:発注者のメリットが多い

高齢者施設木造で建てるメリット5:耐火・準耐火木造で対応可能

高齢者施設木造で建てるメリット6:大空間を実現できる木構造

中大規模木造として高齢者施設SE構法で実現するポイント

・まとめ

 

高齢者施設を木造で建てるメリット1:木の持つ魅力と特性

高齢者施設を木造で建てるメリット1:木の持つ魅力と特性

高齢者施設は、社会福祉施設に含まれることから木材の利用促進の対象です。今後需要のある領域として高齢者住宅が位置づけられているのと同時に、土地の有効活用においても、さまざまな高齢者施設の計画において木造化の検討が増えている傾向があります。

参考ページ:「中大規模木造が実は最適!高齢者施設の種類と特徴」はこちらです。

木造による高齢者施設のメリットは、入居者の立場からは、居住空間としての親和性、転倒しても骨折しにくいこと等があります。

人口動態をみれば、高齢者人口はある時期までは増加し、その後は減少します。一時的に施設への入居率が高まったとしても、高齢者人口が減少する段階においては、施設の運営が難しくなる可能性もあります。

将来的な改修の可能性を考慮すると、空間の可変性が高い建築を木造で実現していく必要があります。より長いスパンで考えると、建物の解体が比較的容易であり、解体工事費が安いことも木造の長所といえます。

一般に、木造は鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べ軽量となるため、解体工事にあっても木造躯体に関わる部分、特に基礎部分にあっては他構造よりも建築面積当たりの解体費用は低くなります。解体工事費の比較ですが、木造を基準にした場合に、鉄骨造で約7割増し、鉄筋コンクリート造で約2倍となるというデータもあります。

<参照:林野庁 平成27年度補正 木材・木造建築の物性的特質 報告書より>

参考情報:「一般社団法人木を活かす建築推進協議会」はこちらです。

これからの時代位は、必要な性能を備え、魅力ある空間を持った木造の高齢者施設が建設されることが求められています。木造建築のほうが環境負荷が少ないことも重要な視点です。

参考ページ:「中大規模木造は人や環境に優しい理由」はこちらです。

 

高齢者施設を木造で建てるメリット2:建設コストが安い

高齢者施設を木造で建てるメリット2:建設コストが安い

木造は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の構造より建設コストが安く、施設入居の料金体系によっては事業者と入居者の双方にコストメリットが働く可能性もあります。

木造で使用する一般流通材の木材、建材は、戸建住宅市場で大量に流通しているため、相場の変動が少なく、価格が安定していることが特徴です。

木造と鉄骨造で使用する建材を部材ごとに比較しても、規格寸法があるアルミサッシなど、ほとんどの建材が木造のほうが安くなります。

基礎の断面寸法が鉄骨造と比較してとても小さいことから、基礎工事の材料費、施工費、残土処分費なども大幅に軽減できます。建物重量がとても軽くなることから、地盤改良コストも抑えることができます。

設計に関しては、木造のモジュールを意識した設計とすることで、材料の歩留まりがよくなり、施工手間が軽減されることで、結果として建設コストが安くなります。

参考ページ:「中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント」はこちらです。

参考ページ:「中大規模木造でコストダウンできる構造計画、構造躯体の考え方」はこちらです。

 

高齢者施設を木造で建てるメリット3:補助金事業に対応しやすい

高齢者施設を木造で建てるメリット3:補助金事業に対応しやすい

木造は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造と比較して、工期が大幅に短縮できます。

社会福祉法人等が高齢者施設を建設する際には、自己資金に加えて国や県、市から交付される補助金により建設事業費を捻出するケースが多くなります。

補助金事業の場合は、「工期」を遵守する必要があります。補助金事業は地方自治体や役所において年度ごとで管理されるケースが多く、年度始めの4〜6月内示(=補助金交付決定の連絡)、年度末の翌年3月に事業完了という条件が原則となります。

参考ページ:「補助金事業には木造がベスト!木造がRC造やS造より工期短縮できる理由」はこちらです。

2020年10月現在、募集は終了しておりますが、木材利用に関する助成金等を活用できることも木造を選択するメリットとなります。

参考ページ:「過剰木材在庫利用緊急対策事業」はこちらです。

木造で使用する一般流通材の木材、建材は、戸建住宅市場で大量に流通しているため、納期があまりかからないことが特徴です。構造材に部分的に特注材がある場合でも、早めに発注することで工期に大きく影響することはありません。

中大規模木造の高齢者施設の施工においては、そうした住宅向けの流通の仕組みをうまく活用することで、鉄骨造と比較して大幅に納期の短縮が可能になります。

施工に関しては、木造は鉄骨造ほど建設職人を手配することは困難ではありません。建物規模や工期に応じて大工さんや職人さんを手配することが可能となり、鉄骨造と比較して工期を短縮できます。

 

高齢者施設を木造で建てるメリット4:発注者のメリットが多い

高齢者施設を木造で建てるメリット4:発注者のメリットが多い

木造は減価償却期間が鉄骨造より短く設定されており、建物を所有する事業者にとっては、年間の経費をより多く計上することができ、節税効果を得ることも可能です。

高齢者施設ではライフサイクルコストが特に重要であり、計画から解体工事までをトータルで考える必要があります。減価償却期間の短さや解体時のコスト等を考慮した結果、鉄骨造より木造のほうがコストダウンができるということで、木造が選択される場合もあります。

一方で、耐用年数はあくまで税法上で定められた年数でもあり、現代の木造建築ではメンテナンスを適切に行うことで更に長期に使用することも可能です。

別の視点としては、持続可能な木材利用を経営戦略に上手に取り組む企業が増えており、自社の事業用の建築物を木造で計画する企業も増えています。

近年、企業経営のトレンドとして「持続可能な開発目標(SDGs)」への対応、「環境社会、企業統治の要素を考慮する(ESG投資)」が強く意識されるようになりました。

民間で建設する建築物で木造化、木質化を図ることは、今後この二つの流れにそうものとして評価されていくことが予想されます。木造化・木質化には、地球温暖化防止と持続可能な森林経営の下支えという二重の意味を持ちます。

SDGsやESG投資などは経営面からも木材利用は注目されていますし、その建築物を利用する人の健康面や精神面にもプラスの影響が期待できます。

参考ページ:「木造建築は「SDGs」や「ESG投資」でも企業価値を高められる理由」はこちらです。

 

高齢者施設を木造で建てるメリット5:耐火・準耐火も木造で対応可能

高齢者施設を木造で建てるメリット5:耐火・準耐火も木造で対応可能

高齢者施設は、規模や建築基準法、各種基準により、耐火建築物や準耐火建築物の仕様が求められることが多くなります。

参考ページ:「木造の高齢者施設を計画するための関連法規まとめ」はこちらです。

木造の耐火建築物では、木造の構造体に耐火の被覆が必要となります。木造の耐火建築物を現実的に計画し、デザインとコストを両立させるには、「構造躯体の木(柱や梁)を見せること」にこだわらない設計が重要となります。

参考ページ:「木造の耐火建築物は「木を見せる」にこだわらずに大臣認定工法や告示を使うべき理由」はこちらです。

木造は準耐火建築物であれば、建築基準法改正による優遇や、耐火建築物と比較してコストパフォーマンスが向上するなどのメリットが大きくなります。

参考ページ:「木造の準耐火建築物の可能性が広がる!改正建築基準法の解説」はこちらです。

参考ページ:「準耐火の適用範囲拡大は中大規模木造の追い風に!改正建築基準法の解説」はこちらです。

 

高齢者施設を木造で建てるメリット6:大空間を実現できる木構造

高齢者施設を木造で建てるメリット6:大空間を実現できる木構造

高齢者施設は種類にもよりますが、居室ゾーンとなる個室エリアと、LDKや浴室などの共用エリアで構成されます。個室エリアはスパンが小さく、共用エリアは比較的スパンが大きくなります。

高齢者施設の共用エリアの大空間を実現するために、特注の「大断面部材」を用いて大スパンを実現することも可能ですが、一般的な建築物において、コストや納期、搬入等を考えると、あまり現実的な選択肢ではありません。

中大規模木造の構造設計の解決策としては、スパンが大きくなる部分に限定してトラス、張玄梁等で対応することで、コストパフォーマンス高く大空間を実現することが可能です。

大スパンの空間を計画するにあたり、単純梁の構造の場合だと、特注材製作による納期、搬入が可能かどうか、コストアップになるなどの問題で、現実的に単純梁を採用することができないことが多いです。そうした場合に、一つの選択肢としてトラスは有効な設計手法です。

参考ページ:「耐震構法SE構法によるトラスで大空間を実現する」はこちらです。

SE構法で設計を行う場合には、張弦梁を有効に活用し、軽快な印象の大空間を、コストパフォーマンス高く実現することができます。SE構法では、一般的に流通している中断面の構造用集成材と鋼材ロッドを用いて張弦梁を構成することで、大断面の特注材を用いるよりもコストダウンを実現し、軽快な印象の空間を実現できます。

参考ページ:「耐震構法SE構法では張弦梁を採用して軽快な印象の大空間を実現できる」はこちらです。

 

中大規模木造として高齢者施設をSE構法で実現するポイント

中大規模木造として高齢者施設をSE構法で実現するポイント

中大規模木造として高齢者施設を木造で実現するためには、SE構法は最適な構法です。構造設計から構造材の材料供給、施工のサポートまでワンストップサービスで提供できるからです。高齢者施設を木造(SE構法)で計画するメリットは主に下記です。

1.SE構法の構造設計(設計の自由度と構造躯体の強さ)

SE構法は構造用集成材の中段面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することも可能です。

参考ページ:「中大規模木造に適した技術と自由があるSE構法の構造設計」はこちらです。

 

2.コストの優位性(鉄骨造と木造の比較)

構造で木造(SE構法)を選択することで、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比較して基礎や構造躯体のコストが安くなります。外壁仕上げには住宅用サイディング、窓は住宅用アルミサッシなどを使うことで、建材費や施工費も抑えることができます。

参考ページ:「中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント」はこちらです。

 

3.木造におけるワンストップサービス(SE構法は使い勝手が良い)

SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。中大規模木造建築では工法に関わらず、「木造の構造躯体の施工の担い手」を確保する必要があります。SE構法であれば、構造躯体の施工だけをSE構法登録施工店に依頼する「建て方施工」という方法もありますので、施工会社選定の選択肢が大きく広がります。

参考ページ:「SE構法はワンストップサービスが魅力!各プロセスごとに徹底解説」はこちらです。

 

まとめ

近年、建設用鋼材の急騰や材料不足が顕在化する事態が生じたり、建設職人の高齢化や人材不足などにより、鉄骨造の建設コストは高騰していく傾向にあります。国は木造利用を広げるための重要な施策として、「公共建築物木材利用促進法」施行や、「建築基準法」改正により木造化を強化しています。

そうした流れを受けて、高齢者施設などでこれまで鉄骨造で計画されていた建物が、徐々に木造へと転換する動きが活性化しています。鉄骨造から木造への転換では、大スパンや短工期などの課題に対応する必要がありますが、中大規模木造でも対応は可能です。

高齢者施設のような用途の建築においては、SE構法の強みを活かすことにより、強靭な構造躯体、コスト減、納期短縮、施工性向上を実現することができます。

計画段階からNCNの特建事業部に相談することで、木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計実務を進めることが可能です。

 

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

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SE構法による高齢者施設の事例まとめ  Coming Soon…