耐震構法 SE構法

コラムCOLUMN

コウゾウノハナシ

【コウゾウノハナシvol.006】〜構造のアート〜

建築デザインと構造

〜構造のアート〜

 最近、建築雑誌のページをめくっていると、構造が建築デザインの表現として用いられている建築が目立ってきた。フォスターやピアノのマシン的な美学(ハイテクスタイル)に影響された建築家が表層の装飾的デザインから脱皮する手段をストラクチャーに求めだしたからだろうか。
はたまた、インテリアの分野にまで構造のモチーフが使われるに至っては、少し首をかしげたくなる。ちなみに、昔、筑紫哲也ニュース23のスタジオのインテリアには、木とスチールを使った張弦梁(はり)がつかわれていた。とは言え、構造がデザインとして注目を浴びてきたのは,構造に携わるものとしては、喜ばしいことである。
さて、世界中に複合不況の冷たい風が吹く今、奇をてらった造形や表層のデザインだけの建築は社会に受け入れられなくなる傾向にある。これからは理性の時代だといわれ、技術と経済性を核としたデザインを重視する機運が見受けられるようになってきた。
一方、極度に進行する情報化社会や環境問題は、働く人たちへの快適性と自然へのやさしさを求めている。
21世紀に向けて建築はどのような方向に進むのであろうか。たぶん、脱構築化を重視したビジュアルなイメージ(無気力な世界のコンピューターグラフィック的な)が先行した建築デザインから、技術性を重視した合理的な建築デザインに移行してゆくであろうと期待している。
しかしながら、技術と経済性の他に建築には「美しさ」が必要だと、これまで述べてきた。「美」と技術性と経済性をどうバランスさせるか。そこにはテクニカルな論理性を少し犠牲にしても美しさを達成するといった柔軟な感性がエンジニアに求められる。
構造(建築)の興味深いところは、そこにあって、構造の美しさがデザイン的に価値のあるものとして認められるか否かは、構造家たちの力量にかかっている。これほどまで自分勝手な合理性の世界にいたエンジニアたちが構造の「アート」という付加価値に目を向ければ、若い人たちの「構造離れ」の流れを止める一助になるかもしれない………。

播 繁

播 繁

長年鹿島建設に勤務し丹下健三氏との協働で赤坂プリンスホテル新館、フジテレビ本社ビル、また、長野オリンピック記念アリーナなど大規模建築の構造設計を手掛ける。
1997年の独立後​は岡山ドーム、埼玉県立武道館等の公共施設のほか「SE構法」の開発など、木造住宅の耐震化にも取り組んだ。
平成29年9月5日没 享年79歳

PICKUP CONTENTS

  • 熊本地震シミュレーション
  • SE構法施工実例
  • コウゾウノハナシ

GROUP SITE

  • 重量木骨の家
  • 大規模木造建築
  • 耐震住宅100%実行委員会